なんかぷよぷよしている
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「おぉーい、魔族の国が見えてきたよぉー」
俺たちが暇を持て余していたころ、おばちゃんから声が掛かった。
「……おぉ」
遠目に見える魔族の国は、なんというか普通にデカかった。
多分、都と同じくらいの大きさだと思う。
「ほら、あそこが関所だよ」
おばちゃんが指を差しながら、関所の場所を教えてくれる。
「……?」
遥か先に見える関所のところで立っている人が、その、なんというか、大きく見える気がするんだけど、多分離れてて変なふうに見えているからだろうか。
「……」
だんだんと関所に近づいて気がついた。
関所のところには、大きな鎧が置かれていたのらしい。
その隣では普通に、恐らく関所を管理している人が、関所を通り抜ける人たちを確認したりしている。
「じゃあ、馬車は別のところから入らないといけないから、先に入っといてくれ」
「了解です」
俺とリリィは、おばちゃんに従って、関所の前で馬車からおろしてもらった。
「じゃあ関所抜けたら待っといておくれ」
おばちゃんはそう言い残すと、馬車用の入口に向かっていった。
「えっと、じゃあ行こうか」
「うんっ!」
ずっとここにいるわけにもいかないので、俺はリリィの手を引きながら、関所に向かった。
「ん、あなたたちは?」
俺たちが目に入ったのか、関所で立っている人が声を掛けてきた。
「あ、えっと使者として来たんですけど……」
俺はそう言いながら、荷物の中から正式な書類を見せる。
「あ、使者の方でしたか、一応確認させてもらいますね」
「お願いします」
俺は、関所にいた人に書類を渡して、別の部屋で待たされることになった。
「あ、そういえばあの関所のとなりにあった鎧ってなんなんですか?」
待っている時間が、結構あったので気になっていたことを聞いてみた。
「あれですか?私の使い魔ですけど……」
「使い魔、ですか?」
聞いたことがない言葉だったので、思わず聞き返してしまった。
「はい、私の使い魔のオーガですよ」
「オーガ!?」
オーガって言ったらあれだよな?あの俺が倒した奴だよな?
「オーガってモンスターのやつですよね……?」
恐る恐る、聞いてみる。
「はい、ほかのと見分けるために鎧を着せていますけどね」
「へ、へぇ……」
まさかここにオーガがいるなんて思ってなかったわ……
「あ、使者の方の確認取れましたので、お通りくださって大丈夫ですよ」
「了解です」
そして使者の確認も取れた俺たちは、無事に関所を通ることができた。
……あ、そういえば結局使い魔が何なのか聞くのを忘れてた。
まぁ後でリリィにでも聞いてみればいいかな。
「おぉ、遅かったね」
関所をでると、先に待っていたおばちゃんが声を掛けてきた。
「はい、書類の確認に時間がかかったみたいで、すみません」
俺は自分の荷物に視線をおとしながら、そう謝る。
「いやいや、あたしもそんな待ったってわけじゃないよ」
それからも少し立ち話したあと、俺たちは宿屋に向かうことになった。
「というか、やっぱり皆なんかモンスター連れてるんですね……」
道を歩きながら辺りを見回すと、やはりというべきなのか、歩いている人の周りにはなんか色々なモンスターがいる。
俺がよくお世話になったゴブリンや、なんか見たことのないぷよぷよしていて、どろっとしているやつなんかもいる。
因みにモンスターを連れている、魔族の方には翼や尻尾が生えているけど、それは前から知っていたので驚かない。
「あぁ、あれは使い魔だからね」
おばちゃんもやはり使い魔を知っているのか、事もなさげに俺にそう告げてくる。
「あの、使い魔って……?」
後からリリィにでも聞こうとは思っていたが、やっぱり今知りたくなってしまったので、つい聞いてしまった。
「ん?使い魔かい?」
「はい、実はあまりそういうことを知らなくて……」
やっぱり村にいるころからもっと色々なことを勉強しておけば良かった。
「えっとね、闇魔法の適正のある魔族は、モンスターを召喚して自分と契約することができるんだよ」
「つまり、それが『使い魔』だと?」
「そういうことになるね。関所のとこにいた、鎧をきたオーガなんてのは魔族の中でも優秀なやつみたいだけど、大抵はそこらへんのゴブリンとかスライムとかだよ」
「へぇ……」
スライムっていうのは、このなんかぷよぷよしているやつのことだろう。
というかおばちゃんは、あの鎧がオーガだって気づいてたのか。
「あ、ここが今日一泊する宿屋だよ」
そう言いながら、ひとつの宿屋の前でおばちゃんが止まる。
なんでも今日はここに泊まって、明日からはお城に部屋を用意されているらしい。
因みにどうしてこの宿屋なのかというと、今までおばちゃんが泊まった中で、料理が特に美味しかったからだそうだ。
「じゃあ、行くよ」
俺たちは、おばちゃんに先導されながら、宿屋の扉を開けた。