結界
「死にそうになったらしいじゃない酒呑童子」
九つの尾を持った女が馬鹿にするように鬼の角をもつ大男に言い放つ。
「嫌味か玉藻前。お前が行ったら死にかけたじゃ済まなかったと思うがな。」
「そんな事ないわ。私ならどちらも仕留めて帰ってくるわ」
「出来もしないくせによく言う」
「つまらぬ事で喧嘩をするな。いちいち煽り合うのはやめろ。」
鬼の仮面をつけた男が喧嘩を静止する。その男の腰にかけている3本の太刀からは強力な妖力を放出している。
「私達の上に立っているようなものいいね。大嶽丸」
「そんなつもりはない。玉藻前お前はなんにでも喧嘩を売るのをやめたまえ。」
「はぁ、まぁいいわ」
しばらくして壇上にある大きな門が開く。だが何もいない。だが先程まで誰もすわっていなかった後ろの椅子から年老いた男の声が聞こえる。
「相変わらず君たち3人は仲がいいの。」
3人は年老いた男に向かって膝をつく。
大嶽丸が敬意を込め
「ご機嫌麗しゅうございます。ぬらりひょん様。この度の招集何用でございましょうか。」
「そろそろ常世の第1目標である『天津機関の破壊』について取り掛かろうと思ってのぉ」
「やっと、取り掛かるのですね。まずは、やはり天津機関の結界を維持している『八尺瓊勾玉』の破壊ですか」
「その通りじゃ。勾玉は北海道神社や高千穂神宮、鹿島神社、伊勢大社、明治大社、出雲神宮そして京都にある。だが京都の結界は特殊じゃ四つの神社に分けられておるそれを集め破壊せなあかん。」
「四つの神社と言うのは何処のことを指すのでしょうか。」
「言い忘れておった。貴船神宮、八坂大社、上賀茂神宮、下鴨大社にある。」
「これら全てを壊せば天津機関の本部が現れるということですか。」
「そうじゃ、全てを壊すと奈良の平城都に現れる。そこで百鬼夜行を開催する。」
「百鬼夜行ですか素晴らしい。では、地方結界から破壊して参りましょう。」
「お主らには、期待をしておる。」
◆◇◆◇
重い瞼がゆっくりと開く。見た事のない天井に気を取られていると、隣から誰かに抱きつかれる。鈴だ。
「やっと目が覚めた。3日間も意識が戻らないから心配してたんだよ。」
「俺そんなに寝てたのか。ところで酒呑童子はどうなった。」
「酒呑童子なら逃げられたよ。隊長たちが戦ってあと1歩の所で逃げたの」
「クソ、ところで隊長たちは無事なのか。」
「もうすっかり元気だよ。あの人たちはもう任務に取り掛かってるよ。」
「すごいな、隊長たちは俺もそんぐらい強くならないと。そうと分かればリハビリだな。3日間も寝てたぶんの体力を取り戻さないと。」
「相変わらず元気だね。出雲は」
出雲は元の体力に戻すのに1週間の月日を費やした。
いつも通り修行をしていると大広間に集合をかけられた。そこには第1から第6までの部隊全員が集まっていた。壇上には祭主様が立っていた。
「すまない、急に招集をかけて。」
祭主は焦ったように言う
「天津機関の結界を維持している神社の一つ高千穂神宮の勾玉が妖怪によって破壊された。」
周囲の人間達はざわめく、
「常世が私達天津を潰そうと動き始めた。次に狙われるであろう5社に部隊を置きたい。残った1部隊は天津に残り他部隊の援護に回る。まず第1は明治大社に第2は北海道神社、第3は出雲神宮、第4は鹿島神社、第6は伊勢大社そして第5は援護班だ」
皆は一斉に「了解」と答えた。
解散したあと第3部隊は直ぐに出雲神宮へと向かった。
出雲神宮の大きな鳥居の前に1人の神官がたっていた。こちらに気づくなり
「お待ちしておりました。天津機関の皆様。今、勾玉の方へと案内致します。」
「よろしくお願いします。」
出雲たちは、神官について行き大きなしめ縄をつけた本殿の中へと入っていった。
「こちらでございます。三種の神器が一つ『八尺瓊勾玉』の欠片特級神具でございます」
──カツン、カツン
杖の音が聞こえる。奥からは80代くらいのおじいちゃんが出てきた。
「ありがとうのぉ國谷案内を買って出てくれて。やぁすいません紹介が遅れました出雲神宮の宮司 千宮 国造と申します。」
「これはこれは宮司様がご挨拶に出てきてくれるとは。」
「いえいえ、そんなかしこまらずに。ところで高千穂の結界が壊されたと聞きましたが。そちらに居た神官たちは無事なのでしょうか。」
「えぇ全員一命は取り留めました。妖怪たちはほとんど人間には手を出さず勾玉一直線だったそうです。」
「そうですか、不幸中の幸いにも死人が出なくて良かったです。平安時代から始まる天津機関がこうも危機に陥ったのは今回が初めてではないでしょうか。」
「そうですね。常世がここまでやってくるとは。百鬼夜行の準備が整ったのかもしれない。」
「ところでオオクニヌシ様の神威をもつ子供がいると聞いたのですが」
「あ、それ俺の事だ。」
「渡したい物がございます。國谷、アレを持ってきてくれ」
奥から出てきたのは2本の刀であった。
「こちらは、昔オオクニヌシ様が使われていた刀でございます。こちらが生太刀、もう1本は十拳剣でございます。」
「オオクニヌシが使っていた刀、こんないいものをもらっていいんですか」
「初代祭主様よりお申し付けを代々受け継いで来ました『八尺瓊勾玉の欠片が1つでも破壊された場合オオクニヌシの神威を持つものにこの2本の刀を明け渡せ』と」
出雲は刀を手に取る。強力な神力が身体に流れる。刀は、身体の中に吸収された。
「これでお役目は果たせました。その太刀を使い魑魅魍魎を祓い清めてくだされ。」
「任せてください。俺がこの世にいる妖怪を全て祓い清めます。」
出雲たちは本殿を出て配置につこうとした。
「出雲、鈴お前ら今日は違う組で行動してくれ」
「隊長とですか」
「いや違う。出雲は華弥と鈴は穂乃果と行動してくれ」




