第1話
…コツン…コツン…
この規則的なBGMが聞こえるたびに何時もは騒がしい空間に静寂が走る…
…コツン…コツン…
それもそうだ。この音楽が流れるたびに人が最低でも一人減るのだから…
…コツン…コツン…
そう…この音楽を奏でるのは、刑務官で観客は死刑囚なのだ。かく言う俺もその観客の一人なのだが…
…コツン…
…?今日は随分と足音が近いな…まさか…
…カチャカチャ…カチャン…
…とうとう俺の番か…
ハァッと深いため息をつき、ドアが空くのを待つ。
ガチャ…キィ…
「…31番、出ろ。」
そう促され、俺は黙ったまま部屋を出てそのまま刑務官の後に着いていく。…もう随分前から全てを諦めた。どれだけ足掻いても無駄だった。ただ、爆破テロに巻き込まれ、運良く生き残っただけのはずだったのに…
「…此処だ。中に入れ。」
…どうやら少し考え事をしている内に着いたらしい。俺は促されるまま部屋に入る。
部屋の中には小さなテーブルを挟んで対面に座っているシスターがいた。死刑執行前には神父がいると聞いたことがあるが、シスターでも良いのか…
「ああ、どうぞ。そちらにお座りください♪」
…気のせいか、随分と明るい声で話すのでなんか腹が立った。この女こっちの気持ちが分からないのか?…まあ死刑囚の気持ちなんて普通分かるわけないか…
とりあえず腹いせに、乱暴に座った。
「…さて、31番さん♪何か言い残す事はありますか♪」
…少しは空気読め。…まあいい、無駄だと思うがもう一度言ってみるか…
「…俺は、何もやってない。」
「はい♪知ってますよ♪」
「……………」
「……………」
「……………ハァッ!?」
どうも初めてまして、ハルと申します。
今回初めて投稿させて頂きますので、ご意見、ご感想、お待ちしております。