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龍運  作者: 星凪 怜
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帰りの寄り道の話


封印を終えた、ルナとアルデバランは、ルナの希望で、遠回りをして帰ることにした。

南の街、サザンヴェイルの市場は、ルナの心を瞬時に鷲づかみにした。

南の交易都市の城門をくぐると、虹色の絹布が風に揺れ、甘いサンフルーツの香りや貝殻の楽器の音が響き合う。

エメラルド色のローブをまとった旅人や、羽飾りの帽子をかぶった商人が行き交う中、ルナは目をキラキラさせて叫ぶ。

『 こんなすごい場所、初めてです!』

『ルナ。目を輝かせるのはいいが、スリに財布を狙われんよう気をつけろ。』

アルデバランは長い杖を手に、市場の喧騒を渋い目で見つめる。

『お土産をさっさと選んで、城下町へ帰るぞ。』


ルナはヴェールウッドの森での修行を終え、家族……父バルド、母エリナ、兄ガレンとルーク――の待つ城下町へ帰る途中である。


だが、サザンヴェイルの市場と「南の街の伝説」の噂を聞き、アルデバランに寄り道を懇願。

渋々同行したアルデバランだが、ルナの好奇心旺盛な笑顔には敵わない。

ルナは父バルドの黒龍石ペンダントを握り、母エリナからもらった薬草と癒しの聖水の革袋を肩に、市場の冒険に飛び込む。


市場は城下町では見たこともない品々で溢れている。星形のサンフルーツ、宙に浮かぶ「光のオーブ」を売る怪しげな商人、珊瑚でできた首飾りを並べる露店。ルナの耳に、露店の老女が語る話が飛び込む。

『サザンヴェイルの伝説、知ってるかい? 市場の奥に星竜の泉があって、選ばれし者の純粋な魔法に反応し、龍と心を通わせる星竜石が現れるんだよ。』

ルナは目を輝かせ、アルデバランに振り返る。『星竜石!? お父さんにぴったり! だって、お父さん、城の龍の世話人なんだもん!』

アルデバランは髭を撫で

『伝説なんて商人の客引きだ。だが…お前の父なら、覗いてみる価値はあるか。』とニヤリ。

ルナのテンションに引きずられ、二人でお土産探しと伝説の泉を目指す。


母への土産で、最初に目についたのは、「海星のショール」

青と珊瑚色が溶け合う絹布に、癒しの魔法が宿る。『お母さんの優しい笑顔にぴったり!』ルナは9シルバーの値札にひるむが、アルデバランが『7シルバーだ』と商人を睨み、即妥協させる。ルナは『値切り魔法すごい!』と拍手し、ショールを革袋にしまう。



ガレンには「カッコいい」ものを。武器屋で「星鋼の腕輪」を見つけた。軽量で剣の振りを速くする魔法付き。『ガレンの剣練習に絶対役立つ!』とルナは5シルバーを払う。

アルデバランは『見た目だけでなく実用性もある。悪くないぞ』と珍しく褒めた。


ルークには旅人らしい実用的なもの。道具屋で「風織りのリュック」を見つけた。軽量で防水、魔法の糸で荷物を守る大容量の袋で、夜には星模様がほのかに光る。

『ルーク、冒険者になるって言ってるから、これで旅の荷物バッチリ!』

とルナは6シルバーを支払う。アルデバランが『旅の基本は荷物の管理だ。いい選択だ』と頷く。




父バルドには、黒龍石より貴重な「星竜石」を選んだ。 

市場の奥、苔むした石階段を下りると、伝説の「星竜の泉」が現れる。泉は星屑のように輝き、ルナはペンダントを握りながら水面に手を触れる。『父さんが龍ともっと話せますように…』と願うと、泉がまばゆく光り、小さな星の精霊が現れた。


精霊はルナをじっと見つめ、キラキラと笑う。『おお、純粋な心と強い魔法の力! 汝の力は星竜に通じる!』

一瞬でルナの魔法の素質を見抜いた精霊は、試練を課さず、紫と金の星竜石をふわりと差し出す。

『これを龍の世話人に渡してほしい』


ルナは目を丸くし、星竜石を受け取る。アルデバランは杖を握りしめ、驚きの表情を隠せない。

『単なる伝説と思っていたが……ルナ、よくやったな。』


ルナは、星竜石を大切に包む。

『お父さん、龍とどんな話をするかな!』

と目を輝かせる。 


荷物を抱え、ルナは市場の噴水広場で夕陽を見る。母エリナのショール、兄ガレンの腕輪、兄ルークのリュック、父バルドの星竜石……家族の笑顔が浮かぶ。

『伝説の泉、すごかったです! 精霊、凄く優しかったです。寄ってくれてありがとう』


アルデバランは杖を肩に担ぎ、ニヤリと笑う。

『フン、悪者がこの石を狙ったら厄介だからな。さあ、帰ろう』



ルナとアルデバランは、懐かしい家への道を急ぐのだった。


(完)

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