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崖っぷちの世界踏破 ~時を越えてでもあいつをぶっ飛ばす~  作者: Rough ranch
第二章 竜族大陸にて
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第十七話 『予想外ですね①』


 飛んでいった地竜を俺たちがほとんど目視出来なくなった時、クサンドは話し出した。


「さて、そろそろ試練とやらを始めますか。といっても、私には勝負が成立するとは到底思えませんけど。」


 地竜以下とはいえ、七皇竜並みのプレッシャーを常に放たれている身としては、この場は比喩ではなく息苦しい。

 もし少しでも動いたり呼吸をすることで、クサンドに警戒心を持たれるのが怖いと思い、本能的に俺は呼吸を止めてしまっていた。

 そして、俺はもうクサンドと戦うしかないのだと自分に言い聞かせ、無理矢理に思考を落ち着かせる。


「はぁ、はぁ、」


 クサンドと戦うことを冷静に実感し、俺は自分が呼吸をしていなかったことにようやく気が付いた。

 クサンドの放つプレッシャーをモロに受けている俺は、向かい合っているだけですでに肩で息をいている。

 自分よりも強い敵と戦うのは、これが初めてなんかじゃ無い。

 ガラド一行や、あの転移魔方陣の前の竜との戦いだ。

 ガラド一行は、個々の能力、三人の連携共に高レベルなものだったし、 あの竜だって身体能力や魔力量はきっと俺よりも多かったに違いない。

 だが、そいつらとクサンドには俺にとって決定的に違うところがある。


「まあ、兄さんからの頼みなので、一応試練をある程度成り立つものにしてあげますか。

 

 そう言うとクサンドは、俺から背を向けて離れていく。

 当然、俺を見逃したという訳では無いだろう。

 すると、クサンドは遠くの木を指差しながら話す。


「ハンデとして数十秒程僕はあの木の下で待っていてあげますので、その間に出来るだけ僕から距離を取るなり罠をはるなりして下さい。」


 ありがたい。

 まあ、クサンド相手に素人の俺が張る罠が効果を与えるかと聞かれたら微妙なところだけれど。


「そうですね、十分間逃げ延びたらあなたの勝ちということで別に僕はあなたをいたぶりたい訳じゃないので。まあ、私が追いついた時は容赦なく殺しますけれど。」


 そう言うと、クサンドは指を差した木に向かって歩き出した。

 背を向けながら堂々と歩いているところを見るに、俺が今奇襲をしてクサンドを襲っても問題無いと思っているのだろう。

 不用心、という訳じゃ無い。

 確かに今から俺が奴にどんな手を使っても、クサンドには攻撃を加えるどころか気配を感じ取られて近づくことさえ多分無理だろう。

 そう、そこなんだ。

 ガラド一行や転移魔方陣の前の竜とクサンドの違うところは、作戦が通用するか否かという点だ。

 俺は最速で全身に魔力を巡らせて「身体強化」を使用し、全速力で森を駆ける。

 始まってしまったものは仕方がない。

 生き残るためにはこの試練を突破するしかない。

 

「どうすればクサンドから逃げれるか早く考えないとっ!」


 俺は走りながら脳を全力で回した。



.................................................................


....................................


...................



「さて、そろそろ行きますか。」


 私は、自分の魔力を全方位に行き渡らせる。

 そうすることで、どこに何があるのかを探ることが出来るのです。

 私はあのリュートマスの性を持つ男の魔力を覚えているので、その魔力を探ればがどこに居るかはある程度分かります。

 この距離ならば、僕が本気を出せば十秒も掛からずに着けることでしょう。

 しかも、リュートマスは私を騙せると思っているのか一か所でじっとして動かない。


「期待外れですね。」


 期待外れというよりも、予想外と言った方が正しいかもしれないですね。

 なにせ、私はリュートマスの魔力量を感じた時から彼にはほとんど期待などしていませんでしたから。

 そこらの魔族や人族と比べれば確かにかなり魔力を持っている方でしょう。

 しかし、私や他の七皇竜の様な伝説と戦うことの出来る次元ではない。

 だけれども、ジオラストーク曰く兄様はリュートマスはこの試練を超えるだろうとおっしゃっていたらしいのです。

 兄様が試練を与えた男なのだからもう少し私を苦戦させるだろうとは思っていました。


「すぐに殺してしまってはつまらない。じっくりと恐怖を与えた上で殺してあげましょう、リュートマス。」


 リュートマスはまだ予言の指す男と決まった訳ではないのです。

 もしリュートマスが予言の指す男でなかったとしたら、彼と同じ姓を持つ兄弟や親戚があの転移魔方陣から来るだけです。

 だって、予言は絶対なのだから。

 兄様の考えを尊重してこの試練の公平性を保つ為、待機中はリュートマスの奴の気配を探るのを止めてあげていました。

 しかし、それも意味のないことでしたね。


「せいぜい私と兄様の期待を裏切った報いは受けてもらいますか。」


 そう言いながら、私はゆっくりとリュートマスの魔力を感じる場所へと歩いていく。

 少しでも恐怖を与えるために。


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