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渇望の酸 ポッゾ

作者: 木瀬零吾

 酸の雨が降ってくる。皆が溶けていき、建物も溶けていく。

 植物も溶けて、地面も溶けていく。

 海は汚染されて、海洋生物も溶けていく。

 降らしたのはポッゾだ。この世を破壊するために降らせた男は、ポッゾという名前だった。

 ポッゾは溶けないよ、ポッゾは降らない場所に居るから。

 ポッゾははるか上空に居るよ。この世界を破壊したいから、そんな場所に居たんだ。

 ポッゾ酸の雨を降らす。地球のなにもかもを溶かしたいから、酸の雨を降らせるんだ。

 そのうち、大きな亀裂が地球に入って、いたるところで大地震が頻発する。そのうちマグマが這い上がって来て、酸の雨を燃やしていく。

 そのままだと僕も燃えてしまうからと、ポッゾはより高い場所へ離れていった。

 ポッゾは火の玉となった地球を見ている。

 でも、そのままだと何も出来ないから、地球を冷やすことにした。

 冷えた地球は塊で、ポッゾはそれをたたき割った。

 粉々になって、地球という惑星は無くなった。破片がどこかへ飛び散って、再び固まることは無いだろう。

 そしたら、神さまがやり直した。地球の人々にやり直す機会を与えたのだ。

 なんでだ、どうしてだとポッゾは叫んだ。でも、神さまはやり直したのだ。

 それからポッゾが三度地球を粉々にしたのだけれど、神さまはやり直した。

 その都度、ポッゾが神さまに問いかける。なぜ、あなたは私を救ってくれないのだ。

 それに神さまが答えることは無くて、神さまは、地球に住む人たちを支えてくれていた。

 なぜ、あなたは居たのだ。これまで、あなたは居たのだ。

 僕を止めなかったのは、あなたが地球に住む人たちを支えていたからなのか。

 その問いかけに答えることは、神さまにはありませんでした。


 それからポッゾは地球を粉々にして、神さまがやり直すときを観測した。

 やがて神さまを公式に出来たと思い、公式が正しいことを最後に確認するために地球を粉々にした。

 そうして観測した神さまは、1が2に変わっていた。公式の中にあるすべての1が2に変わっていたのだ。

 ならば2は何になったのかと言うと、1になったようだ。

 それからまた地球を粉々にすると、2が3に変わっていた。ならば3は何になったのかと言うと、2になったようだ。

 3が4になり、4が5になる。その都度、公式が使い物にならない。

 1が2になって2が1になるのならば、そうとらえれば良いじゃないかと思ったが、そうとらえると、2が3になって3が2になるのだ。

 なんだよ、神さま。あなたを観測することは出来ないのか。

 公式でとらえて、神さまを倒すつもりだったのに、ポッゾにはそれが出来ないと分かったのだ。

 ポッゾはとらわれたいわけでは無かった。地球を粉々にしたら、どこかに行きたかった。なのに、神さまはやり直す。

 そうしてポッゾは、どこかへ行くことにした。

 暗闇に光る星々がたくさんある。

 神さまって居たんだな。

 ポッゾは地球から離れ始めた。

 星々は光るだけだった。ポッゾと会話が出来るわけでも無くて、星々は光っている。

 神さまって、名乗ったもんな。

 僕のような人間は、はたして何人目なんだろうか。シミュレートすれば数多居るのだろう。

 だって、シミュレートは、人間の肉体でとらえられないくらい小さな時間で計算をするからだ。

 そして僕の使える時間でシミュレートする。三億人目だ。

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