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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第一章 聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。
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そして、殴られる。

ブクマ評価感謝です。

明日の朝にキャラ設定を載せようと思いますので、よろしくお願いします。

作者の描写が足りないので申し訳ないです><


 「じゃあまずは防御の基本からだが、それは、『敵の攻撃に当たらない』ことだ!敵の攻撃を無駄に受ければそれだけで自分の体力がどんどん消耗していくからな。できるだけ相手の攻撃を見極めて避けることが大事だ!」


 「「「「うっす!!!!」」」」


 デュード先生の指導のもと、俺たちは冒険者教室を開始していた。先生曰く『防御こそが最大の攻撃』ということで、早速その防御についての教えだ。


 訓練の仕方はいたって簡単。


 まず一列に並ぶ。次に一人ずつデュード先生のところへ行く。そして、殴られる。最後に再び列の最後尾に並ぶ。


 それだけだ。


 本当は殴られるのを避ける、なのだが、さすが有名な冒険者だけあって簡単に避けさせたりしてくれない。


 



 最初の方は皆勢い込んで避けようとしていたが、今では如何にして攻撃を緩和するか、を考えるようになっていた。


 それくらいデュード先生に殴られるのが痛く、そして避けられないということだ。


 といっても、俺からしてみれば頬に少し衝撃が来るだけであまり痛みは感じなかったのだが、一人だけ痛くなさそうにしてて不審がられるのも困ると思ったので「クッ!!!」とか言いながら、真面目に避ける練習をしながら殴られ続けた。


 



 訓練が終わるころには皆の顔が真っ赤に膨れ上がり、鼻血を流している人もいた。


 「じゃあ、今日はこれで終わりだ!!このあとは俺のパーティーメンバーが回復魔法を使えるから治してもらえばいいからな!!」


 「あ、俺、回復魔法使えるんで治しますよ」


 このまま帰って皆に心配させるのも悪いし……


 「だが、この人数を治療できるのか?少なくない人数がいると思うんだが」


 「このくらいなら全然大丈夫ですよ」


 それに、この訓練を受けていた人は大体が街で顔なじみの人だったので、俺が回復魔法を使えるのを知っているはずだ。


 俺の前に並んでもらって一人ずつ回復魔法を掛けていく。


 「……なんでこんなに回復魔法使えるのに、こっちに来たんだ……?」


 離れたところでデュード先生がなにやら言っているが今は治療に専念しよう。


 「ヒールッ―――」






 ――――――――――――――――――




 「うんッ、それじゃあ始めようかッ!!」


 「「「「よろしくお願いします」」」」


 今、僕たちは後方支援コースの訓練を受けている。


 「アタシの名前はチルドよッ!こんなんだけど回復魔法も使えんのよォッ!!」


 そういいながら自身の大きな胸を張るチルドさん。


 




 「じゃあトルエちゃん!後方支援で大事なことはなんだと思う?」


 みんなの自己紹介も終わったところでチルドさんが僕にそう聞いてくる。


 「えっと、できるだけ前衛の皆を手助けすることだと思います……」


 「うん、まぁそれも大事なんだけどね。私が思う後方支援で一番大事なことは、『自分が今何ができるかを知る』ことだよ!!」


 「自分が今何ができるかを知る……?」


 「そう!皆も考えてみてね?今あなたの前に怪我した味方とものすんごい強い敵がいます。けどあなたには味方の怪我を治す手段がありません。そしてその敵は自分たちの滞在している街を狙っています」


 「「「「……」」」」


 みんながその状況を想像する。


 僕だったらご主人様が怪我した味方なのかな……?この際ご主人様が自分で怪我を治すことはできないようにしようかな……。


 「みんなだったらその時どうする?」


 ……僕だったら、どうするんだろう。ご主人様を見捨てるなんてできるとは思えないけど、そしたら街が襲われちゃう……


 「ネストだったら自分でかいふくできるからぁ大丈夫かなぁ」


 隣ではリリィがそう言っていた。


 「へぇ!そのネストって人は回復魔法使えるんだぁ!」


 「うん、そうなのぉ!!」


 「じゃあそのネストって人の魔力が尽きちゃって回復魔法を使えなかったら、どうする?」


 「うぅーん、わかんない!!」


 首を傾げながらその状況がわからないというリリィ。


 周りの人達はそんなリリィを微笑ましいモノのように見ているが、実際のところ僕にもそんな状況は想像が出来なかった。


 ご主人様はギルドで治療をしているけど、一日にたくさんの人を治療している。


 みんなはそのことを当たり前だと思っているのかもしれないけど、回復魔法が使える僕からしてみればそれはありえないことだ。


 回復魔法は他の魔法と違って消費する魔力が多い。ぼくも頑張って一日にたくさんの人を治療するけど、それは何回も休憩をとっているからだ。


 休憩なしで一日治療を続けるなんてとてもじゃないけど出来るとは思えない。


 そして、治療が終わっても特別つらそうにしているわけでもなく、朝きたときと同じようにケロッとしている。


 そんなご主人様が回復魔法を使えなくなる。


 多分、そんな敵がいるとしたら、今更私たちが街に伝えに行ったとしても無駄なんだと思う。


 まぁでも、本当にそんな敵がいるとも思えないけど……





 


 


 「あ、この中で回復魔法使える人いるー?」


 訓練も終わりに近づいてきた頃、チルドさんがそう言ってきた。


 「えっと、私が使えます……」


 「えぇッ!トルエちゃん回復魔法使えるの!?まだ小さいのにすごいんだねッ!」


 「そんなことは……」


 回復魔法を使える人は他にも数人いたようで、チルドさんのところに集まってくる。


 「えっとね、回復魔法を使える人を集めたのは、私のパーティーメンバーがやってる戦闘メインのコースでたくさんの人が怪我してる予定だから、治療を手伝ってもらおうというわけ。結構な人数がいて、アタシだけじゃきついかな、と思ってね」


 そのコースはご主人様がいったコースだけど、やっぱり怪我したのかな……


 「あッ!きたきたッ!!」


 そういうチルドさんは私たちの後ろの方を見ている。


 そしてチルドさんのパーティーメンバーだと思われる大きな人が近づいてきた。


 「ああ、チル。治療の件なんだが……」


 「うん、回復魔法を使える子が何人かいたからもう集めたから大丈夫だよッ!!」

 

 「その事なんだが、実は俺たちの方に回復魔法が使えるやつがいてよ……」


 「……うん?」


 「そいつが全部治療しちまったわ」


 「ええッ!?なんでそんな人がそっちにいるのッ!?」


 「うーん、なんでだろうなぁ?」


 こっちに来て欲しかったぁあ!!と嘆くチルドさんには申し訳ないけど、もしかしなくてもご主人様なんだろうなぁ……


 




 やっぱり、ご主人様はすごいなぁ―――


 


 


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