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葦原戦記─神威を継ぐ者たちの妖怪討伐録  作者: 猫山 緑
第1章

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鬼の首領

(俺ひとりで酒呑童子と戦って勝てる確率は1%にも満たない。だからといって桜達と戦えば勝てる訳でもない。しっぽ巻いて逃げるのは男が廃る。つまり正解策は援軍を呼ぶだ。)


自分を鼓舞するように隊長は


「さぁ鬼退治の時間だ。」


杉酒一矢すぎだまいちや


放たれた矢は大きな杉に変わる。そこに矢を放つ。空いた穴からは、酒で出来たヘビがでてきた。


牙狼絞蛇がろうこうじゃ


オオカミは、手首を噛みヘビは、足と首を絞めその場に酒呑童子を固定した。


その間に隊長は白い札を出し洞窟の外に放り投げた。


「この程度か前隊長はもっと骨があったと思うが今は腑抜けだ。天津も落ちるに落ちたな」


鉄で出来た六尺棒を取り出し大きく振るって隊長を床に叩きつけた。


(クソ肋骨が2、3本折れたか)


「ば……ばけもんがぁ【竹槍双槍たけやりそうそう】」


2本の竹槍が酒呑童子に向かって飛び出した。だが、六尺棒で軽くいなされた。そして、隊長は腹を思い切り突かれ岩壁まで飛ばされた。


「もうおしまいか、俺はまだ何も技を出していない。この棒で殴っただけだぞ。あまりにも力の差がありすぎる。もっと楽しめると思っていた。」


ゆっくりと近づいてくる。頭の中は『死』という文字で埋め尽くされていた。


「し……神威も継承できずに……死ぬのか。や……殺るならい……痛みをなくやってくれ」


「妖怪にそれを頼むとはこれまで数々の同僚を殺して来たくせによく言うよ」


「お……お互いさ……様だ」


酒呑童子が隊長の首を取ろうとした。その時、桜の花びらが隊長を覆った。桜の花びらが風になびくように隊長を安全な所に運んだ。


「隊長大丈夫ですか。ここで休んでてください」


「だ……駄目だ桜に……逃げろ」


「酒呑童子、良くも以前は親父をころしてくれたな」


出雲は大声でいきり立った。


岩盤咬合がんばんかいごう


岩で出来た龍が動きを封じた。だが、軽く壊され出雲の頭潰す勢いで六尺棒を降ってきた。


その時、弾力のある水の塊が出雲を守るように現れた。


「第3部隊がこのザマかい。救援の札が光ったと思って来てみれば。まさか、酒呑童子がいるとはね。確かに碧先輩じゃ勝てないか」


声のする方をむくと背の高い美青年がたっていた。


「おぉ、第1部隊隊長 叢雲むらくもつるぎではないか。今日はつくづく運がいい。一気に2人の隊長の首を持って帰れば、ぬらりひょん様も喜んでくださる。」


「ぼくが、君に負ける?面白いこと言ってくれるね。天津四天王としてお前を祓い清める。」


「威勢がいいな。せいぜい楽しませろこの俺を」


「いやこっちのセリフだよ。君こそすぐに死なないでね【あめの羽々はばきり】」


水龍が現れ刀となり、宙に舞う。雷鳴と共に刀が独りでに酒呑童子に斬りかかる。刀はちょこまかと動き嫌なところを狙ってくる。


「鬱陶しい太刀筋だ。」


羅生門らしょうもん


大きな赤と白を基調とした門が現れた。中からケタケタと笑う老婆の声が聞こえてくる。木が軋む音と共に門が開く、中から何人もの髪の毛をツギハギして作ったような髪がつるぎの首を絞める。


天羽々斬は髪をばっさりと切りつるぎを救う。


咳き込みながらつるぎ


「気味の悪い髪の毛だな。汚いのは嫌いなんだ。【神威解放:天嵐海雷域てんらんかいらいいき】」


地面が海に変わる。上には黒雲が張り巡らされ、ゴロゴロと雷が落ちる。不思議と海には沈まず海面に立つことができる。


天叢雲剣あまのむらくものつるぎ


海の中から両刃の刀が出てきた。その刀からは強い神威が漏れ出ていた。並の妖怪なら漏れ出ている神威で消滅してしまうほどの力だ。


「すごい、すごいぞ。これまで肌で感じたことの無い力だ。胸が高鳴る。」


鬼哭啾啾きこくしゅうしゅう


羅生門の中から老婆が泣き叫ぶ声が聞こえ赤い涙が雨のように門から降ってくる。涙がつるぎの頬をかする。触れたところから体を侵食するように蝕む。


(毒か。解毒はできないが、強い神威の力で遅らせることはできる。早く終わらせないと僕が負けてしまう。)


嵐槍らんそう


海からは水の槍が黒雲からは雷の槍が何本も休む暇なく放たれる。


海雷斬かいらいざん


畳み掛けるように雷を纏った水の斬撃が走る。


(俺がこの中に入っても邪魔になるだけだ。なんなら師匠が中に入っても邪魔になるだろう。親父の仇を前に何も出来ないなんて)


出雲は自分の弱さを改めて痛感した。


(こんな場所で悲観してる場合じゃない。今自分にできることをやれ俺)


出雲は隊長の方に駆け寄った


葦原再生あしはらさいせい


眩く暖かい光と共に隊長の傷を瞬時に癒す


「大丈夫ですか隊長。痛むところはありませんか」


「あぁ大丈夫だ。にしても出雲の神威はすごいな。あの大怪我が今はもう元通りだ。」


隊長は出雲の頭をぽんと叩いた


「そうだ出雲、つるぎのことこの距離からでも直せるか。あいつがさっきかすった攻撃あれは即死級の毒だ。あいつだからあれだけ動けてるだけだ」


「多分直せる。【葦原再生あしはらさいせい】」


眩い光がつるぎを覆う。体から毒素が完全に抜け解毒される。


「体が軽くなった。ありがとう」


出雲は、親指を立てた。それと共に出雲は地面に倒れ意識を失った。


「大丈夫か出雲。」


隊長は出雲の方に急いで近寄る


「神威切れか。あんなに使えば無理ないか。桜、鈴出雲を連れて先に帰れ俺はつるぎといっしょにこいつと戦う」


「了解」


桜達は出雲を抱え帰還の札を使い帰った。


「いやぁ、別に碧先輩も帰っていいっすよ。」


「そお言うなよ。海と山で神威の相性は抜群だぜ。」


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