第80羽 (外伝・絶望魔王)セルジュの過去
今回は祝80羽ということで、セルジュの過去の話しを描きました。
セルジュは、元からあんな悪魔のような性格では無かった。
今のセルジュとは真逆の優しい男の子だった。
そんな優しい男の子がどうしてここまで歪んだのか、それは……
セルジュは魔人族の子供でもあり、人族でもあった。いわゆるハーフである。
その為魔力も産まれたときから高かった。
3人は魔人族の棲むデビルシティで、ひっそではあったが、仲良く暮らしていた。
だがある日、戦争が始まった。誰と誰か?それは魔人族と人族の戦争だ。
最初の頃は父が元からオークのような見た目だったからか、人族だとバレていなかったため、襲われることはなかったのだが、母の親戚が父が人間であることを伝えてしまった。
後から考えると、母の祖母たちは人族と結婚したことが許せなかったのかもしれない。
セルジュと母が家に帰ると、父は亡き者にされていた。
残されていた足跡は、魔人族でも人族でも無い、獣人族の足跡だった。
母はセルジュを連れて夜逃げした。母の判断は正しかった。あのままあそこの近くに居たら、セルジュは殺されていただろう。
人族の棲む村へとやって来た。だがこのままだとセルジュはいいとして、母には立派な角が1本生えている。直ぐに魔人族だとバレてしまう、なので母は自分の自慢の角を、破壊の魔法で根元から破壊した。
激痛だったに違いない、だが母は笑顔でセルジュを連れて村に向かった。
その村の人たちは、魔人族に襲われてどうにか逃げて来たと伝えると、歓迎してくれた。それから数年、その村で母と2人で頑張って生きた。
セルジュは街に1人で住み、冒険者になった。魔力は高かったし、闇スキルの黒い手のおかげで、順調にランクを上げて行った。
そのころにはセルジュは、暗黒騎士と二つ名が付けられ、みんなから尊敬される存在になっていた。
母には手紙でやり取りしていたが、先週から返信が届かなくなった。セルジュは村まで走った。
母が倒れてしまったのではないか?と、心配だったからだ。母は体が強いほうではない、だから急いで向かった。
セルジュは村に着くとあまりの光景に、膝から崩れ落ちた。
「母上ーーーーーーーーーー!!!!!!!」
セルジュの母が十字架に吊るされていたのだ。
「セ……ルジュ」
「今降ろしますです」
「貴様何をしている!そいつは魔女だぞ!」
「こいつを押えろ!」
母の手首や足首に刺さった杭を抜こうとしたが、後ろから知らない男たちに取り押さえられた。
「離すです!母上を助けるです!!」
「こ、こいつ何て力なんだ?!」
男たちを振り払い母を助けるために手を伸ばした時だった。母を魔法が襲った。
「我々は断罪の真理を読み解き。魔女に聖なる審判をくだす!断罪の十字架」
「母上ぇえーーー?!!」
セルジュの母は塵一つ残さず、この世から消し去られた。
「これでまた1つ世界が綺麗になった」
その一言でセルジュはキレた。セルジュはその村を血の海にした。
だが彼にはその時の記憶が無かった。
セルジュは雨の中、その場に座り込み泣き続け、イカレタ笑みを浮かべていた。彼の心の支えが無くなってしまったから、彼の心にポッカリと穴が開いてしまった。
そこに付け入るように悪魔が囁く。
『あなたは、あなたたちを家から追い出した魔人族が憎いですか?』
力なく頷く。
『あなたは父を殺した獣人族が憎いですか?』
そして頷く。
『あなたは母を殺した人族が憎いですか?』
歯を食いしばって頷く。
『ならばあなたに私の力を授けましょう。これを飲みなさい、さすればあなたが欲しい力が手に入ります。あなたの復讐がなされることを願っています……』
セルジュは血が入った瓶を受け取った。一瞬見えたその声の主の手は、母のように真っ白な手だった。セルジュは即座に覚悟を決め、それを一気に飲み干した。
「うが?あひjkなわはgdtな」
体の奥の方が燃やされるような激痛が走る。彼はもがき苦しんだ。でも、痛みは実は一瞬だった。
彼は復讐をするための体を手に入れた。そしてセルジュの復讐劇が、幕を開けるのであった。
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