晃一の求める「強さ」
主人公の考える「強さ」についての話です。
さて、「強さ」とは何か?
武力、権力、財力。
これらは全て正解だが、同時に不正解でもある。
今のところ、私の理解する「強さ」とは、「敵を倒す力」だ。
人間とは、上を見ても、下を見ても、限りがない。
例えば、喧嘩で勝利しても、相手の報復を受けては意味がない。つまり、「敵を倒す」に至っていない。
敵を倒す方法は、2つある。「相手の心を折る」、「誰にも知られないように殺す」。
一つ目は、ある程度の経験を積んでいけば、実現可能だ。ただし、読み違えれば、自分が殺される可能性がある。
二つ目は、入念な下調べと準備をすれば、誰でも出来る。警察を出し抜けるだけの能力があれば。
ならば、証拠を残さず、誰にも知られないように、人殺しの能力を磨く事が「強さ」か?
そんなくだらない事に、楽しみを感じ、生き甲斐に出来るのは、おそらくノーベル賞を取る人数より少ない、極めて少数の人間だ。
晃一は、あらゆる可能性を考えた時、自らの求める「強さ」の正体に行き着いた。
それは、空手を代表とする格闘技の極意「一撃必殺」である。
つまり、「敵」と認識したならば、あらゆる手段を使用して、二度と己に関わらないようにする。
「心を折る」事との違いは、まだ分からない。
今、分かる事は、「敵」との出会いに備える事だけだ。もちろん、人生を楽しみながら。
そんな彼に、「敵」が現れた。
晃一が、初めて対峙する「敵」とは?