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葦原戦記  作者: 猫山 緑


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3/8

神域

「言ってなかったね。私、スセリビメの祝福を受け継いでるんだ」


俺は言葉を失った。


鈴がすでに祝福を持っているなんて、思ってもいなかった。


「……夢界のおじさんから継いだのか?」


夢界のおじさんは静かに首を振る。


「勘違いするな。私は祝福を持っていない。いわゆる無能力者だ」


「え……?」


「鈴が継承したスセリビメの祝福は、私の妻からだ」


「鈴のお母さんも……?」


「ああ。妻は氷川が率いていた第3部隊の副隊長だった」


胸がざわつく。


親父と、鈴の母さんが同じ部隊だったなんて。


「……そうか」


夢界のおじさんは古びた書物を差し出した。


「これを渡すのを忘れていた」


俺は受け取る。


「歴代のオオクニヌシ継承者が記した神威しんいの書だ。使いこなせ」


書物に触れた瞬間、微かな熱が掌に宿った。


まるで、過去の継承者たちの感覚が流れ込んでくるようだった。


「……行くぞ、出雲。鈴」


俺たちは頷いた。



社務所を出て、本殿へ向かう。


中央には大きな鏡が祀られていた。


「その鏡に触れろ」


言われるまま、そっと手を伸ばす。


触れた瞬間、視界が揺らいだ。


足元が消え、空間が歪む。


――気づけば、見知らぬ場所に立っていた。


広大な空間。


中央には、天を突くような巨大な杉の御神木。


「ここが天津機関本部だ」


俺は息を呑む。


「今から祭主に会う」


「祭主?」


「天津機関の長だ」


御神木に近づき、夢界のおじさんが手を当てる。


「祭主室まで」


木の幹が静かに開き、内部へ吸い込まれる。


光が収まると、そこは落ち着いた一室だった。


そして――


俺たちとそう歳の変わらない少女が立っていた。


「君たちがオオクニヌシとスセリビメの継承者?」


柔らかな笑み。


だが、その奥に底知れない光を感じる。


「やっと同年代が入ってきた。私は天野 月詠つくよみ。祝福はアマテラスオオミカミ。よろしくね」


俺は一瞬、言葉を失った。


この人が――祭主。


「大國 出雲。よろしく」


「平坂 鈴です。よろしくお願いします」


月詠は満足そうに頷く。


「君たちは第3部隊に所属してもらう。天津機関には六つの部隊がある」


指を折りながら説明する。


「第1部隊は水。第2は火。第3は地。第4は雷。第5は知恵。そして第6は混沌」


その声は穏やかだが、どこか重い。


「オオクニヌシとスセリビメ。君たちの力は“地”と相性がいい」


「そんなにあるのか……」


「案内したいけど、私はまだ仕事が残っていてね」


その時、背後から気だるい声がした。


「……了解。ほら、ついてこい」


振り向くと、無精髭の男が立っていた。



廊下を歩きながら、男が口を開く。


「名前は?」


「出雲。祝福はオオクニヌシ」


「鈴です。祝福はスセリビメ」


「俺はあお。祝福はオオヤマツミ。第3部隊隊長だ」


オオヤマツミ。


山の神。


「先代の隊長の息子と副隊長の娘か。お前らは強くなるかもしれないな」


「親父たちの事を知ってるのか」


「知ってるも何もクソお世話になった先輩方だよ。あの人たちのおかげで俺は隊長まで昇るほど強くなった。よく面倒見てもらったよ。まぁ俺は先輩たちみたいに面倒見ねぇからな」


軽く笑う。


「さっさとお前が隊長になって俺の仕事を減らせ、俺は戦うだけでいい。」


少しだけ、空気が和らいだ。


やがて、木々が生い茂る広間に出る。


「ここが第3部隊本部。右が個室だ。空きは二つある」


「妖怪退治はいつだ?」


俺が聞くと、碧は肩をすくめた。


「今日は他部隊が出てる。お前らは明日からだ」


「……」


「今日は休め。覚悟決める時間だ」


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