5/15
1-4「花の祝福」
続きです。
俺はもともと、一人が好きなのだ。
こうやって、知人と話すことも不快とまでは言わないが、俺の口は消極的であった。
対して、エルマは饒舌だ。
誰とでも分け隔てなく接し、時に人の前に立って皆を導く。
このクラスにとって、彼女ほどリーダーの素質を秘めた者はいないだろう。
加えて、学業においても、抜きん出て優秀である。
わかるだろうか、俺のこの気持ちが。
優秀な者との差を。
比較されることの辛さを。
俺は、いつだって多くを語らなかった。
だが、なにも感じない訳ではないのだ。
不意に、黒い感情が大きくなるのを感じた。
黒い靄のようだったものが、濃く、ヘドロのように粘着質のものに変わる。
これは、いけない。
俺は、席を立った。
おさげの少女が何か言っていたようだったが、無視した。
とにかく、ここを離れたかった。
細かい更新でごめんなさい。