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ニエ=ファンデ

詩 ニエ=ファンデの研究棟

作者: 透坂雨音



 自由なくして……

 心 閉ざされ消えていく……


 白い建物、冷たい部屋

 連れてこられた道具(ワタシ)達 

 今日も明日も 実験等の台の上 これからずっと 終わらぬ夜が巡り続ける


 窓がないから分からない

 部屋は暗く冷たいままで


 朝はいつ来るの? 


「誰か教えて」





 自由なくして

 心 閉ざされ消えていく


 生まれてきた意味を教えてください

 生み出された意味を教えてください


 それは……


「一体なに?」





-―『『『 実験「誰か助けて」実験「ここから出して」実験「お願い誰か」 』』』


――『『『 研究「誰でもいいから」研究「外に、出たいの」研究「ねぇ、お願い……」 』』』


――『『『 解剖「どうして」解剖「誰も」解剖「……」 』』』





 白い建物、冷たい部屋

 つれてこられた道具(ワタシ)達 

 今日も明日も 実験等の台の上 これからずっと 終わらぬ夜が巡り続ける


 窓がないから分からない

 部屋は暗く冷たいままで


 夜は……


「いつまで続くの?」


 生まれてきた意味を教えてください

 生み出された意味を教えてください


 それは……


――『『『 実験「実にいいできだ」研究「大変喜ばしい結果になった」解剖「これは非常に役立つ成果になるだろう」 』』』


「道具として生きる事……?」





 床に倒れた侵入者の女性 広がる赤い染み 傷口に傷跡に破壊の後で


「「どうして」」


 見つめるほど 胸が痛くなる


「わたしのむすめ。どうか、しあわ……」ガツッ


 最後の言葉塗りつぶされて 終わらぬ夜が巡り続ける









 遥か彼方に存在する 毒の魔女と呼ばれる女性がいた。

 彼女はニエ=ファンデという世界に住まうが、しかし生ける者の存在しない世界で魔女は孤独だった。

 流れる時間の中、孤独に耐えられなかった魔女は意思なき機械人を作り、己の心を慰めた。


 しかし、そんな時間は長続きしない。

 機械人形は魔女の元から離れる運命(さだめ)だった。


 壊れた人形を前に、別れの時、魔女は思ってしまった。


「ワタシだけの貴方でいてほしい」


 人形と人との繋がりを歪める力「狂気」。

 魔女の願いは 歪んだ形で機械人形へと発現してしまう。


 人形を見つけた人間達は、魔女の力を求めて我先にと殺到する。 


 一人魔女の下を離れて新たな地に佇む機械人形。

 しかし、そこで初めて得た友達(しゅじん)とは追って来た研究者たちによって引き裂かれる事となる。

 そうして機械人形は、ニエ=ファンデの地下深く魔女にも知られないその場所に、幽閉されることとなった。

 彼らにとって都合の良い道具として。





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