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葦原戦記  作者: 猫山 緑


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8/8

八雲薙

「さて、つるぎ久しぶりの共闘だ」


「足引っ張らないでね。碧先輩」


「相変わらず生意気だな」


【神威解放:風林火山】


つるぎの神威で出来た海の中に海底火山が出来た。


火山が噴火し、火口からは噴石や溶岩が溢れ酒呑童子を襲う。


だが、酒呑童子は先程までのつるぎと碧の猛攻を食らってもほとんど無傷であった。できた傷といえば擦り傷程度だった。


「頑丈過ぎるだろ。俺らの猛攻を受けかすり傷ひとつとは少し萎えちまう」


竹槍双槍たけやりそうそう


2本の槍が酒呑童子に向かって飛び出す。


軽くかわし酒呑童子は六尺棒をつるぎに向かって振るう。


水の球で衝撃をかなり和らげたが壁側に飛ばされた。


「大丈夫かつるぎ


「大丈夫。碧先輩、軽い弾末攻撃じゃほとんど通らない。僕の【嵐槍らんそう】や【海雷斬かいらいざん】を持ってしてもこれだ。強烈な一撃を何回も同じところに当てないとあいつの装甲は破れない。」


「そしたら俺が隙を作る。その間にお前の【天叢雲剣あまのむらくものつるぎ】でどうにかしてくれ」


操山そうせん


碧は地面に手を当てた。その途端、地面が揺れる。地面が今いる洞窟を離れるように動く3人は木に囲まれた所に連れていかれた。周りに生えるたくさんの木が酒呑童子をがっちり掴む。木を折り進もうとするがすぐに補充されていく。


つるぎ今だ。」


風が止み辺りは静寂に包まれた。空には幾重にも重なり合った雲が浮かぶ。雷鳴が轟くと同時に薙ぎ払う。


八雲薙やくもなぎ


空は割れ、刃は酒呑童子の身体を通過する。


だが、酒呑童子の身体には傷はない。


遅れて八つの斬撃が体内で同時に炸裂した。肉や骨が焼き切れる。


酒呑童子は血を吐きながら崩れ落ちた。


「君の肌は硬すぎる。なら内側を切ればいい。」


「クソ。回復が全くできない天叢雲剣に纏われている神力のせいか。妖力が上手く扱えん」


「さぁこれで終いだ。」


天岩弓あまのいわゆみ


碧は1本の矢を放った。


なんの変哲もない普通の矢だ。矢が酒呑童子に刺さる。すると、すごい質量が矢から降りかかる。自分の上に矢ではなく山が乗っているような程だ。


酒呑童子は矢を抜こうとするが重すぎて抜けない。


「まさか、ここまでやるとわ。死にそうになったのは、頼光にやられた時以来だ。」


と酒呑童子は大きな声で笑う


そこに羅生門が現れ門が開く


中から鬼が5体出てくる。一体は、酒呑童子と遜色ないくらいには強い妖力を持っている。その他4体もそれより少し劣るくらいだ。


強い妖力をもつ鬼が矢を持ち上げ地面に落とす。


「主君、お向かいにまいりました。」


「お前ら来てくれたのか」


「えぇ主君の妖力が急激に減ったのを感じ助けに参りました。やつらはどうしましょう。殺しましょうか」


「いや、大丈夫だ。俺の妖力もほとんど尽きた。今戦っても俺が戦いに入れない」


「御意」


鬼たちは、羅生門の中に入って行こうとした。


「待て、逃がすか【嵐槍らんそう】」


水の槍と雷の槍が放たれる


1人の鬼が大きな金槌のようなもので攻撃を薙ぎ払った。


「また、戦おう。天津機関」


羅生門に鬼たちが全員入る。そうすると木が軋む音と共に門が閉まった。


「クソ、逃がした。隊長2人いて取り逃がすなんて」


「落ち着け、つるぎ俺らでも5人の鬼を相手にしてたら負けてたぞ。」


つるぎは悔しそうに地面を叩いた


「あそこまで酒呑童子を追い詰めたのに」


「まぁそれはそうとして。お前ここに援護に来たのはいいけど。1人できたのかお前んとこの副隊長はどうした」


「貴船のことか。あいつ遅いから置いてきた。」


「お前なぁ、天津は原則2人1組行動だ。祭主様に報告はしておくからな」


「えぇいいじゃん別に、また怒られる。今月もう5回目だよ」


「怒られすぎだろ。まだ今月入って1週間だぞ。まぁいい帰るぞ。もう夜があけるぞ。」


2人は帰還の札を使い、天津本部に戻った。


戻るやいなや祭主室に向かった。


「よく生き延びて帰ってくれた。桜から聞いているよ。酒呑童子と相対したらしいね。」


「はい、ですがギリギリのところで取り逃してしまいました。」


「ツクヨミノミコトの神威で見ていたよ。惜しかったね。茨木童子いばらきどうしと酒呑四天王が来なければ殺れていたかもしれない。

まぁそんなことを考えても仕方ないか。」


「出雲は大丈夫そうですか。」


「出雲くんなら大丈夫だよ。ただの神威切れだからね。何日かは寝込むと思うけど。君たちも医務室に行くんだよ。」


「よかった。では失礼します。」


「うんお疲れ様。そうそうつるぎくんは残ってね。貴船ちゃんを置いて勝手に1人行動した事についてお話がしたいんだ。」


「そんなぁ。碧先輩置いていかないですよね僕のこと」


「達者でなつるぎ


碧は祭主室を出て医務室に向かった。


医務室のベットには出雲が眠っていた。隣で鈴が心配そうに見つめていた。


「そんなに心配するな鈴。神威切れはよくあることなんだ。特に神威を継承したばかりの頃はな」


「それ桜さんにも言われました。でも心配なんです。」


「そうか、なら看病でもしてやれ」


碧は軽く治療だけ受けて医務室を離れた。

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