最愛の我が妹
ブクマ評価感謝です。
「クソッ、クソッ!!」
妾は今、暗闇に支配された長い廊下で悪態をついていた。
「……姫様、例の反勢力と思われる一人を確保しましたが、いかがなされますか?」
突如、暗闇の中の一部が歪んだかと思うと、そこから自分の部下が現れ、報告をしてくる。
「すぐ向かう」
「……了解しました」
部下に連れてこられた部屋にはひとりの男が強固な鎖によって拘束されていた。
「おいお前、妾の妹をどこへやったのじゃ」
妾は、その男の胸ぐらを掴み強く揺さぶった。
「だ、誰がそんなこと話すかよっ」
「…………ぁあ?」
男の身体を持ち上げ強く睨みつける。何時でもお前なんか殺せるんだ、ということを示すためだ。
「……ひっ、お、俺は命令があったからやっただけで……」
「そんなことは聞いておらんのじゃッ!!妹の行方を早く言わんかいッッ!!」
「に、人間の国にっ!!」
怒り狂う妾の前に、あっけなく情報を漏らす男は、必死に妾から離れようともがくが、拘束されている上に胸ぐらを掴まれているためにそれも叶わない。
「人間の、国じゃと……?」
人間の国は妾も昔に何度か連れて行ってもらったことがあった。
人数が多いにも関わらず治安がよかったことを今でも覚えている。妹の居場所がそこだと聞いて少しだけだが安心できた。
人間の国であれば、無知で幼い妹でも無事な可能性が高いはずだ。
「……それで、人間の国に送っただけか?」
「ぇ……あぅ……ぅう」
しかし、男は他に何か言いにくいことでもあるのか、口を開こうとするも中々その次が出てこない。
「早く言わんかっっ!!!!」
その時男の胸ぐらが破けた。
いつまでもその続きを言おうとしない男に苛立ってしまい、つい掴む力を込めすぎてしまったのだろう。
「じ、実は、人間の国に送った時に、死に至らしめる毒を、飲ませました……」
「なんじゃとッッ!?」
では、こんなことしている暇などではないではないかっ!!
一刻も早く見つけ出して、なんとか治療しなければならない。
「姫様、こやつはどうしておきましょうか」
「……まだ何か情報をもっておるかもしれん。しばらくはこのままにしておけ。妾はこれからちと人間の国にまで行かなければならん」
妾は、男の処遇をきいてくる部下にそう言い残したあと、準備をしてその日のうちに人間の国へ向けて城を発った。
もう少しで助けに行くゆえ、今しがた待っておれっ!!
最愛の我が妹、リリィ―――
一応第二部のプロローグ的なものでかなり短いです……
あと少しなにかくっつけようと思ったのですが、申し訳ありませんm(_ _)m