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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第一章 聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。
28/181

……じゃあ、やるか

ブクマ評価感謝です。



 「よぉーしッ!!じゃあ今日もいつもと同じ訓練をするぞぉ!!」


 「「「「う、うーっす……」」」」


 


 俺たちはあれから毎日殴られまくった。俺が回復魔法を使えることが分かってからはさらに殴られるようになった。


 本当は攻撃を避ける練習のための訓練なのだが、今までで一回でも避けることが出来たのはマグレで2、3人だったはずだ。


 列に並ぶ、殴られる、列に戻る。ただこれを続ける。


 



 


 「じゃあこの訓練は一回終わりな!!」


 「え、まだ昼ですけど……」


 いつもは夕方ごろになるまで殴り続けるのだが、今日はまだ昼なのに殴られるのは終わりのようだ。


 「みんなはこの訓練は俺に殴られてるだけだと思ってるだろう!!」


 「「「「……」」」」


 ……思ってるんじゃなくて、俺たちは実際に殴られてるだけです。


 



 「よし!ここらで一回二人一組になって殴りあってみろ!!そしたら訓練の成果が分かるはずだ!」


 俺たちは不審に思いながらもデュード先生の言うとおり二人組をつくる。俺の相手は見たら「あ、こいつ冒険者だ」ってわかるような奴。


 「……じゃあ、やる?」


 「おう、お前さんにはいつも治療してもらってるから軽く殴ってやるよ」


 「あぁ、よろしく」


 まぁ強く殴られても痛くはないんだけど……


 「よし、みんな二人組になったみたいだな。じゃあ始めッッ!!!」


 「「「「うぉぉおおおおおおお」」」」


 先生の合図を皮切りに殴り合いが始まった。


 っていうかコイツ、軽くやるって言ってたけど、今の雄叫びは絶対本気でやる気だろ!!


  俺の相手が左足を踏み込んでいる、なら――





  来るのは『右の拳(、、、)


 



  俺は冷静(、、)に相手の行動を読み、逆にカウンターを仕掛ける。相手は予想していたのかそれを避けると俺から距離を取る。





  ―――え?


 「……ぁあ?いま何が起こった?」


 「いや、何かよく相手の行動が見えたっていうか……」


 「俺もだ。攻撃外したあと、なんでかカウンターが来ることが分かった」


 周りを見てみるとどうやら皆も同じようなことが起こったらしく、動きを止めていた。


 デュード先生は一人満足そうな顔をしている。


 「これが、訓練の成果だ!」


 「え、でも俺たち避けてませんよ?ずっと殴られてただけでしたし……」


 「お前らは途中から、俺の攻撃をどうすれば痛くないようにできるか考えて訓練をこなしてただろ?俺の攻撃は自分でいうのもアレだがそこらの冒険者のソレとは違う。だから練習で俺の攻撃の速さに慣れているお前たちにとって、お前たちの普通の攻撃を避けるなんて簡単なんだよ」


 まさかあの殴られてるだけの訓練にそんな意味があったとはっ……!!


 それはやっぱりデュード先生が凄腕の冒険者ということなんだろう。


 


 「うわっ!!」


 俺の殴り合いの相手がいきなり殴りかかってきた。けど、本当に訓練の成果が出ているらしく、まだ危ういながらもきちんと回避することが出来た。


 「こりゃ、すげーな」


 ……ああ、本当にすごい。これだけの短期間でここまで出来るようになるとは思ってもみなかった。


 「それと!まだこれは一時的に俺の動きに慣れているだけだから、明日からもしばらくは俺の攻撃を避ける訓練な!!!」


 ついさっきまでは「今日もまた殴られるだけか……」と文句を言っていた皆だったが、今ではデュード先生を信頼しているはずだ。


 


 「「「「よろしくお願いしますッッ!!!」」」」


 


 …………多分それは今までの挨拶のどれよりも大きい声だったと思う。


 柄にもなく俺も周りの皆とバカみたいに声を出し続けた。


 




 


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