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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第二章  俺の本気の力がどう見てもリリィの劣化版な件について。
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知らない天井

ブクマ評価感謝m(_ _)m

すこし視点が変わります

アウラ視点はあと一話で終わらせられると思います。

 「はぁ……」


 私は今、エスイックに招待されたパーティにやってきていた。


 私たちが会場についたときには、既にそこにはたくさんの招待客がやってきており、会場に入った瞬間、私は何人もの男性に囲まれてしまう。


 そのせいでネストとも引き離されてしまった。


 「俺は――」


 いろんな方向から、それぞれ自己紹介されるが、正直全く頭に入ってこない。


 私はそんな中、ひとりイライラが募っていた。


 まず、もともと私はイラついていのだ。


 どうしてかという、それはネストのせい。


 私とリリィとトルエがそれぞれドレスに着替えたとき、一番最初に私にネストは「似合っている」と言ってくれた。


 そう言われたときは、誰にも言わなかったけど、褒められたことが嬉しくて、頬が緩むのをこらえるのに必死だった。


 私の次にネストが褒めたのはリリィで、なんと私には言わなかったくせに、リリィには「可愛い」と言ったのだ!


 しかも抱きつきながら、というのも頂けない。


 最終的に、ネストに「可愛い」と言われなかったのは、私だけだった。


 そんな訳で私は今、絶賛イラつき中なのだ。


 しかし、そんなにいつまでもイラついているワケにはいかない。


 もうすぐ皆のお楽しみの踊りの時間があるのだ。


 男性と女性が二人一組になって、抱き合いながら踊るソレは、意中の相手にアピールできる絶好の機会。


 私もさっきは、何人もの人に誘われたが、丁重にお断りさせてもらった。


 私が踊るのは、もう決まっているからだ。


 私が踊るのはそう、きっとそんな踊りの暗黙の了解さえも知らないような、私のご主人様―――


 ―――ネスト、ただひとり。


 「……っていないじゃない!!」


 そう思って探していた矢先、既にそこにはネストは居なかった。


 「もう、ネストのバカ……」


 私のそのつぶやきに返事してくれるのは、誰もいない。


 それからは、特に誰かと踊る気にもなれず、ただひとりで、会場の隅っこのほうで、軽く食事をとっていた。


 「あら、トルエじゃない」


 「あ、アウラさん、こんなとこにいたんですね」


 ふとその途中でトルエを見つけてからは、二人で一緒に行動した。


 なんでもトルエの方も、いろいろと大変だったらしい。


 ほんと、ネストも含めて男ってやつは、なんでこうアレなのかしら……。


 私は人知れず、ため息を零した。





 『ネェネェ、ココカラリリィサマノニオイガスルヨ?』


 『ホントダ』


 その二つの声が聞こえてきたのは、いつだっただろうか。


 確か、踊りの時間がそろそろ佳境に近づいてきたころだったと思う。


 「……?」


 どこか拙い喋り方の声が、聞こえてきた。


 辺りを見回すと、トルエも同じことが聞こえたのか、私と目が合うと「今のって……?」と首をかしげている。


 ……本当になんだったのだろうか。


 『アハハ、ボクタチノスガタガミエナイナンテ、ヤッパリボクタチハカクレルノガウマインダ』


 『アハハ、ソウダネ。アト、タブンコノフタリカラリリィサマノニオイガシテルヨ?』


 『ホントダネ、ドウシヨウカ』


 『ドッチガホンモノカナ?』


 その声は次第に大きくなって、いつの間にか、かなり近づいてきているような気がした。


 でも、何を言っているのかは、話し方が変だからか良く分からない。


 『ンーワカンナイヤ、モウイッソノコトフタリトモマトメテツレテイコウヨ』

 『ダイジョウブカナ?アトデオコラレタリシナイカナ?』


 『イイヨイイヨ、パルフェクトサマダッテヨロコンデクレルヨ』


 『ソウダネ、ソウシヨウ』


 最後に聞こえたその声は、私たちのすぐ近くで聞こえた。


 トルエは怖いとは言わないけど、私にくっついてきている。


 正直私だって怖いが、ネストがいない今、トルエをしっかり守ってあげなければいけない。


 「……」


 しかし、そんな私の思いとは裏腹に、それからは一向に声は聞こえなくなった。


 「えっと、もう、大丈夫かな……?」


 トルエが、私の服を握り締めながらそう呟いてくる。


 「そうね、多分、大丈夫……ッッ!!??」


 大丈夫、と言った直後、目の前に黒の塊のようなものが現れた。


 「ッ!?」


 そして私たちは、抵抗することもできずに、ただその中へと引きずり込まれた。







 「……ん……?」


 どれくらいの時間が経ったのだろうか。


 何かに引きずりこまれた私の目が覚めると、そこには知らない天井が広がっていた―――。


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