第一話 『0歩目』
この時代、奴隷なんて珍しくない。盗賊にさらわれて、食べるものがなくて窃盗をして、元々両親が奴隷で、理由はいくらでもある。
充実した生活からいっきに奴隷に落とされてしまうことなんてざらにある。
アベル・リュートマスもそんな奴隷の一人だった。
「この子が、―――。」
「ええ。――――。」
何か聞こえる。久しぶりに聞く人の声で、俺は目を覚ました。
(また、誰かどこかに行っちゃうのかな。)
たまにこの店に奴隷を買いに客が来るので、自分のまわりにいる奴隷は定期的に変わってしまう。そのため、他の奴隷と顔見知りになってもそれ以上の関係になったことはない。
友人もなく、家族もなく、満足にご飯もたべられずに、この暗い店で買われることを待つだけの生活で、希望を持とうとすることなどとうに止めていた。。
「おい、出ろ。」
久々に檻から出る。すると、少し太っているこの店の店主と、見慣れない一人の女性が立っていた。
「こんにちは、坊や。」
一瞬、言葉につまった。何せここ数年まともに話す機会がなかったのだ。さらに、話しかけてきた女性は、彼の見てきた誰よりも美人だった。
「っ、」
名前を言うだけなのに、慣れないのと緊張でうまく言葉が出てこない。彼女も、困った風にサイドテールを傾ける。
「ぁ、アベル!」
出た声はとても弱弱しかった。しかし、女性は満足したのか、
「そっか、じゃあこれからよろしくね。」
人と長い間会話してこなかった俺にとって、その笑顔はとても新鮮だった。
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