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第12話「病棟の少女 中篇」

かつて愛した女性リーン・サンドライトに異変・・・・・失われた彼女の過去・・・・リューヤのやり切れない気持ち・・・・何が起こるのか?待望の第12話

「リューヤ!」

 リーン・サンドライトは確かにそう言った。リーンは頭を抑える。

「大丈夫か?」

 リューヤが駆け寄る。

「大丈夫・・・・いつもの事だから・・・・」

 リーンは弱々しくそう言った。

「横になってろ。」

「うん。」

 リューヤはベットで横たわるリーンの手を握った。

「もう二度と逢えないと思っていた・・・」

「俺もさ・・・・だけど、こうして逢えた。」

「うん。アレクシーナ様のおかげね・・・」

「もう大丈夫さ、俺がここから助け出してやる。」

 リーンは目に涙を溜めてからゆっくりと首を振った。

「ダメよ。リューヤ。あなたはあなたのやるべき事があるわ・・・・。いつまでも私に関わっていてはダメ。」

「何言ってるんだ!どんな病気だろうと俺がもっとマシな病院に移してやる!こんな何重にも鍵をかけられた奥が、君の居場所なんてあるかよ!」

「いいの・・・」

「よくない!」

「無理なのだ・・・・リーンはお前が想像出来る範疇を超えた状態なのだ。」

 アレクシーナが冷たく言った。

「ふざけるなよ!リーンが一体何をしたっていうんだ!どういう状態だって言うんだよ!俺の、俺のα能力がリーンは正常な状態だと告げている!」

「そうだな・・・こうしている分にはまったく正常なのだ・・・。」

 アレクシーナは冷静な口調でそう言った。いや、少なくとリューヤにはそう見えた。

「アレクシーナ様の言ってる事は本当よ。」

 リーンがか細い声でそう言った。

「リーン・・・・」

「まずい。来る。」

 アレクシーナは目を細めそう言った。

「そうなの、本当なの・・・・私が・・・・私がお前らの存在を遥かに超える存在だという事がなあ!」

 リーン・サンドライトは突然声も表情も変えた。

「リーン?」

「ふん。これがα能力者成功例第1号か。お前ら人間もよくやる。」

 人間も?何を言ってる?

「一般の症例で言えば多重人格症。信じる信じないは勝手だが・・・・悪魔憑きといった状態だ。」

 アレクシーナが冷静に言った。

「はははは、悪魔か。お前らに悪魔と神の区別がつくのか?」

「自分が神とでも言うのか?」

 アレクシーナが言った。

「そうは言っていないだろう。もちろん否定もしないがな・・・・」

 なんだこれは?α能力の開放されたリューヤの目にリーンの周りに赤黒い炎のようなものが見えた。

「お前が何者かなどという議論はどうだって良いのだ・・・お前の予知が当たる・・・それが問題なのだ・・・」

「くくく。絶望の未来を聞いて抵抗する気になったか?俺に未来を見る能力があるとしても、ここから先、未来を正直に教える保障はないぞ。それは何度俺が事実を教えてやっても、お前らに付きまとう不安だ。」

 未来?何を言ってる?

「お前の予知が外れればいい。何度そう思った事か・・・・。」

 リューヤの体が勝手に動く。

「去れよ。リーンの体から去れっつってんだ!」

 リューヤの体が青白く輝く。無論一般の目では見えない。リーンの内部にいる何者かにはそれが分かっているようだが・・・

「α能力者か。たいしたものだ。人の身でそこまで力が使えるとはな・・・・」

「出て行けと言ってる!」

 この相手の存在感を押し返すというのか?想像以上か?リューヤ・アルデベータ。アレクシーナはそう思った。

「ふふふ。ここまで来てくれた礼だ。お前に未来を教えてやる。お前はこの世界の変動に大きく関わる。それはお前の望まない方向に行くだろう。そして自分の意思の元に進む。その先にある大きなカラクリに気付きお前は絶望の中を生きる。そして全ての意味を知るだろう。」

「ふざけた事を」

 院長が注射器を取り出し、リーンに近づこうとする。アレクシーナがそれを手で抑えた。

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