表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍運  作者: 星凪 怜
15/17

潮の島


炎の山を後にしたルナとアルデバランは、潮の島へと向かう旅を始めた。


朝の陽光が岩だらけの道を照らし、遠くに海の青い輝きが見え隠れしていた。

ルナの胸元では、光の結晶、風の結晶、炎の結晶がそれぞれの輝きを放ち、彼女の魔力を増幅していた。黒竜石のペンダント、母エリナの聖水と薬草、ルークのナイフ、ガレンの魔力を宿した短剣は、革袋の中でルナを支え続けている。


星の神殿、風の谷、炎の山での試練を乗り越えたルナは、星の守護者としての力を大きく伸ばしていたが、竜王アザロスの復活が迫る中、彼女の心には静かな決意とわずかな緊張が同居していた。

『潮の島ってどんなところ? 海の真ん中に浮かんでるの? キラキラしたサンゴとか、泳ぐ魚がいっぱいなの?』

ルナは海風に髪をなびかせながら、好奇心に満ちた声でアルデバランに尋ねた。

彼女の金色の髪が陽光に輝き、ペンダントが軽やかに揺れていた。


アルデバランは杖を手に、穏やかに答えた。

『潮の島は、星の守護者の最後の仲間である『潮の民』が住む聖なる島だ。彼らは水の魔力を操り、癒しと調和の力を司る。

風が自由を、炎が情熱を教えてくれたように、潮の民はお前に心の深さと命の流れを教えてくれる。だが、ルナ、水の魔法は繊細だ。心の平静を保たねば、力は濁ってしまう。準備はできているか?』


ルナは拳を握り、目を輝かせた。

『大丈夫! 水の魔法、楽しみ! 波を起こしたり、魚とおしゃべりしたりできるの? 私、ぜんぶマスターする!』

アルデバランはルナの熱意に小さく笑い、杖を軽く振った。


『その好奇心が、お前の強みだ。だが、潮の民の試練は、これまでとは異なる。お前の心の奥深くを見つめ、過去と向き合う必要がある。心を強く持て』






潮の島への道は、海岸沿いの険しい崖を進むものだった。

波の音が響き、潮風がルナの頬を撫でた。アルデバランはルナに、水の魔力の基礎を教えた。彼女は「アクア・フローレ」と唱え、近くの小川の水を操る練習を始めた。

最初は水を少し動かすことしかできなかったが、ルナの集中力と好奇心は驚くほど早く上達し、水を小さな渦に変えられるようになった。

『見て! 水が私の言うこと聞いてる! くるくる回って、きれい!』

ルナは水の渦を手に操り、笑顔でアルデバランに見せた。


アルデバランは頷き、静かに言った。

『よくやった、ルナ。だが、水は命の流れそのものだ。操るだけでなく、その流れに身を任せることも学ばねばならない。潮の民は、お前にその術を教えてくれる。』


その夜、野営の準備をしていると、突然、海から不気味な気配が漂ってきた。波が異様に高くなり、遠くで雷のような唸り声が響いた。

アルデバランは杖を握り、海を見据えた。

『ルナ、気をつけろ。闇の勢力がまた動き出した。潮の島に近づく我々を、阻もうとしている。』

ルナはガレンの短剣と光の結晶を握り、風と炎の結晶を胸に押し当てた。

『またあの黒い霧? 私、光と風と炎でやっつけたんだから、水でもぜんぶやっつける!』

アルデバランは杖を構え、ルナに指示した。

『ルナ、水の魔法はまだ未熟だ。光、風、炎を組み合わせろ。私が結界を張る。準備しろ!』


黒い霧が海から押し寄せ、赤い目が無数に光った。

今回は、霧の中から水をまとった蛇のような魔獣が現れた。ルナは一瞬怯んだが、家族の顔を思い出し、勇気を奮い立たせた。

「ルミス・ヴェントス・イグニス!」彼女が叫ぶと、光、風、炎が融合した攻撃が魔獣を直撃した。

アルデバランの結界が魔獣の反撃を防ぎ、ルナの攻撃で魔獣は黒い霧となって海に沈んだ。

ルナは息を整え、笑顔でアルデバランを見上げた。

『やった! 光と風と炎、すごく強い! 水の魔法も早く使いたい!』

アルデバランは厳しい表情で頷いた。

『ルナ、よくやった。だが、闇の勢力はますます強くなっている。潮の島に近づくほど、試練は厳しくなる。心を強く持て。』







数日後、ルナとアルデバランは潮の島にたどり着いた。

島は青い海に囲まれ、サンゴ礁と白い砂浜が輝いていた。島の中心には、潮の民の集落があり、貝殻と水晶で飾られた家々が並んでいた。

潮の民は、青と銀の衣をまとい、髪に海の泡のような輝きを持っていた。


集落の指導者、穏やかな雰囲気の女性ミリアが出迎えた。

彼女の目は海のように深く、声には癒しの力が宿っていた。

『アルデバラン、星の守護者の子孫を連れてきたな。この子がルナか? 水の試練に耐えられるか、試させてもらう。』


ルナは少し緊張しながらも、元気に答えた。

『はい! 私、ルナです! 星の守護者になるために、水の魔法を学びに来ました! よろしくお願いします!』

ミリアはルナをじっと見つめ、優しく微笑んだ。

『その純粋な心、気に入った。だが、水の魔法は心の深さを求める。ルナ、試練を乗り越えられるか?』

ルナは拳を握り、目を輝かせた。

『絶対乗り越えます! 水でも、光でも、風でも、炎でも、ぜんぶ使って、星の守護者になります!』

ミリアは頷き、ルナを島の奥にある「潮の祭壇」に導いた。

祭壇は、海水が流れる円形の広場で、中央に青い水晶が浮かんでいた。


『ルナ、ここで潮の精霊と対話する試練を受ける。潮の精霊は、汝の心の深さを見透かす。平静な心がなければ、水は汝を飲み込むだろう。』







ルナは潮の祭壇の中心に立ち、深呼吸をした。

光の結晶、風の結晶、炎の結晶、黒竜石のペンダントが彼女を支え、家族の愛が心に力を与えた。

ミリアが呪文を唱えると、青い水晶から海水が溢れ出し、ルナを包み込んだ。

水の中から、静かな声が響いた。

『星の守護者の子孫よ、汝の心の深さを見せなさい。水は命の源だが、濁れば全てを飲み込む。汝は、水を導く力を持つか?』

ルナは水の冷たさに一瞬震えたが、星の神殿、風の谷、炎の山での試練を思い出した。

ルナは目を閉じ、心を落ち着けた。「アクア・フローレ!」彼女が唱えると、彼女の手から小さな水の流れが生まれ、祭壇の水と共鳴した。

だが、潮の精霊はさらに強い波を起こし、ルナの心に囁いた。

『汝の心には迷いがある。過去の失敗、未来への不安……それらを清めることができるか?』

ルナは家族の顔を思い出し、母エリナの聖水を手に取った。

『私は迷わない! お父さん、お母さん、ルーク、ガレン、みんなが信じてくれてる! 私、星の守護者として、ぜんぶ乗り越える!』

彼女は光の結晶、風の結晶、炎の結晶を掲げ、「ルミス・アクア!」と叫んだ。光と水が融合し、眩い水の渦が祭壇を包んだ。

潮の精霊は満足そうに笑い、ルナの前に姿を現した。それは、海の波のような髪を持つ女性の姿で、水そのもののような存在だった。

『ルナ、汝の心は清らかだ。潮の力を授けよう。』

青い水晶が輝き、ルナの手に小さな潮の結晶が現れた。

それは、触れると清らかな水を呼び起こす力を持っていた。ルナは目を輝かせ、ミリアに駆け寄った。

『やった! 潮の精霊、認めてくれた! これで、私、もっと強い魔法使えるよね?』

ミリアは微笑み、頷いた。

『ルナ、潮の結晶は、汝の魔力をさらに増幅する。だが、水は命の流れだ。使う時は、常に心を清らかに保て。』







潮の島での訓練が進む中、ルナは水の魔法を自在に操れるようになっていた。

彼女は波を操って防御の壁を作ったり、癒しの水で傷を癒したりできるようになった。だが、平和な日は長く続かなかった。


ある夜、ミリアが緊急の集会を呼び、潮の民を鼓舞した。

『闇の勢力が動き出した。潮の島の結界に、強力な魔力が迫っている。アザロスの使者が、ルナを狙っているぞ!』


ルナは潮の結晶を握り、決意を新たにした。

『アザロスの使者? 私、星の守護者として、ぜんぶやっつける! 潮の民のみんなも、守る!』

アルデバランは杖を構え、ルナに言った。

『ルナ、潮の民と共に戦え。今回の敵は、これまでで最も強い。光、風、炎、水の力を組み合わせ、心を強く持て。』


夜が更けると、潮の島に黒い霧が押し寄せ、巨大な闇の魔法使いが現れた。彼は海を割るような力で島を揺らし、ルナを指さした。

『星の守護者の子孫よ、汝の力はアザロスの復活を止めることはできん! ここで終わるのだ!』

ルナは怯まず、光、風、炎、潮の結晶を握り、叫んだ。

『私はルナ、星の守護者! 家族と、みんなを守るために、絶対に負けない!』

潮の民が一斉に水の魔法を放ち、ルナはアルデバランと共に立ち上がった。「ルミス・ヴェントス・イグニス・アクア!」ルナが叫ぶと、光、風、炎、水が融合した眩い攻撃が闇の魔法使いを直撃した。魔法使いは悲鳴を上げ、黒い霧と共に海に沈んだ。



ミリアはルナに近づき、彼女の肩に手を置いた。『ルナ、汝は潮の民の誇りだ。星の守護者として、立派に戦った。』







潮の島での試練を終えたルナは、潮の結晶を胸に新たな力を手に入れた。

彼女は光、風、炎、水の四つの力を操る魔法使いとして、大きく成長していた。アルデバランと共に最終目的地へと旅立つ準備を整えた。


『次はどこに行くの? これで全部の魔法、揃ったよね?』

ルナは笑顔でアルデバランを見上げた。

アルデバランは星空を見上げ、静かに答えた。『ルナ、お前は四つの元素の力を手に入れた。だが、アザロスの復活を止めるには、最後の試練が待っている。星の神殿に戻り、封印の儀式を完成させるのだ。』

ルナは拳を握り、星空に向かって叫んだ。

『星の神殿! よーし、私、ぜんぶ乗り越えて、アザロスをやっつける! 星の守護者として、みんなを守る!』

潮の島を後にし、ルナの冒険は最終章へと進んでいく。

彼女の心には、家族の愛、星の守護者の遺産、光、風、炎、潮の民から授かった力が宿っていた。

だが、竜王アザロスの復活が目前に迫る中、ルナの旅は最大の試練へと向かっていくのだった。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ