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2-1「出立」
第2話です。
洞窟から出た。
そこは、街のはずれにある雑木林の中であった。
そもそも、雑木林がこんなところに生えていることを、俺は今知った。
抜ける途中で、一瞬視界が歪んだような気がしたことから、もしかしたら人を惑わす術でもかけられていたのかもしれない。
辺りは、暗くなっていた。
中央通の出店はもう閉まっており、やっているのは酒か女で商売する店だけだ。
そういえば、学校に荷物を全て置いてきてしまったことにきづいた。
夜だがこっそり忍び込んで取ってきてしまおうと、俺は校舎を目指した。
「‥‥エルマ」
おさげの少女がそこにいた。
エルマは、俺の机に突っ伏して、眠っているようだった。
その目元には、涙の跡がある。
「なんでお前が泣くんだよ、悪いのは全部俺なのに」
洞窟以来、俺は悪いことを素直に認められるようになっていた。
「うぅ‥‥、うん?」
エルマが目を覚ました。
「よう」
「‥‥イオ!!」
「おう、俺だ」
「俺だ‥‥じゃないでしょ!? 私、心配したんだからね!
いつまで経っても帰ってこないから、何かあったんじゃないかって‥‥」