大魔法使いの願い
アルデバランは杖を軽く振り、ルナの周りに淡い光を漂わせた。
「ルナ、お前には稀有な魔法の素質がある。バルドやガレンを超える可能性を秘めている。この国では、弟子はほとんど男子だが、君は別だ。私の弟子となり、魔法を学ばぬか?」
ルナは目を丸くし、驚きで口を開けた。
「え、私? 魔法使いに!? うそ、ほんと!?」
エリナが息を呑んだ。
「アルデバラン様、ルナはまだ13歳です! 闇の魔法使いが動いている今、危険すぎます!」
バルドも頷く。
「ルナは強い心を持っているが、魔法の道は厳しい。ガレンでさえ、まだ試練の途中だ。」
ガレンが口を挟む。
「ルナ、俺はお前が危ない目に遭うのを見たくない。家でパンを焼いて、祭を楽しんでろよ。」
だが、アルデバランは静かに続けた。
「闇の魔法使いは、来年の竜祭に現れるだろう。ルナの潜在能力は、そやつを倒す鍵となる。修行が終わる前に戦いが始まるかもしれんが、ルナなら耐えられる。私はそう信じている。」
ルナの胸は驚きと興奮で高鳴った。
「闇の魔法使い!? 私、戦えるの? おじさん、教えてよ! 魔法でババーンってやっつけたい!」
エリナがため息をついた。
「ルナ、あなたのその無邪気さが心配なのよ……。」
バルドも苦笑したが、ルナの輝く目に負けた。
「アルデバラン、娘を頼む。ルナ、無茶はするなよ。」
ルナは飛び跳ね、アルデバランに抱きついた。
「やった! 旅のおじさんの弟子になる! 絶対強くなるよ!」
アルデバランは笑い、ルナの肩を叩いた。
「その好奇心が、君を導く星だ。準備しろ、ルナ。竜祭の後、旅が始まる。」