第1話「始まり」
少々過激な表現があります。あしからず・・・・・
どこだ?ここは?
暗い。暗い。
声が聞こえる。誰かが話してる?
「計画は失敗という事か」
「結論を出すのはまだ早いかと・・・」
「この男も何度失敗すれば気が済むのか・・」
「記憶を消している以上、失敗はありうる事です。」
「充分な能力は与えてあるはずだ。」
「計画その物に誤りががあるのではないのかね?」
計画?記憶・・・俺の名前は・・・
「これ以上の失敗は許されん。時空の歪を生みかねんからな・・・」
俺の名前は・・・俺の名前は?
「成功を祈るよ」
足音が聞こえる。誰の?いやそれより俺は・・・
男に向かい光が差す。光は男の体を溶かしていく。
消える・・・俺は消えるのか?
「リューヤ」
誰かが呼ぶ声がする。
「リューヤ」
リューヤ?俺の名前・・・俺の名前か?
「起きなさい、リューヤ」
「誰だ?」
リューヤはそう言って目を覚ました。
「寝ぼけ眼ね」
大きな目にスレンダーな体が印象的な軍服を纏った美女が、開け放たれたドアの前に立っていた。
「リッター大尉・・・」
リューヤは軍服姿の女にそう言った。
「個室待遇にはまだ馴れないの?」
リューヤは起き上がり暗い紺のスーツを手に取った。
「そうですね・・・あの施設じゃいや応無しだったから・・・。」
「元に戻されたくなかったら、それなりの働きをする事ね。」
「分かってます。こんな時間に・・・非常召集ですか?」
「いえ、王女様がお呼びよ。今度のアルテイル公国への視察で直々に話しておきたい事があるそうよ。」
「そうですか・・・」
変な夢を見た・・・そう何かを見たんだ。いや、聞いた?所詮夢だ・・・思い出せなくても支障はないさ・・・
「リッター大尉、その髪型似合ってますよ。」
リューヤはそう言って部屋を出た。
リッターと呼ばれた女は髪をかきあげ、廊下を歩いて行くリューヤを見送った。
「セクハラね。後で注意しとかなくちゃ」




