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ケースK ~母ちゃんの場合~

 Kさんは魔王に進化した!


 「そんなのやってる暇なんて無いわよ!

 あー忙しい!」


 Kさんは大量の洗濯物を干しながら言った!

 洗濯物は大きいのから小さいのまで、ざっと10人分はある!


 「Kちゃーん!ごはんまだー?」

 「Kさん、僕の靴下知らないかい?」

 「うわああああん!お兄ちゃんがお人形壊したー!」

 「足元に置いとく方が悪いんだろー!?」

 「おKさん学校のお知らせに参加の名前書いてくれたー?」

 「あばばあぶー」

 「ちょっと!今日は俺がTVのチャンネル権の日だろ!」

 「いいじゃない!ちょっと占い見るだけよ!」

 「ママーご飯早くー!」

 「早くー!」


 洗濯物を干す庭に、家中からの大合唱が聞こえてくる!

 どうやら子沢山大家族の様だ!


 「でええい!

 いっぺんに言うな!やかましい!

 ご飯はキッチンに用意してあるでしょ!

 お父さんの靴下は昨日自分でスーツと一緒に置いてたじゃない!

 おもちゃは足元に置いちゃ駄目って言ってるでしょ!

 それと足元も良く見て歩きなさい!注意力が足らないわよ!」


 Kさんは忙しくちゃっちゃと動きながらビシバシ言っていく!


 「まったく!この後掃除にお買い物、庭もいい加減草刈りしないとだし、ああ!そうだ今日はPTA会議じゃない!

 あーもう!忙しい!」


 Kさんはぐちぐち良いながらちゃっちゃと動いていく!

 そんな様子をチラッと見る家族一同。


 「ねえ、おKさん。魔王になったんだから、魔法で掃除洗濯草刈り位一瞬で終わらせられないの?」


 娘のもっともな疑問にKさんは今気付いたとばかりに驚いた!

 

 「ここかあ!魔王ー!!」


 どかあああああん!!


 娘の助言に従って少女時代の魔法少女なアニメを参考に見るからにいい年したKさんが家事をこなしていると、玄関扉を蹴破る音と共に勇者がやって来た!


 「どこの悪ガキだい!?」


 精神的に頭に角を生やして怒髪天のKさんはどしどしと足音立てて玄関にやって来た!


 「でたなまお「何だい!これは!あんたがやったんだね!?人様の家を破壊するなんて、どういう教育されてんだい!連絡先をよこしな!親に文句言ってやる!勿論弁償してもらうからね!」・・・う・・・」


 勇者はセリフを遮って捲し立てるKさんの迫力に押されている!


 「い、いや!魔王めっ、惑わされ「んまああ!!何だい!?悪い事しといて逆切れかい!?これだから最近の子は!」・・・ないぞぅ・・・」


 奮起しようとした勇者だったがKさんにまたもセリフを遮られて撃沈した!ちょっと涙目だ!


 「Kさん僕会社遅刻しちゃうからもう行って大丈夫かい?」

 「あ!やば!私達も行かないと遅刻よ!」

 「ああ、もうそんな時間かい。ウチの事は任せてさっさと行っといで」

 「うん。大丈夫だと思うけど、何かあったら連絡頂戴。早退してでも帰って来るから」

 「!あんた、愛してるよ!無茶はしないからお仕事頑張ってね!チュッ!」

 「!僕も愛してるよ!いつもウチを守ってくれてありがとう!チュッ!」

 「「「はいはい。いってきまーーす」」」


 破壊された玄関で突如繰り広げられたメロドラマを横目に、子供達は慣れた様子で横を通って行った。


 「ねえ、勇者君。君学校は?」


 通りすがりに娘が勇者に聞いた。

 勇者はGを見る目で睨んだ!


 「俺は勇者だ!学校何て必要ない!」

 「うわー。今時いるんだ。学校行けないの何かの所為にするやつ。

 で?勇者って給料出るの?年収は?まさか勇者は人様の家の物勝手に持ってっていいとか思ってないよね。

 普通にそれ泥棒だもんね。

 で?無学歴で資格も無い、お花畑君に給料出してくれる様な酔狂な人、この世に存在すると思ってるの?

 人の家に破壊活動する時間あるなら学校位真面目に出れば?」


 娘にゴミを見る目で蔑まれた勇者は言葉も無く涙目で口をパクパクしている!

 この親にしてこの娘ありだ!

 言いたい事を言った娘は急ぎ足でバス停へ向かった!

 

 「ふう、本当朝は忙しいわ。

 で?さっさと連絡先寄こしなさいよ。

 それとも警察呼んで欲しいかい?」


 仁王立ちで怒れるKさんに慄く勇者。

 最早気迫で負けている!


 「お、覚えてろよーーーーー!!」


 勇者は脱兎の如く逃げだした!

 しかし足は宙を切っている!

 勇者の首根っこはKさんによって捉えられているぞ!


 「いーーーーーい度胸だねえええええ?

 こんの悪ガキがあああああ!」


 ぱーん!ぱーん!ぱーん!


 「ひぎゃああああああ!!」


 勇者はマジ泣きでお尻を叩かれている!

 これは百叩きの姿勢だ!

 これに囚われて逃げられるものはいない!


 「ごめんなさーーーい!連絡先教えるから許してええええ!!」


 こうして肝っ玉Kちゃんの前に勇者は敗北した!






 大家族の母親の前では勇者もただの悪ガキで、魔王という力はただの便利道具でしかなかった!

 

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