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自由暗殺人 ノロクロ  作者: 浪川 晃帆
Ⅴ 魔天使のしらべ
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デモ集会 ‐1


  *  *  *


 7月3日がやってきた。

 新国会議事堂の前には一万人を超えるデモ集会が展開する。代表である法師是雲は姿を見せないが、今日集まっているのは、青色の襷と旗で人と地球の未来に恒久的平和を願う〈ヒトと地球の未来を考える会〉の会員たちだ。

「自衛隊のぉー、太平洋軍編入にぃー、我々は反対するー!」

「「「はんたいーい!」」」

「世界からぁー、軍事力を廃絶せよぉー!」

「「「はいぜつせよー!」」」

「地球を愛せぇー!」

「「「あいせー!」」」

 メガホンを持つ男が指揮をとり、男が声をあげると集団はそれに続いて拳を振り上げた。「人は平等だー!」

「「「ひとはびょうどうだー」」」

 午前九時より、抗議集会は雨中の中も続けられた。集まった者たちのコーラスは自らの士気を高め、そこに大義を、あらゆる主義の正当性を確信したのだ。

 集団は一丸となり、例え警察に囲まれようとも、決して怯む事はない。むしろ勢いは一層強まるばかり、中には警察官の目の前まで行って叫び倒す者も現れるほどだ。

 正午。ついに一部では衝突を起こし、警察による放水排除活動が行われた。しかしデモ隊も負けじとゴミを投げつけ、一時間後には催涙弾の投擲までに至った。

 その間も全国より駆けつけた同志によって。デモ集会は更に巨大化する。

 午後二時。公安省の実働部隊に治安出動がかけられた。たちまち現れる戦術輸送ヘリと装甲車両群が周辺全域を真っ黒に囲み、現場の緊張感が跳ね上がる。

 しかし。彼らは止まらない。

 彼らは知っているのだ。それでも撃たれることはないと。

 報道関係者も多数寄っているこの場所で、設立間もない公安省の実働隊が民間人に発砲するような事があれば、その批判は全世界より集中し、組織の存続が危ぶまれるからだ。

 そう、いまこの場所において彼らは無敵の正義を誇るのである。


 ――人は、平等じゃねえ。お前らの命に価値なんてねえぞ。ははは。


 その最中。隻腕の男が現れた。

「な、なんだ君は」

 新国会議事堂前より少し離れた駐車場だった。

〈ヒトと地球の未来を考える会〉の所有する大型街宣車の待機場所で、男はゆらりゆらりと変則的な足取りで近づき、車両の運転手に声を掛けた。

「鍵ついてる?」

「ちょっと待て。君は何だ? どこの支部の会員なのかまず教えなさい」

「尾張中京南支部だっけか、まぁとりあえずさ、このバス貸すか、死ぬか、どっち?」

「な、なに?」

「まぁ殺すけど」

 すると次の瞬間。何の前触れもなく、運転手の男の首は不思議そうな顔をしたまま、ごろりと下に落ちたのだ。

「う、うわぁああああ! 人殺しだぁあああ」

 場に居合わせた者はその様子を目にして一斉に叫び声を上げるが、男はそれに構わず街宣車の運転席に乗り込んだ。

「鍵ついてんじゃん。いいねえ」

 エンジン始動。

 巨大な街宣車は駐車区画を仕切った柵を突き破り、平和な公道に解き放たれた。




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