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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第二章  俺の本気の力がどう見てもリリィの劣化版な件について。
54/181

さっきの仕返し、です

ブクマ評価感謝ですm(_ _)m


 「みんなかえっちゃったねぇー」


 「そうだなぁー」


 今、俺とリリィは、ルナや国王様も帰ったので二人だけである。


 朝食の片付けなんかも一通り終わってしまった俺たちは暇を持て余していた。


 「あ、そういえばリリィ、トルエが色々あって今落ち込んでるから、悪いけどちょっと慰めに行ってくれないか?」


 リリィであれば、多少は効果もあるだろうし、トルエには早く元気をだしてもらいたい。


 「わかったぁ!!」


 俺の頼みを聞いて、リリィが早速トルエの部屋へと向かってくれる。


 ……あの調子だったら恐らくはトルエのこともうまくやってくれると期待するが、今度こそ俺は一人になってしまった。


 「……はぁ……今日はなんか忙しかったな……」


 思わず口からそんな言葉がこぼれる。


 「へぇ、そんなに大変だったんですか?」


 「…………え?」


 今俺は別に誰かに対して行ったわけではなく、本当に独り言として口にしてしまったのだが、突然後ろからそれに応える声がかえってきた。


 「ア、アスハさん……?」


 恐る恐る振り返った先にいたのは、いつもギルドでお世話になっているアスハさんだった。


 「はい、アスハです。昨日ぶりですね」


 「そ、そうですね……」


 音もたてずにどうやってここまで来たのかは分からないが、さすがに驚かされた。


 「えっと、そ、それで何か用でもありましたか……?」


 しかし、何か用があるのか聞いてから気づいたのだが、この前アスハさんが俺にしてくれたことを思い出した。


 自分の顔がすこしずつ熱をもちはじめたのがわかる。


 「はい、実はアウラさんの件でちょっと……」


 そんな俺にアスハさんが用件を言ってきた。


 それを聞いて、アウラには申し訳ないが熱くなってきた顔がだんだんと冷めていく。


 冷静に考えてみれば、リリィからアウラがアスハさんと話をしていると聞かされていたのだから、アスハさんの用件も当然そのことについてだというのが分かるだろうに、変に勘違いしてしまった。


 「あの、ネストさんは、アウラさんとその、したんですよね……?」


 若干言いにくそうに顔をそらしながらアスハさんが聞いてくる。


 「……た、多分……」


 まさかアウラがそこまで言ってしまっているとは思っていなかったので、どこまでアスハさんに知られているのか分からず、言い表し難い気恥かしさに駆られる。


 「やっぱりアウラさんとしても恥ずかしいみたいで……」


 「で、ですよね……」


 やっぱりあそこでもっと早くに死んだふりをやめるべきだった……。


 そしたらこんな事態にもならなかったはずだ。


 「それで、このままじゃ、わ、私も含めて普通通りの生活が難しくなるかもしれないので―――


 ―――忘れてください」


 「ッ!?」


 アスハさんの言葉を聞いた瞬間、後ろから頭を殴られた。


 何かと思い見てみると、そこには何やら硬そうな鈍器をもっているアウラがいた。


 「なっ!?アウラ何やって……っ!?」


 「わ、忘れさせるためには、頭を殴るのが一番だって、聞いたから……」


 だ、誰がそんな要らないことアウラに教えたんだよッ!?


 「そ、そんなんで忘れるわけがッ!?」


 アウラと話していたら再び後ろから頭を殴られた。


 「ア、アスハさんまでっ!?」

 

 「ごめんなさい、やっぱり私もちょっと大胆なことをしてしまったので、忘れてください」


 「ま、まじですか……」


 怪我することに慣れていない頭だったが、運がいいことに痛みはない。


 だが、頭がおもいっきり揺さぶられたせいか、うまく治療に集中できない。


 「い、一旦落ち着こう?」


 鈍器をもつ二人の魔の手から必死に逃亡を試みる。


 「逃げないでおとなしく殴られなさいっ!!」


 「いやいや、無理だって!そんなんで忘れるわけがないだろ!?」


 次第に壁際まで追い詰められてきてしまったので、起死回生の一手を狙う。


 「うわっ!?」


 そんなとき、二人とはまた別の手が後ろから俺を捕まえてくる。


 「さっきの仕返し、です……」


 「ト、トルエ!?」

 

 まさかのトルエ参戦で俺はあえなく敵に捕まってしまった。


 「フフフ、観念しなさいネスト……」


 「ネストさん安心してください。できるだけ優しくするので……」


 「い、い、イヤだァァァァァァアアアアアッッ!!」


 そして、そのことばを皮切りにだんだんと聞こえてくる声が小さくなっていき、最後には完全に聞こえなくなってしまった―――。





 


 「ん……んぅ……?」


 「あ、起きた?」


 どうやら、国王様たちが帰ったあといつの間にか眠ってしまっていた間に、アウラが帰ってきていたらしい。


 「あぁ、お帰りアウラ」


 どうしてか久しぶりにアウラと話したような感覚がする。


 「ただいま、ってネストはその……、な、何か私と気まずくなっちゃうようなことをした覚えとかってある……?」


 何やらアウラが顔を少し赤くしながら、俺にきいてくる。


 「……いや?何もおぼえてないけど……」


 「そ、それならいいのっ。今のは気にしなくて大丈夫だからっ」


 アウラは、俺のことばを聞くと、少しホッとしたような顔で胸をなでおろしていた。


 「じ、じゃあ私ちょっと用事あるから……」


 結局、俺と話し始めてから、すぐにどこかへと出かけていってしまった。


 …………何か、引っかかるような気がするけど、別にいつもどおりだし俺の勘違いかな?


 多分、顔が少し腫れている気がするのも―――







 気のせい、だよな―――?



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