見てみたいですね。
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「はぁ、ようやく着きましたね……」
私たちは今、お父様を街まで迎えに行き、ようやく都へと帰ってくることができています。
帰りの道中では、行きとは違ってドラゴンに遭遇したり、モンスターの群れに襲われたりなどの問題もなく、順調でした。
護衛の方たちに囲まれながら王城へとなんとかたどり着くことができます。
「こ、国王様っ!!」
王城に入ると、お父様の部下の方が私たちによってきました。
「うむ、どうしたのじゃ?」
そんな彼にお父様が声をかけます。
「そ、それがっ……」
なんと、彼の話によると魔族の国の姫が数人の護衛だけを引き連れて、王城へとやってきたそうです。
魔族、といっても根本は私たちとはほとんど変わりません。
姿形も人間と酷似しています。
唯一の外見の違いといえば、魔族が成人する際に背中から翼、腰からは尾、が生えてくるといったことでしょうか。
聞いた話によると、背中の翼は小さく収納できたりするようですね。
因みに、魔族と人間の仲はあまり良くなかったそうです。
過去形なのは、魔族の現王がこの国へと平和条約を結びに来たことで、それからは良好な関係が続いています。
もちろん今でも心の中では不満を持つ人もいらっしゃるとは思いますが、ほとんどの方たちは魔族との関係に快諾してくれているのでありがたいです。
あ、そういえば魔族の方は、闇属性の適性があり、闇属性魔法を最低でも少しは使えるということも聞きました。
あとは、人間とは比べ物にならない身体能力もあるそうなので、是非見てみたいですね。
「何か、緊急なお話でもあるのでしょうか……?」
私はお父様と一緒に、魔族の姫様がお待ちになられている部屋まで向かいます。
「お待たせして申し訳ない」
部屋に入るときにお父様が魔族の姫様に向かって謝罪します。
「いや、急に来たのは妾の方じゃ。謝る必要はない」
魔族の姫様はどうやらずいぶんと古風な喋り方をするようだと、お父様の後ろの方で思いました。
「妾の名前はパルフェクトじゃ。これからはそう呼んでくれ」
「それで、パルフェクト姫は何か御用でも……?」
早速お父様は本題に入ります。
「……実は、魔族の国の者が、妾の妹を人間国に連れてきてしまったようなのじゃ……」
「……?何か問題でもあるんですか?」
特に問題ないような気がするのですが……
「その、魔族の者というのが妾の父、つまり現魔王の反対勢力の奴らだったのじゃ。それで、連れてくるときに妹に毒を飲ませたらしく……」
……確かにそれなら心配になるのも無理はありませんね。
パルフェクト姫も悔しそうに顔を歪めています。
「それで、ここに来たのはその妹を探すことに助力をお願いしにきたのじゃ」
パルフェクト姫がお父様の顔をじっと見つめています。
「……分かりました。あらゆる手を使って必ず見つけ出しましょう!!」
お父様もすぐにそれを承諾してくれました。
「それで、探すにあたって、容姿や名前などを教えてくれると助かる」
私たちが協力することに当たって、必要最低限な情報をお父様が聞きます。
「まず容姿についてじゃが、青い髪の幼女じゃな。普段は明るい性格なのじゃが、毒を飲まされた今では、それもきついかもしれぬが……」
「な、名前は何て言うんですか?」
情報を言っていくたびに、どんどんと落ち込んでいくパルフェクト姫に私が慌てて質問を続けます。
「……リリィじゃ」
「「……え」」
パルフェクト姫から告げられた名前に私とお父様が反応します。
「……?もしや知っておるのか!?」
目聡くそれに気付いたパルフェクト姫が私たちに問い詰めてきます。
「えっと、私たちの知り合いの回復魔法使いにリリィという子供を連れている者がいたのですが……」
ネストさんのところにいた子が確かリリィと言っていました。
ですが……
「でも、その子は普通にピンピンしてましたよ?」
リリィちゃんはお父様の髪を引張ったりするほどの元気に溢れていました。
こう考えてみると確かにパルフェクト姫が言うリリィ、という子の特徴に似ている気がします。
もしかしたら、ネストさんがその病気を治してしまった、という可能性もありますがまずそれは厳しいでしょう。
「回復魔法使い、か……」
パルフェクト姫も渋い顔をしています。
「……魔族に回復魔法は、効きづらいからな……」
「はい……」
そうなのです。魔族は闇属性の適正があるのですが、そのせいで光属性である回復魔法とは相性が悪いのです。
そのせいで、魔族の方には回復魔法の効果が薄いことはほとんどの回復魔法使いが知っていることです。
「ですが、もしかしたらということもありますので一応連絡はしておきます。ね、お父様?」
もしかしたら本当にパルフェクト姫のいうリリィがネストさんのところのリリィちゃんで、何らかの方法で治療に成功したのかもしれません。
「…………」
「お父様?」
どうしたのかお父様が固まっています。
「うむ、それはありがたい。しかし、妾の方でも探させてもらうぞ」
「はい、妹さんのこと心配ですものね。こちらも全力で協力させてもらいますので」
固まってしまっているお父様の代わりに私が挨拶を交わし、パルフェクト姫は城から出て行ってしまいました。
何やら去り際にじっとこちらを見つめていた気がしますけど、気のせいでしょう。
「……」
未だに動かないお父様は置いといて、今は帰ってきたことをお母様に伝えに行きましょうか――。