内乱
――いまより数百年の昔、とある大国で戦があった。
一地域における内乱のようなものであるが、その規模は国の治める領土の関係もあり非常に大きい。
その大国では何千年もの昔よりこのような内乱が何度も起きている。
広大な版図のなかには幾つもの少数部族の土地も含まれており、それらの土地に住む者達が時折奮起するのだ。
大国は勝手に我々の土地を自らの領土と定めて好き勝手に暴れまわる。
それが、彼等の奮起する理由だ。
言いなりになったままでは、家族を守ることは出来ないと少数部族は立ち上がった。
結果は惨敗である。
少数部族の彼等が竹槍や弓を手に攻めいった要塞。
彼等はそこで銃火に倒れた。
既に大国は近代化を推し進めていたのだ。
国中の要塞には粗悪ではあるものの銃や大砲が続々と配備され、内乱の粛清に大きな成果をあげた。
それでも犠牲者は出てしまう。
少数部族の鎮圧の為に、各地の集落から集められた者達だ。
無理矢理に徴兵された彼等は身を守るには不安が残る劣悪な装備を着せられ最前線で戦わされた。
背後からは正規の兵士が銃で狙いを定めている。
敵前逃亡などすれば、その銃は自分達を狙うと知っていた彼等は必死に戦い、そして死んだ。
こうして内乱は鎮圧されるも、新たな問題が浮上する。
徴兵され死んだ彼等の死体である。
多くの者は近隣の村より集められたので容易に運搬できた。
しかし、中には辺鄙な山間の集落から徴兵された者もいたのだ。
道もなく荷車も使えないような場所へ死体を運ぶことは難しい。
山中には肉を食らう獣もいるため、死体を運ぶためだけに運搬やその護衛など多くの人手を割かなければならないのも問題だ。
それでも彼等の死体は故郷に帰さなければならない。
故郷には彼等の帰りを待つ家族がいる。
死体を帰して弔ってやらなければ家族は国を恨んで新たな戦いの火種となってしまう。
頭を抱える軍部の人間に解決法をもたらしたのは一人の男だ。
男は旅の身であり、この地にて起きた内乱を知ると要塞を訪ねて死んだ者達の供養をしたいと言ってきた。
男の服装を見た要塞の人間は是非にと頼み男をもてなした。
その宴席にて、軍部の人間は男に死体の運搬の件を話したのだ。
故郷に帰れない彼等を不憫に思った男はとある秘術を用いその問題を解決する。
要は死体を運ぶという手間を取り払えばいいのだ。
彼等の故郷は荷車も使えず、ひたすらに歩くことでしか辿り着けない辺境の地。
そこに送り届けるためには、彼等自身に動いて貰えば良い。
こうして、とある不死者は誕生した。
その名を――




