お風呂、はいろ?
一応、昨日の続きです。お待たせしてごめんなさい。
ブクマ評価感謝ですm(_ _)m
「ただいまー」
俺とトルエは買い物をしたあと、美味しいと評判のお店で昼食をとったりして時間を潰した。
夕方にもなり、ちょうど良い時間くらいになったので家に帰ってきたのだ。
「おかえりぃーっ!」
リリィが玄関まで迎えに来てくれる。
「あれ、アウラは?」
何時もなら、リリィより遅れつつも玄関まで来てくれるアウラが今日に至っては何故か来ない。
「んーアウラお姉ちゃんはいまお料理つくってるよぉ」
「あ、そういえば今日はアウラが夜担当だったか」
「アウラ、ただいま」
玄関から移動した俺は、今ちょうど料理をしているアウラに向かっていう。
「あ、おかえり」
頭だけこちらにやりながら俺にそう言ってくるアウラ。
アウラにも帰ってきたことを伝えた俺は一度部屋に戻った。
「はぁ、うまかったぁー」
今俺は、皆でアウラが作った夕食を食べ終わり、一人部屋に戻ってきていた。
少し前までは料理が出来なかった俺たちだが、今に至ってはトルエはまぁあれだが、それ以外は皆かなり料理に関しては手馴れたものになっていた。
今日のアウラの作った料理も美味しかったし、明日の朝担当のリリィにも期待だな。
トントン
「……ん、誰だ?」
俺がベッドの上で休んでいると部屋の扉が叩かれた。
扉の向こうに向かって声をかける。
「僕だけど、入っていい……?」
どうやらトルエが俺の部屋まで来たらしい。
「入っていいよ」
特に入ってきてダメなことをしているわけでもないし、外で待っているトルエを中に呼ぶ。
トルエは今日買ったばかりの水着を手にしながら俺の部屋へと入ってきた。
「……これあるから、お風呂、はいろ?」
トルエが遠慮がちにだが、しっかりと自分の希望を伝えてくる。
「あー、まぁいっか」
今までは失敗続きのトルエとのお風呂だが、今日はそのために水着を買ってきたので、心配することはないだろう。
俺は自分の着替えを取り出すと、トルエと共に脱衣所へ向かった。
先にトルエには水着に着替えてもらってお風呂に行ってもらい、俺は急いでお風呂に入る準備をする。
腰にはきちんとタオルを巻き、ちゃんと身体を洗うようのも持ってきた。
「……よしっ!行くかっ!」
俺はそう意気込むと、満を持してトルエの待つお風呂へと向かった。
「お、おぉぅ……」
トルエが着ている水着は、意外にも破壊力が高かった。
黒に染められた特別な布が、くっきりと身体に張り付いているのか、しっかりとトルエの身体の形がわかってしまう。
村をでたころならこの時点でダメだったかもしれないが、街で女の子に少しは慣れた俺ならこれくらいなら、いけるッッ――!!
「はぁ、一緒に風呂ってのは……、良いな……」
結果から言ってしまうと、完璧だった。
水着で洗えないところはあったが、それ以外であれば楽勝に洗うことができるのだ。
そしてトルエにもお返しにといわれ、背中を流してもらえた俺は、今は二人で溜めた湯に浸かっていた。
「……ん、僕も、気持ちいい……」
トルエもご満悦の表情で、身体を湯に沈めている。
これなら毎日でも一緒に入ってもいい。
やっぱり女の子に背中を流してもらえるのは、男ならば誰だって嬉しいはずだ。
「その水着ってのはすごいなぁー」
トルエの身体を包み込み、だんだんと色が薄くなってくる水着を見つめる。
「…………は?」
い、色が、薄くなってる……?
俺の見間違えか、どこか水着の黒さがだんだんと薄くなって、透けてきている気がする。
「あ、あれ、トルエ……?その水着なんだか色が薄くなってきてる気がするんだけど……?」
すると、トルエが俺の問いに不思議そうな顔を向けてくる。
「……?これってこういうものなんじゃないの……?」
―――え?
「えっと、水着って、お風呂とかに一緒に入ったときに色が薄くなるから、そういうことが好きな貴族御用達の、服だよ……?」
「……」
「この前、冒険者の人が、ご主人様を元気付けたいならこういうので楽しませてあげたら、良いって言われたから……」
「……マ、マジですか……」
それは危なかった。
このままだと完全に透けてしまって、前みたいに倒れてしまうところだったかもしれない。
「さ、先に上がっとくな?」
「つ、疲れたぁ……」
脱衣所で着替えた俺は、そのまま部屋へ直行しベッドへと倒れ込んだ。
「い、一応最後までトルエとお風呂、入れたよな?」
色々と落とし穴のある水着だったが、思い返してみてもちゃんとトルエとお風呂に入れたことだし、悪いことばかりでもない、よな?
完全に透けるまで結構な時間がかかるみたいだし。
色々考えている内に眠くなってきたので、俺はその眠気に従って目を閉じた。
次の日、『幼女趣味の変態』が、貴族御用達の、しかも小さい子用の『水着』を買った、という噂が俺の耳に入ってきた―――。