お前は敵だッッ!!
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主にデュード先生に殴られるだけの訓練が始まって一週間が経った。回復魔法があるので顔に傷は残っていない。
これまでにデュード先生の攻撃を避けることができるようになったのは誰もいないが、皆それぞれ自分の成長を実感していた。
「よし、じゃあ今日からは別の訓練に入る!!今日から一週間、お前たちにはギルドでクエストを受けてもらう!!」
「ギルド、ですか……?」
「あぁ、ゴブリンなんかのモンスターを倒してきてもらう。独りで受けるのもよし、パーティーで受けるのもよし。モンスターを倒してくれればそれでいい」
…………ということで、俺たちは今ギルドに来ています。
「ネストさん、おはようございます!」
ギルドに入った瞬間にアスハさんがいつものように寄ってくる。
「あれ、冒険者教室はもう終わったんですか?」
「いえ、今日から一週間ギルドでクエストを受けることになったので……」
「「「……」」」
ギルドにやって来るまで楽しく話していたはずの皆が今は仲良く話している俺たちを黙って見ている。
「では、どのクエストを受けるか決まったら持ってきてくださいね」
アスハさんはそう言い残して受付に帰っていった。俺は後ろからの視線を感じ、恐る恐る後ろを振り返る。
「俺、お前とパーティー組めたら組もうと思ってたけど、やっぱやめるわ」
「「「俺も」」」
案の定そんなことを言ってきた。
「いや、別にそんな関係があるとかじゃないからな!?色々迷惑かけてたこともあるし、仕事で仕方なくやってるんだよ」
最初あったときも俺の印象悪かったし……
「そ、そうなのか……。いや、なら良いんだ。やっぱ俺たちは仲間だよな!」
「そうだぜっ!」
俺の一言が功を奏したのか、俺とパーティーを組まないという雰囲気は和らいできた気がする。
「あ、でもこいつ女の子の連れが三人いるわ。しかもかなり美人」
「「「お前は敵だッッ!!」」」
―――結局俺のところに残った奴は誰ひとりとしておらず、図らずも独りでクエストを受けることになりそうだ……
独りになった俺は、結局何もしないわけにはいかないので、どんなクエストがあるか掲示板を見に行く。
掲示板には『薬草の採取』から『モンスターの討伐』、他にも『街の清掃』なんかもクエストとして貼られていた。
今回の訓練はモンスターの討伐なので、他はまた気が向いたときにでも受けることにしよう。
モンスター討伐といってもゴブリンやオーク、オーガなどがあった。独りで受けても危険がないやつといえば、既に倒したことのあるゴブリンが無難だろう。
他のやつは見たことがなく、よく強さもわからなかった。
幸いにもゴブリン討伐のクエストは街の近くなので、今行けば余裕で夕方にも帰って来れるはずだ。
ゴブリン討伐のクエスト用紙をアスハさんがいる受付まで持っていく。
「えっと、今回はこれでお願いします」
「はい、ゴブリンならネストさんなら余裕でしょうが気をつけてくださいね?」
そのまま席を離れようとしたところでアスハさんからストップがかかる。
「ネストさんは今回が初めてのクエストなので、ギルドカードを発行しなければいけません」
「ギルドカード?」
「はい、このカードを持つことで自分がギルドのメンバーだと言うことができ、身分証明書にもなります。また、武器や防具などもカードを提示することで一割の値引きがされます」
「失くした時とかはどうすれば?」
「その時は申し訳ありませんが再発行をしなければいけません。最初の発行のときは無料なのですが、再発行の時は手数料として20万エンをかかりますので気をつけてください」
「分かりました。えっと、他になにか規則とかはあるんですか?」
「あと一つ大事なことがあります。稀にですがギルドからの招集があることがあります」
「招集、というと……?」
「例えばこの前のゴブリンの群れが襲ってきたときなどの討伐隊がそれですね。それでもある程度の実力があると判断されなければ呼ばれませんけど」
「ちなみに断った場合とかの罰とかはあるんですか?」
「いえ、特には決められておりませんね。命が掛かってますので無理にとは言えませんし……。それでもみなさんのほとんどが招集をお受けくださってるので助かってます」
…………他にも数個の質問をしたあと、俺は無事にギルドカードを手にすることが出来た。
俺の周りには数体のゴブリンの死体。
今まではこのまま何もせずに放置していたのだが、アスハさんによると「討伐したモンスターは証明として討伐部位をもってかえる必要があります」ということだったので、ゴブリンの討伐部位である耳をナイフで切り落とす。
「うぅ、やっぱり気持ち悪い」
今まで特に意識せず腕の動くままに敵を切ってきたので自分の意思で切るというのはなんとも気持ちが悪い。どうやら俺の腕は生き物以外には反応しないみたいなのでどうしても自分でやらなければいけないのだ。
耳を切り取った俺は、手をゴブリンの血で染めながら街へと帰った。




