リリィと別れたくない。
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「それで、手伝ってくれるって言ったけど、何してくれるんだ?」
アウラたちを助けに行くにしても、実際そこが問題だ。
因みにリリィが、恐らく魔族の人たちが探しているリリィであることは、伝えてある。
「うむ、ネストが『漆黒の救世主』様になって突っ込む、というのはどうだろうか?」
「いやそれおかしいよな!?」
それのどこでエスイックが力を貸してくれているのだろうか。
黒マントか?黒マントだなっ?
「いやいや冗談だ」
エスイックが手を振りながら、冗談だと言ってくるが、正直、全然冗談に聞こえなかった。
「うーむ、ではどうしようかのぉ……」
「いや考えてないのかよっ!?」
あんな登場の仕方をしたのだから、何か良い案でもあると思ってたわ!
「……」
もしかしたらそれも冗談なのかと疑ったが、今エスイックが全力で考えているような様子を見ると、どうやら本当だったらしい。
「……おいおい……」
俺は、目のまえで考え込んでいるエスイックと、未だに俺にくっついているリリィに、ため息を零した。
「……使者としてであれば、どうだろうか」
エスイックがしばらく考え込んでいたと思うと、小さな声でそう呟いた。
「使者?」
俺は、思わず聞き返してしまう。
いきなり話しかけられたことと、純粋に言葉の意味がよくわからなかったからだ。
「あぁ。魔族の国への正式な使者としてであれば、特に問題もなく、二人が連れて行かれたであろう城へと行くことができる」
「おぉっ!」
それなら余計な手間も省けられる。
「理由は、パーティー中に招待客が攫われた、ということで十分だろうな」
「そうと決まれば早く行かないと!」
今もアウラたちが危険な状態だったりするかもしれない。
俺は早く出発できるようにエスイックを急かす。
「いや、そこまで急ぐ必要もないはずだ。リリィ殿と間違われて攫われたのであれば、すぐにそれに気づくだろうし、仮にもパーティーに出席していた客を、そう無下にも扱えないはずだ」
「いや、それでも万が一って可能性も……」
俺はなおもエスイックに食い下がる。
「実は、恐らく無事だということは、それだけが理由ではないのだ」
「……は?」
他にも何か理由があるならば早く教えて欲しい。
「他の理由っていうと……?」
「そ、それはだな……。その、パルフェクト姫、つまり魔族の姫の、せ、性格というか、好みというか……」
珍しく歯切れわるく、エスイックがボソボソと応える。
「と、とにかく!二人が無事であるということは私が保証する!安心してくれ!」
大きな声でエスイックはそう締めくくると、それ以上は追求されたくないのか、使者を送ったりする手続きやなんやらがあると言い残して、部屋から出て行ってしまった。
「安心してくれ、って言われてもなぁ……」
今までエスイックを見てきた中で、正直あまり期待はできない気がする……。
「あ、そういえば、リリィはどうしよう」
「んぅー?」
俺の言葉にリリィが見上げながら首をかしげている。
「いや、狙いっていうか、リリィを連れて帰るために来たみたいだからさ、使者として行く時は、ここで待っててもらったほうがいいかなぁって思ったんだけど」
というか逆に待っていてもらわないと困る。
もしかしたら俺がアウラたちを助けている時に、リリィが連れて行かれる、みたいなことがあってはいけないのだ。
いや、元々リリィの住んでいたところだから、仕方ないのかもしれないが、俺としてはこんないきなりにリリィと別れたくない。
「いやぁーっ!!」
だが当然のように、リリィが駄々をこねる。
「そう言われてもなぁ……」
別にリリィを連れて行って良いこともないだろう。
「リリィだったらー、いろいろなとこあんないできるよー!」
「う……」
確かにそれはありがたい。
普通の店なんかがあるとことであれば、道案内などにでも頼めば済むかもしれないが、城の中なんかの、普通は入れない場所ならばリリィの力が必要になってくるかもしれない。
「はぁ、じゃあ付いてきてもらうけど、一人でどっか行ったりしたらダメだぞ?」
結局リリィには、付いてきてもらうことになったが、今俺にできる対策としてはこれくらいが限界だ。
あとは、俺の言うことを聞いて、ちゃんと行動してくれることだけが頼みだ。
他に、何かあるとすれば――
――――『漆黒の救世主』になる必要がないことを、祈っておくくらい、かな。




