す、素晴らしいのじゃ
ブクマ評価感謝しております。
次からはネスト視点に戻ります。
「えっと、ここは……?」
私は今自分がどこにいるのか分からず、ひとまず身の回りを確認してみる。
すると、どうやら自分がどこかの部屋に寝かされていたことがわかった。
べつに何か特別なモノがあるわけでもない、一般的な部屋だ。
「……ぅぅ……」
「っ!?」
いきなり自分のとなりから声が聞こえてきたかと思ったら、となりにはトルエが寝かされていた。
そういえばパーティー会場で何かに飲み込まれたときにトルエは私の近くにいたのだから、一緒にこうなってしまったのも仕方ないだろう。
それにしても、どうして私たちはここに連れてこられたのだろうか……。
そうやって連れてこられる理由が自分自身にないとは言えない。
元々私は、そういう立場だったのだ。だからこういう事態が起こる可能性が、微かにあったのかもしれない。
……まぁ、もしかしたら別の理由があったのかもしれないけど。
『コンコン』
そんな感じで色々と考えている時に、ふと扉が叩かれる音がした。
私は咄嗟に扉の向こうにいる相手に身構える。
『失礼するのじゃ』
扉の向こうから聞こえてきた声は、古風な喋り方に反して、透き通るような綺麗な声だった。
そして、開かれた扉から入ってきたのは、やはり綺麗な女の人が入ってきた。
「っ、目を覚ましておられたか……」
その女の人は、私が起きているとは思っていなかったらしく、私が自分を見ているのに気がつき驚いている。
……だから、扉を叩いたあと、こちらが反応する前に入ってきたのだろう。
「えっと、ここは……?」
私はそんな女の人の様子に、敵意を感じることがなかったので、敵かもしれないという不安はありながらも、今私がいる場所を聞いてみた。
「……ここは、魔族の国にある魔王城じゃ」
「…………は?」
今、自分の聞き間違いでないとするならば、魔王城という言葉が聞こえたのだが……。
「えっと、どういうこと……?」
私は思わず、目を見開きながら聞き返してしまった。
「そ、その……」
すると、とたんに女の人が狼狽え始める。
それにどこか、私から目をそらそうとしている気がする。
「あのー?」
私はよくその行動の意味がわからず、声をかける。
「す、す、すまんのじゃぁぁあああっっ!!」
次の瞬間、部屋の中に女の人の大きな声が響き渡った。
聞こえてきたのは、どうしてか私に謝罪してくる声。
「えっと、どういうこと?」
さっきと同じで、その言葉の意味が分からなかった。
「じ、実はその、間違いだったのじゃ!妾の使い魔が、お主らを妾の妹だと勘違いしたらしく、ここまで連れてきてしまったらしくての……」
「は、はぁ……」
それはなんというか、運が悪い。
自分の運の悪さに、思わず相手を責める気もなくなってしまう。
「ま、まぁ間違いは誰にでもあるし、仕方ないわよね……」
「そう言ってくれるとありがたいのじゃ……」
女の人の方も、色々と大変だったのか、どこかきつそうにしている。
「それにしても、どうして私たちが間違われたのかしら」
何か間違われるような理由があったから、ここまで連れてこられたのだろうし、それが何だったのかも気になっていた。
「実は、お主らから妾の妹の匂いがした、ということだったのじゃが……」
「妹さんの匂い?」
匂いが似てたのか、或いは本当に私たちに、妹さんの匂いがついていたのかしら。
パーティー会場にはたくさんの人がきていたし、もしかしたらその中に妹さんが紛れ込んでいたのかもしれない。
「……リリィ、という名前なのじゃがなぁ……」
「っっ!?」
私は、その、女の人の口から告げられた、妹さんの名前に、動揺しているのが、顔に出ないようにするのに必死だった。
自分でもどうしてそんなにしているのか分からなかいれど、どうしてか、ここで自分がリリィのことをしっていることを言わない方が良いと思ったのだ。
「み、見つかると、いいですね……」
本当は知っているのに知らないフリをするのは難しかったけれど、うまくごまかせたと思う。
「そうじゃのう」
女の人も、私の言葉に何度も頷いていた――。
それからは、しばらく特に何か問題でもなく、時間を重ねていった。
今頃は、ネストも心配してくれているだろうか……。
そんなことを思いながら、部屋の窓から外を眺めていると、部屋にパルフェクトがやってきた。
あの後、私たちのためにいろいろと便宜を図ってくれた彼女と、仲良くなり、今ではトルエも含めた三人で遊んだりする仲にまでなった。
今日は皆で考えた遊びをすることになっている。
いろいろなことで勝負して、負けた人が罰として、一枚一枚、自分の服を脱いでいくのだ。
一人の女として、こんな遊びはどうなのか、ということも確かにないことはないが、パルフェクトがどうしてもしたい、ということで、今回こうしてやることになった。
それから私たちは本当に色々な勝負をした。
計算に始まり、くすぐりあいなんかもした。
結果として意外にもそれぞれ皆善戦し、平等に下着姿にまでなっていた。
「……す、素晴らしいのじゃ……!!」
パルフェクトがなにやら呟きながら、鼻血を流しているのには驚きだが、なんだかんだ言って、意外にも楽しかった。
だけど、ちょっと喉も乾いたし、少し休憩しようかなとおもい、何気なく後ろを振り返るとそこには―――
―――口をあんぐりと開けたネストが立っていた。