第五話 『冒険者ギルドへ①』
オリビアさんとの魔法の訓練を続けて、もう一週間が経とうとしていた。
正直この一週間はかなりキツかった。なにせ、オリビアさんの訓練は俺の想像よりも遥かにスパルタなものだった。
俺の体に魔力を流すことが止まってしまうと、すぐさま俺の魔力を無理やり操って循環を再開させる。
それを俺の魔力が切れるまで延々と続けさせられたのだ。
しかし、そのの訓練のおかげで、俺は着実に魔法を感じて操ることに慣れてきたと思う。
なんと昨日、一つ目の魔法を覚えることが出来た。
その名も「身体強化」。
魔力をより素早く体に循環させることで、名前の通り身体能力を強化してくれるのだ。
初歩的な魔法らしいが、性能はとても高い。
そして今日、俺は早速これを使ってみることにした。
「おはようございます。」
「おはよう!」
地下から出てきたのは、トウカさんだ。
まだ早朝だというのに、とても元気がいい。
「ご機嫌ですね。」
「そう見えるかい?」
「ええ。」
そう言うと、トウカさんは走り出しながら答える。
「ふふっ、そうか。実はね、私は君と走ることが少し楽しみだったんだよ。」
「あまりいい思い出はありませんけどね。」
前回のランニングを思い出しながら、俺は自嘲気味にそう言った。
「確かに、あの日は途中で帰ることになったな。けど、いつも一人で走ってた私にとって、二人で走ったあの日はけっこう新鮮で、私は十分満足していたんだよ。」
「それは、良かったです。」
息も切らさずに走り続けるトウカさんとは真逆に、俺はもう体力が切れだしていた。
「大丈夫かい?一旦休もうか。」
「いいえ、ゼェ、ハァ、まだ大丈夫です。」
なにせ、俺には奥の手がある。
体の中の魔力を、俺の中の最高速度で流していく。
「ハァァァァァーーー-」
「おおっ。す、すごいじゃないか!」
トウカさんもけっこう驚いてる。
城壁はあと四分の一くらい残っている。しかし、この状態ならいける!
「十分ぐらいしか続きません。一気に行きましょう。」
こうして、俺は城壁一周分を走りきるのだった。
.......................................
.....................
.....
「おはよぉ~。」
家に戻ると、オリビアさんがちょうど起きてきたところだったらしい。
ソファーに飛び込むと、すぐさま読書を始めた。そして、
「今日はギルドに行くから。」
と、唐突にそんなことを言い出した。というか何故に?
「「身体強化」が使えるようになったなら、これからは魔獣との実戦も訓練に加えていく。」
「わかりました。」
そういえば、最初にそんなこと言ってたっけ。そう答えると、オリビアさんが、
「じゃあ、まずその話し方を直して。」
「ん?」
「そんな話し方だったら、他の冒険者に舐められる。」
確かに、冒険者って基本ため口で話してるイメージが強い気がする。昔読んだ本とかにはそういう説明はなかったが、そんな理由だったのか。
「わかりま、わかったよ。オ、オリビア。」
「というか、別に普段もその話し方でもいいんだよ?」
トウカさんがそう補足する。しかし、
「それはちょっと。一応俺はトウカさんの奴隷ですから。」
「あれ、言ってなかったっけ?君はもう私の奴隷では無くなっているよ。」
「へ?」
思わず、口から変な声が出てしまった。
「ボスの命令でね。キルゴットに入ったら、基本奴隷は開放することになっているんだよ。」
「知らなかったの?」
俺は、口を開けて固まってしまった。というか二人ともそんな重要なことを伝え忘れないで欲しい。
かなり心臓に悪い。
「まぁ、これで敬語を使う必要はなくなったね。」
「い、いや流石にトウカさんにタメ口を使うのはちょっと気が引けるというか。」
それは、何というか癖的なものだし。
俺は、動揺が収まらないまま朝食を手伝うのだった。
...............................
...............
......
朝食を食べ終えると、俺とオリビアさんはすぐに冒険者ギルドに向かった。
この町はなんだかんだ言っても大きい。トウカさん曰く、ここは魔族領との国境付近なので魔族軍が攻め込んでくることに備えて、この町が造られたらしい。
「着いた。」
オリビアさんがそう言うのを聞きながら、、俺は目の前にある『冒険者ギルド』という看板を掲げている建物に入る。
すると、目の前に受付嬢さんたちが数人並んで座っていた。オリビアさんは、その中の一人の前へ行く。
「冒険者ギルドへようこそ!今日はどのようなご用件ですか?」
「アベルを冒険者登録してやって。」
俺を指さして、オリビアさんが要件を伝える。
「そちらの方ですか?でしたら、まずこの水晶に手をかざしてください。」
「こ、これは何なんだ?」
敬語を使わないことを意識して、俺はこの水晶の用途を問う。
「これは、種族や性別などその人の基本的な身体情報を調べるためのアーチファクトです。」
「ん?」
オリビアさんが何か一瞬変な声を出していたが、理由は後で聞こうと思い、今は無視する。
「特にこの町は魔族領付近なので、種族をチェックすることにはかなり重要なんですよ。」
「なるほど、そうなのか。」
俺は、説明に納得したので、改めて水晶に手をかざす。
「ちょ、ま、」
オリビアさんのストップより先に、俺は手をかざしてしまう。すると、
種族 人族、魔族
性別 男
年齢 十歳
「ん?」
「「「「ん?」」」」
どういうこと?
新作書いてみました。
始めのダンジョンをループしていたら、いつの間にか最強になっていた。~落ちこぼれの俺が、世界最強へ至るまで~
https://kakuyomu.jp/works/16816927860607788129
「面白かった!」
「もっと読みたい!」
と思ったら、
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
作者のモチベーションになります。
また、ブックマークもいただけると本当にうれしいです。
何卒よろしくお願い申し上げます。




