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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第一章 聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。
6/181

お尻の感触は鼻血もんだったぜ!

ブクマ、評価ありがとうございます。

おかげさまで総合評価800行きました。

 「それじゃあまず、自己紹介と行こうか。」


 今、俺たちは宿屋の食堂にいた。未だに俺の膝の上では女の子が深い眠りについている。


 実のところよく考えたらろくに名前も知らないのに連れてきてしまったと今更ながら後悔してる。


 「まず俺はアネスト。親しい人にはネストって呼ばれてるんだ。今日から姫様のご主人様になる、よろしく。」


 「わ、私はアウラって言うわ。えっと、向こうではよ、夜の相手もするって言ったけど、あ、あれはなんていうか連れて行ってもらうための勢いというか……。むぐッ!?」


 俺は食堂の真ん中でトンデモ発言をしようとしているアウラの口を塞ぐ。


 「ば、馬鹿!ここどこだと思ってんだ。まず、もともとそんなことする気ないから大丈夫だって。」


 本当は結構気にしていたんだけど内緒にしてたほうがいいだろう。


 それにしても周りの視線が痛いな……。もしかしたら今の発言を聞かれていたのかもしれない。


 「そういうことは公共の場所で言わないようにしような?危ないから(俺の命が)」


 笑顔で迫る俺に、必死に頷くアウラ。


 「それで、この子は?」


 「ん、その子はリリィって言うの。手出したらダメだからね?まだ子供なんだから。」

 

 「わ、分かってるよ。それに俺ロリコンじゃないし。」


 まぁ確かに?膝の上で寝ているリリィはかわいいし、ついほっぺを触りたくなるけど?そ、それは違うだろ?


 「なら、いいけど……。」


 それでも疑いの目を向けてくるアウラに視線を泳がせる俺。べ、別にやましいことがあるとかじゃないからな!?


 


 互いの自己紹介も済んだところで部屋に戻る。別の部屋にしようと思ったのだがアウラが別にいいっていうものだから結局同じ部屋に泊まることになった。


 特にすることもないので軽く体を洗って眠ることにした。


 ここでアクシデントが起こる。


 「いや、仮にも俺は男だし、女の子に床に寝てもらうわけにはいかないんだよ。」


 「ダメ!私だって奴隷だし、主人を床に寝かして自分だけベッドなんてありえないの。」


 ずっとこの状態なのである。どうしたものかと悩む俺の視線にリリィが映る。


 「…………俺がベッドで寝たらリリィを襲うぞ。」


 もちろんそんなことするつもりは無いのだが、こうでも言わないとアウラはベッドで寝てくれないだろう。


 「あ、あんたまさかと思ったけどそういう趣味だったなんて…………。」


 ん?なんか真に受けてないか?し、しかしここまできたら寝てもらうまで我慢するしかない!


 「そうさ、俺は生粋のロリコンさ。そして膝から伝わるリリィのお尻の感触は鼻血もんだったぜ!」


 「うわ……、わ、私がベッドで寝るから。ロリコンは床で寝てなさい。」


 絶対零度の視線を向けてくるアウラ。


 って、俺これでも一応ご主人様なんだけどな……。まぁベッドで寝てもらえたし明日にでも弁解すればいいか……。





―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 私はアウラ、元姫で現奴隷だ。


 私は少し変わった奴隷だと自分でもわかる。私を買いたいという人が現れたらそれを追い返すように言われている。


 本当はアイツらのいうことなんて聞きたくない、けど今私には病気の妹、リリィがいる。


 リリィの看病をしてる時にソイツは来た。


 「あのー、元お姫様?ちょっとお話がしたいなぁーなんて……。」


 元々相手なんかするつもりは無かったがソイツはいつもの客とは違っていた。普通なら私は奴隷なのだからといって、圧力をかけてくるように話しかけてくるのだが、ソイツは随分腰が低いみたいだった。


 そういうことも関係したのか、気がついたら普段なら話したりしないようなリリィのことまでそいつに話してしまっていた。


 ダメよアウラ、今までだって皆同じだったじゃない。それに仮にソイツがいい人だったとしても、リリィのことがある限り私はこの檻から逃げることはできないのだ。


 「ヒール。」

 

 ソイツは何かを呟いた。何かと思った瞬間、今度はリリィの体が光に包まれた。光はすぐに引いたがリリィにはある変化があった。


 今までは苦しそうにしていた寝顔が今では気持ちよさそうにしているのだ。


 ソイツが言うには回復魔法を使って病気を治したようだった。これなら心置きなくソイツと一緒に行ける、と思った矢先


 「別にいらないかな。」


 え!?どういうこと!?てっきり私が欲しくて治療を施したのだと思っていたのだが違ったようだ。


 しかし、ここで連れて行ってもらわなければ私は本当に奴隷としてどこかの誰とも知らぬような人に買われてしまうだろう。それだけは嫌だった。どうにかして引き止める手段が無いものか、と考えている内


にそいつは今にも部屋から出ようとしている。


 「わ、私なら夜の相手もで、できるわよ……?」


 本当はそんなことしたこともなく、できればしたくなかった。それでも私はこの絶好の機会を逃したくなかった。案の定というべきか結局ソイツは私たちを引き取ってくれた。


 食堂らしき所に着いてから初めて名前も聞いてないことに気がついた。


 どうやらソイツはアネストっていう名前らしい。でも何て呼べばいいのだろう……。奴隷だから、ご主人様とか言うべきなのだろうか。それとも親しい人が呼ぶように、ネスト、って呼ぶのがいいのだろうか。



 


 ネストは私たちのために部屋を借りてくれるといったが、これ以上の迷惑をかけるわけにはいかないと思い同じ部屋にしてもらった。


 そこでもまたアクシデントが起こる。


 ネストが私たちにベッドを譲って自分は床で寝るというのだ。仮にも私の主人なのにそんなことさせていいわけがない。


 なかなか決着がつかないとき、何を思ったのかネストがニヤリとしたような気がした。


 「…………俺がベッドで寝たらリリィを襲うぞ。」


 実際、衝撃的だったがベッドに入ってよく考えてみたら、それは私をベッドで寝かせるための方便だったのだろう。


 床で眠りにくそうにしている彼に布団を掛けて私はまたベッドに戻り眠りについた。


 お休みなさい、ネスト。私の初めてのご主人様。


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