第八話 『認識の違い』
オリビアやトウカさんはギルドに登録しているので、討伐証明部位をギルドに持っていけば報酬であるお金をもらうことが出来る。
そのため、俺たちは今日何度目かもわからない討伐証明部位を剥ぎ取りを行っている。
その時、俺たちは近くに魔力反応があることに気が付いた。
逃がさないように、俺たちは静かに近寄っていく。
そして、先手を仕掛けようとこっそり茂みからその魔獣を見ようとした。
しかし、そこには俺たちの想像とは違い三人の冒険者のような恰好をした男たちが談笑していた。
(どこかで見たことある気がするけど、どこだったっけ?)
ただ、人であることには変わりないので、俺は安心して情報交換でもしようと立ち上がった。
すると、男たちは一瞬警戒はしたものの、俺が魔獣でないと分かりすぐにホッとした表情を浮かべた。そして、三人のリーダーっぽい服装の男が話しかけてきた。
「よお、お前らも魔獣ぅ、ん?」
不自然に言葉を止めたリーダーらしき男は、俺の顔をジーと見てきた。
そして、徐々にその表情を敵意に変えていった。おいおい、なんか既視感があるぞ。
それを不信に思った仲間らしき男二人は尋ねる。
「おいガラド、何か変なことでもあるのかよ?」
どうやら、リーダーらしき男はガラドというらしい。
その言葉を聞いたガラドは、正気に戻ったかのようにハッとしてから、キッと俺を睨みつけて、
「お前ぇ、ギルドにいた魔族の小僧じゃねぇか!」
その言葉で、俺はこの男をどこで見かけたかを思い出した。
彼は、俺がギルドで受付嬢さんに逃げ去られた後、こっちを敵意のこもった目で見てきた冒険者の一人だ。
連中の中でもかなり込められていた殺意が大きかったので覚えている。
(クソッ、油断していた。)
普段町を歩いていても、ブレスレットの認識阻害効果のおかげで、あの時の冒険者とすれ違っても気づかれることはなかった。
しかし、今回は条件が違う。
認識阻害効果は、自身から何かしらアクションを行っていた場合、能力を発動しない。
つまり今回、俺は認識阻害の効果に期待することはできない。
彼の言葉を聞いた二人の男たちはというと、その言葉を飲み込むのに少し時間をかけてけから、
「おいおいガルド、そんなわけないじゃないか。あいつに角なんてないだろう。」
「だけど、あいつ魔力持ちッスけど?。」
「魔力持ちぐらいたまにいるでしょう。」
二人は、俺が魔族か否かで口論を始めた。
ちなみに、、俺が魔力を持ってることに気が付いた奴は、俺たちが魔物と勘違いした魔力持ちだ。
しかし、その口論が長く続くことはなかった。なぜなら、
「タイ、ソンカ、一旦聞け!いいか、こいつはギルドで、「俺の種族が二つあるように見えるんだが」、みたいなことを言ってやがった。つまり、こいつの正体は半魔だ。」
しまった。今、俺が「俺はたまたま魔力を持って生まれただけだよ。ほら、角なんてないだろ?」と言って言い逃れしよう思っていたのに、ワンダルの一言で全部台無しだ。
というか、なんで一週間前の俺と受付嬢さんとの会話を覚えてんだよ!あの会話はまだ俺が魔族とばれてない時にしたはずなのに。
「いいか?今、ここには俺らとあいつしかいない。」
オリビアはずっと茂みの中でジッと状況を見ていて出てこないので、まだあいつらに気づかれてはいないらしい。
「つまり、俺たちがあいつを殺したとしても誰かに気づかれる心配はない訳だ。」
いきなり殺すとか物騒な言葉が出てきたことに、俺は若干動揺していた。
それは仲間のタイとソンカと呼ばれた男たちも同じだった。
だが、そいつらはその言葉に対して数瞬黙考した後、何かを決意したかのような表情をして、腰の剣や杖に手をかけた。
(マジかよ!)
俺は勘違いをしていた。
こいつらや他のこの町の冒険者たちも、家族や恋人などを魔族に殺されたから、魔族の血を引く俺にも敵意を向けてくるのだろう、と。
確かにそれは合っている。
だが、俺はその敵意を図り損ねていた。
彼らの向ける敵意や憎しみは本物なのだ。彼らは皆、俺を本気殺そうとしている。
「やっちまえ!」
「クッ。」
いままで魔獣とはかなり戦ってきたことで、それなりの経験を持っている。
けれども、対人戦においては全くの素人と言っても過言ではない。
オリビアは茂みから出ようとしないので、きっと対人戦の経験を積ませようとでも考えているに違いない。
キルゴットは、はっきり言ってしまえばテロリスト集団なので、いずれはこういう経験も必要になってくるとは想定していた。
が、まさか今日いきなりこんなことが起こるとは思っていなかった。
「注意して下さいッス。あいつの魔力量はオイラの三倍はあるッス。」
「それを早く言えや!」
そう言いながらも、ガルドはとてつもない速度で俺に迫ってくる
(「身体強化」を使わずにこの速さなのかっ!)
俺はすぐさま全身に魔力を高速で流し、「身体強化」を使用する。
そして、すぐに手に魔力を集めて、「シャイニングボール」を放つ。
人に使うには少し威力が高すぎるが、今はそういったことを気にする余裕がない。
放たれた「シャイニングボール」は高速でガラドに飛んでいき、直撃するかに思われた。だが、
「あめぇなぁ!」
そう言うと、ガラドは手に持つ長剣で魔法を切ってしまった。
そんな人間離れした神業を軽々とやってのけたガラドに対して、俺は引きつった笑みを浮かべることしか出来ないのだった。
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