第34羽 (外伝・聖魔剣)兄の死…
今回のこの外伝は、今後登場予定の魔剣のお話しです。たまに挟むので読んで頂けると嬉しいです。
私の兄が死んだ日、その日は雨だった。
私は今日も大好きな兄のことを待っていた。
夕方、何時もなら帰ってくる時間。
(どうしたんだろう…)
ベットで毛布に包まりながら、扉を見つめていると、ドアをどんどんと叩かれた。
(?どうしたんだろ?何時もなら、普通に入ってくるのに、何か荷物でも持っているのだろうか?)
「はぁーい。けほ、けほ…」
私は咳込みながら、ドアに近づきゆっくりとドアを開ける。
元気な兄がいると信じて…
「ジャンヌちゃん、ちゃんと聞いてくれ。」
そこには兄じゃなくて、兄の戦友のセルジュが暗い顔で立っていた。何故かその手に兄の愛剣、聖剣マリナスグレイドを持っていた。
「ジャンヌ、君の兄アダムスが戦死した。任務の途中、右目が赤い魔人に殺されたんだ。」
「へ?……」
羽織っていた毛布が床に落ちる。
私の思考が停止した。
息することさえ、忘れてしまっていた。
「これはアダムスの形見だ。」
兄の愛剣を受け取る。
じわじわと涙が溢れてきた。
「ジャンヌすまなかった。今は一緒に泣こう。」
「うあぁーーーん!!」
たくさん、たくさん泣いた。涙が枯れるまで泣いた。
そして泣き疲れて、ベッドで気絶するように眠った。
起きたのは、それから数日が過ぎた頃だった。
私が起きた次の日に、兄の葬儀が行われた。
私は泣かなかった、いや泣けなかったのだ。
もう私に流す涙は、枯れ果てていた。
それからの私の日常は、感情のない人形のような暮らしをしていた。
朝7時に起き、ご飯を食べ。
朝10時に兄の死体すら無いお墓に、お花を添える。
昼12時に昼を食べ。
夕方6時に夜ご飯を食べる。
夜中の9時に眠りにつく。
毎日これの繰り返し。
私は毎日、毎日自殺しようとした。でも、兄の愛剣を見るたびに、手が震えて自殺することすら…出来なかった。
それから数ヶ月が経ったある日、兄の残した貯金も底をつき、兄と暮らした家も借金の取り立てで、持ってかれてしまった。
私は魔の森を何日も、何日も彷徨った。兄の愛剣だけを手に持って…
森の奥で持病の心臓病の発作で倒れた。
「あぁ、これでやっと死ねる。」
意識が薄れるなか……川の向こう側に兄が立っていた。兄が私に向かって何かを言ってる気がしたが、遠すぎて聞こえない。私は兄の元へ向かうために、赤黒い川に片足を突っ込んだ時だった。
私の目の前に女神が現れたんだ。
「貴方は死んでは行けない、貴方の兄はわたくしの恩人なんです。その恩人の願いが、貴方が幸せになって欲しい、世界を見てきて欲しいって、わたくしに願ったのです。」
「兄さんが?本当に?」
「はい。だから貴方は生きて、貴方の兄の分まで生きて。」
「わかりました。それが兄の願いなら、私は生きます。兄の分まで。」
私の瞳に光が戻る。
「貴方にわたくしの加護を授けます。最後にわたくしからの忠告です。自分の見たものを信じて。」
そしてその言葉を最後に、視界が光に包まれた。
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