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第17話「希望」

立ち塞がった天然のα能力者は、尋ね人ロード・コーターの息子ミハエル・コーターだった。リューヤを取り囲む環境が変わっていく・・・・・鮮烈の第17話

ミハエル・コーターに銃を突き付けられた後、リューヤは頂上付近にある山小屋まで連行された。

 ミハエルとの勝負は明らかに敗北だった。勝敗を分けたのは能力の差というより、経験値から来る物だと思えたが負けは負けだ。

 丸太で組み上げられたログハウスのような山小屋の玄関で、リューヤは開放された。

「この中にロード・コーター・・・父がいる。あんたの親書は無事届くという訳さ。」

 ミハエルは気さくな素振りでそう言い、玄関の扉を開けた。

「入ってくれ。」

 ミハエルはそう促し、リューヤはそれに従った。

「こっちだ・・・・・。」

 リューヤは言われるままについて行った。

 連れていかれた場所は寝室だった。

「ようこそ。私がロード・コーターだ。」

 木製のベットの上に横たわる老人はそう言い、立ち上がった。

「アレクシーナ・クライ王女の親書をお持ちしました。」

 リューヤは胸元に入れておいた王家の紋章の入った封筒を手渡した。

「ありがとう。」

 ロード・コーターは封筒を破り、手紙を読んだ。

 3分近い時間が経ち、老人は手紙を読み終わりリューヤを見詰めた。

「君は親書の内容を知っているのかね?」

「いえ。」

「君に関する物は三枚目だな。読みたまえ。」

 老人はリューヤに手紙を渡した。




 という事であなたにリューヤを鍛えて欲しい。我々が再び来るのが一ヵ月後。期間はそれまでと短いがお願いする。もし引き受けてくれるならばこの手紙をリューヤに見せ、リューヤにこれが特別任務である事を伝えて欲しい。もちろん充分な報酬も用意する。米ドルで5万ドル。経費は別だ。

 何故、そうまで私がリューヤにこだわるのか。

αシステムの初めての成功例という事も確かにある。しかしそれだけじゃない。α能力以外にも彼には奇妙な力を感じる。あるいはリューヤなら、あの予知を止める事が出来るかもしれない。私はそう感じるのだ。

 彼は私の「希望」だ。今はまだ荒削りで小さな「希望」かもしれないが、私はそう信じている。

 すまぬが願いを聞き入れて欲しい。私は必ず報いる人間だ。きっとあなたの望むような、誰もが幸せを感じれる世界にしてみせる。その為にもリューヤを頼む。




 リューヤは何故か目頭が熱くなった。アレクシーナの思いがリューヤに伝わったのだ。切ないほどの思いがその短い文章の中にある気がした。その手紙をリューヤはゆっくりと折り返しロード・コーターに渡した。

「たいしたお方だ。君はいい主をお持ちだ。」

 ロード・コーターは静かに力強く言った。

「は!ありがとうございます。」

「私の方に異存はない。後は君次第だな。強制される訓練はあまりよい結果がでぬからな。」

「私にも異存はありません。短い期間ですが宜しくお願いします!」

 リューヤは声を大にしてそう言った。

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