やっぱりお姫様
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「……ぁ……」
どうやらいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
俺の目が覚めたとき、窓から見える外がまだ明るいことから、寝始めてから少ししか経っていないことが分かった。
「あ、ネスト起きたーっ!」
俺が起きたことに気がついたリリィが、すぐに駆け寄ってくる。
「あぁ……」
幸いにも眠っている間に、落ち込んでいた気分も少しは良くなってくれている気がする。
「そういえば、リリィは何をしてたんだ?」
少しとはいっても、俺が寝ていたのは事実だし、もしかしたらずっと暇していたかもしれない。
「ん、ナイショだよーっ?」
応えを待っていた俺に対し、自分の口に人差し指をもってきながらリリィが楽しそうに教えてくれる。
「内緒かぁ」
まさかそんなことを言われるとは思わなかったが、女の子は女の子らしく、何かやっていたのかもしれないと、少々戸惑いながらも納得する。
「あ、そういえばアウラたち見つかったよ」
部屋に戻ってきてからすぐにベッドに入ったので、言うのを忘れていたが、思い出したのでリリィに教えてあげる。
「ほんとー!?よかったねっ!」
リリィも嬉しそうにしてくれている。
そんなリリィには悪いけど、リリィの本当のお姉さんがいたことは、俺には言えなかった。
「えっと、じゃあ用も済んで、まだ時間もたくさんあるし、遊ぶか?」
「うんっ!」
少しでも気を紛らわせようとする俺の誘いに、リリィはなんの躊躇いもなく頷いた。
「はぁ、遊んだなぁ……」
遊び始めてからかなりの時間が経ち、窓から見える外は既に暗闇に包まれていた。
さすがに遊んでいる合間に何度か休憩はとったが、大体は遊んでいたと思う。
「そだねー」
リリィも、さすがに疲れたのか、眠そうに目を擦っている。
リリィは魔族ということもあってか、最初全然疲れる様子を見せなかったのだが、俺が自分に回復魔法を使いながら遊んでいたら、さすがに後半は疲れてきていた。
…………因みに今、俺たちは同じベッドで横になっている。
俺の腕につつまれるような形で、一緒に横になっているリリィは気持ちよさそうに俺に身体を預けてきてくれる。
俺のほうもリリィと遊んだおかげで、かなり気を紛らわせることができた、と思う。
そういえば、今日の夕食を運んできてくれたメイドさんが教えてくれたのだが、俺が王様に謁見するのは明日の夕方になりそう、ということだった。
本当であればもっと早くの予定だったのに、遅れてしまって申し訳ありません、と謝罪してくるメイドさんに、分かりましたと了解の意を伝えると、再び申し訳ありませんと俺に謝ると部屋を出て行った。
その時には、ちゃんとリリィにはコートを来てもらっていたので大丈夫だ。
そこで俺は、自分の腕の中にいるリリィに目を向ける。
俺の手に触れている、その髪は触り心地もよく、それでいて綺麗だ。
布団のなかで感じるリリィの身体の暖かさも、気持ちいい。
……やっぱりまだ、リリィと一緒にいたい。
俺は、微かに香るリリィの匂いを感じながら、改めてそう思った。
「ネストおきてる……?」
ベッドに横になってからしばらく経った時、リリィが珍しく小声でおれに聞いてくる。
「……あぁ、起きてるよ」
正直、眠ってしまう寸前、というところだったが、リリィの声が聞こえてきたので何とか反応する。
「……まえにもきいたんだけど、ネストはおひめさまにあこがれてるんだよね……?」
「……あぁ、憧れる、よ……?」
だがやはり眠たいという気持ちには勝てず、半分寝ぼけながら応える。
やっぱりお姫様、っていうのはやっぱりそれだけで凄いと思う。
高貴で気品があって礼儀正しく、それでいて美しい。
お姫様っていうのは、俺だけじゃなくてきっと男なら誰でも一度は憧れるものだと思う。
……まぁそれでも、俺はリリィにはずっと俺の傍にいてほしい、と思うけどな。
「……じゃあ俺は眠いから、もう、寝る、よ……」
そこまで話したところで、俺はとうとう本格的に眠ることにした。
目を閉じる前に、リリィがなんだか嬉しそうな顔をしていた気がするけど、何かいいことでもあったのだあろうか。
まぁリリィが嬉しいことなら、何でもいい、か……。
俺はそう思いながら、意識を手放した。
「……朝、か……?」
窓から朝の光が射し込んで、起きたばかりの俺には少々まぶしい。
だけどそこには確かな暖かさもあって、それが気持ちよかったりもするから何とも言えない。
「ほらリリィ、そろそろ起き、ない、と……」
俺は、そこまで言ってようやく気がついた。
リリィが、いない―――