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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第二章  俺の本気の力がどう見てもリリィの劣化版な件について。
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リリィを押し倒した。

ブクマ評価感謝しておりますm(_ _)m

 「……んぁ……ぁ……もう、朝か……」


 俺は、窓から入ってくる光に、目を細めながら重たい身体をおこした。


 「……んぅ……?」


 俺のとなりにいるリリィは、未だに眠たそうにしている。


 「ほら、リリィ朝だぞ」


 その小さな身体を軽く揺さぶりながら、耳元で囁く。


 「……んっ……もぅ、くすぐったいよぉ……」


 すると、リリィは眠たそうにしながらも、どうにか身体を起こしてくれた。


 そこで俺はリリィに向かい合う。


 今日はいろいろとしなければいけないことを、リリィに伝えるためだ。


 「えっとな、今日は一日特に用事もないんだけど、俺はここでアウラたちを探さないといけないんだ」


 「うん?」


 俺の言葉に、寝起きでよく頭が働いていないのか、リリィが首をかしげる。


 だけど俺は気にしないで続ける。


 「だから今日は俺は城の中を回るんだけど、最初のうちは俺が一人で探す。そして、それでよく分からなかった時は、リリィにも手伝ってもらおうと思ってる」


 本当は最初から城の中をリリィに案内してもらったほうが良いのかもしれないが、できるだけリリィが見つかる危険性をなくすために、初めのうちは、俺が一人で探す方がいいかなと思ったのだ。


 「わあったー」


 どこか呂律が回っていないような口調だったけど、きちんとリリィは理解したのか、片手を真上にあげながら、俺に了解の意を伝えてきた。


 よし、じゃあリリィの確認もとれたことだし、早速城の中の探索に出かけようかな――


 『トントン』


 ――と思った矢先、部屋の扉がたたかれた。


 「っ!?」


 俺は咄嗟に扉の方へと視線を向けた。


 おそらくリリィと話していたために、昨日のように部屋に近づいてくる足音に気付けなかったのだろう。


 慌ててリリィに着せなければいけないコートを探すが、無情にもコートはベッドから意外に離れているテーブルの上にたたんでおかれていた。


 ここからでは、扉を叩いた人が、扉を開けるまでには間に合わない。


 「失礼します」


 そう思った次の瞬間、昨日に何度か聞いたメイドさんの声が聞こえてきた。


 「ど、どうしよう……っ!?」


 今のメイドさんの言葉では、もう既に部屋の中に入ろうとしているのが分かる。


 「っ!!」


 俺は咄嗟にベッドに座っているリリィを押し倒した(、、、、、)


 「おはようございます、アネスト様方」


 次の瞬間、部屋に入ってきたメイドさんから、挨拶をうける。


 「あ、お、おはようございます」


 顔は見えていないはずだが、恐らく身体の大きさなんかから、小さい子だと分かるリリィを押し倒している俺を見て、メイドさんは今なにを思っているんだろうか……。


 あまり感情を表にださない性格なのかもしれないが、メイドさんの顔を伺ってみてもその本心を知ることは出来ない。


 「朝食の準備が出来ましたが、こちらにお持ちしましょうか?」


 「あ、はい。お願いします……」


 淡々と、用件だけを述べるメイドさんに、俺はただ頷くことしかできなかった。




 「はぁ、やっぱり美味しかったな」


 朝食も食べ終わり、俺たちは今、向かい合いながら椅子に座っている。


 既に食べ終わった食器なんかは、メイドさんが片付けてくれて、今ではテーブルには汚れ一つない綺麗な状態にされていた。


 「えっと、じゃあ少しアウラたちを探してくるから、ちゃんとそのコートで顔を見られないようにしとくんだぞ?」


 「わかったーっ!」


 俺は、リリィのその言葉に、若干不安を覚えながらも、用意された部屋からゆっくりと出た。


 「……誰も、いないよな……?」


 部屋を出てから、辺りを見回してみるが、その長い廊下に誰かいるような気配はない。


 「……よし、じゃあ最初はこっち、かな……?」


 もちろんどこにいるかなんて分からないので、手当たり次第探す必要がある。


 ひとまずは部屋にやってきたときとは逆方向へと行くことにした。


 「よし、じゃあいっちょやりますか……!」


 俺は、見えるだけでもかなりの量のある扉の数を思いながら、そう意気込んだ。





 「……見つからない。ホント見つからない」


 探し始めてからしばらく、俺はいくら探しても見つからない現状に、だんだんと危機感を覚え始めていた。


 与えられた期限は、恐らく今日一日。


 ……一回部屋に戻って、リリィと探すか?


 もしかしたらそっちの方がアウラたちを見つけられる可能性も高いかもしれない。




 『……ょね……』


 『……ぁ……です……』


 「ッ!?」


 俺が部屋に戻るか迷っているとき、ふと耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた気がした。


 俺は声のした方へと全力で走る。


 『へぇ……』


 『すごい……』


 だんだんとその声が大きくなってきた感じがする。


 そして、その声はある一室の中から聞こえているようだった。


 「……」


 中からは、アウラとトルエの声と、あと誰かの声がしている。


 エスイックは大丈夫だと言っていたけど、今になって、もしかしたら二人がひどいことでもされているのではないかと、心配になってきた。


 「……っ」


 俺は、緊張とともに、部屋の扉を開け放った。


 「……ってあれ?」


 部屋の中には、アウラとトルエ、あと誰か良く分からない奴の三人がいた。


 下着姿で―――。


 


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