プロローグ
拙い文章ですが、お付き合いください。
地平線の向こうまで、その大地は続いていた。
ひどく渇いた大地だ。
空には燦々と輝く星があった。
他の命を奪わんとするかのような熱だ。
そんな地に、花が咲いていた。
白く透き通った小さな花だ。
私はそれに指先で触れた。
白い花は、露に濡れていた。
りん、という音がして、花が揺れた。
露が花弁から滑り落ちた。
すると、花弁の中央、花序から水が溢れ、足元を濡らした。
私はどきりとして、なぜこのようなことが起こるのかと、戸惑った。
不思議でならなかった。
さては、これは水ではないのではないかと思いら花序から湧き出す液体で手を濡らし、舌先で舐めた。
ただの水のようではあったが、わずかに青臭く、かすかに甘い花の香りがした。
私は少し落ち着きを取り戻した。
それは水ではあった。
ならば、花の方かと思い、未だ滝のように地面を濡らし続けるそれの茎に手を添えた。すると、
ぷつり、
と。
力も入れていないのに、花は千切れた。
止まることのなかった水の奔流も途端になくなった。
私はハッとして、気づいた。
周りが渇いた大地から、黒く、湿った大地に変わっていた。
足元を覗くと、私が踏んだ地面からは芽が生えてきていた。
先ほどまではなかった芽だ。
次第にその芽は大きくなり、また、広がっていった。
どれほど経っただろうか。
そこはもう、渇いたあの大地ではなかった。
私の手の中に、白い花弁だけが、キラキラと輝いていた。