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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第一章 聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。
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おねがいしまーっす!!

ブクマ評価感謝です。

 「あッ!おかえりなさい、ネストさん!」


 「えっと、ただいまです、アスハさん」


 俺たちは今、都から再び自宅のある街まで帰って来ていた。


 アウラたち曰く、アスハさんが俺のことを心配してくれていたということだったので、まずギルドに顔を出すことにした。


 「お元気そうでなによりです」


 そういいながらも怪我がないかを確認してくるアスハさん。


 まぁ心配をしてくれるのはありがたいんだけど、ギルドの真ん中で俺の身体をペタペタ触ってくるもんだから、周りの視線が、痛い……。


 「えっと、アスハさん、最近なにかありました?」


 心配してくれている相手に対して、やめろ、というわけにもいかないので話題を変えてみる。


 「あっ、そうでした。この街に有名なギルドメンバーの方がいらっしゃって、しばらくの間、冒険者教室みたいなことをするらしいですよ」


 今思い出しました!という風に手を合わせるアスハさん。ひとまずの目的は達成できて、幾分か周りの視線が和らいだ気がする。


 「冒険者教室……?」


 「はい、何でも都の方で活躍していたパーティーの皆さんがいらっしゃったので、戦闘メインのコースもあれば、回復魔法やアイテム管理の後方支援コース、モンスターの特徴や弱点を指示する指揮コースがあるようですね」


 へぇ、それなら……






 


 

 「おう!俺はデュードってモンだ!まぁ自分でいうのもなんだが意外に名の売れたパーティで前衛をしてる。今日から俺は戦闘を主にみんなに教えていくからよろしくな!!」


 「「「「「おねがいしまーっす!!」」」」」


 俺は今、戦闘コースを受けに冒険者教室に来ている。ちなみにアウラたちはいない。


 回復魔法が使えるトルエは後方支援コース、勉学の才がある、らしいアウラは指揮コース。一番悩んだリリィは、料理が上手く手先が器用そうだったのでトルエと同じ後方支援コースを受けることになった。


 




 「じゃあまずは防御の仕方からだ!」


 さも当然という顔でそう言ってくるデュード先生に冒険者教室に来ていた俺を含む生徒たちが一斉に首をかしげる。


 「先生、攻撃じゃなくて防御が最初なんですか……?」


 その中の一人が俺たちの思っていたことを聞く。


 「ああ、防御が最初だ!攻撃は最大の防御!なんてことをいうらしいが俺からしてみたらそんなのは間違いだ!逆に防御こそが最大の攻撃だとすら俺は思っている!」


 ……防御こそが最大の攻撃?


 「敵の渾身の一撃を防いでみろ!!それだけで相手は『詰んだ』と勝手に思ってくれる!!そんな奴にお前らは負けるのかぁ!!負けねぇだろぉお!!」


 その発想はなかった。でも、確かにそうかもしれない。俺だって、ナイフが効かない相手が出てきたら勝てる気がしない。


 「「「「おぉぉぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」」


 さすが冒険者というべきか、こういうときのノリは本当に良い。かく言う俺もその波に乗らせてもらっている。


 「じゃあ、防御の仕方から教えてくぞぉおお!!」


 「「「「うぉおおおおお!!!」」」」


 俺たちを含む皆の気持ちが一つになった瞬間だった。





――――――――――――――――


 「では、これから指揮コースを始めます。私はミストです。これからよろしくお願いします」


 私は今、指揮コースを受けている。皆は別のところに行っちゃったけど、私にできることをしようと思って参加した。


 「では、そちらから自己紹介をお願いしますね」


 参加している人は多いわけではないが少ないわけでもない。


 一人一人自己紹介が終わって、私の番が回ってくる。


 「えっと、アウラって言います。今はアネストの奴隷ですが、よろしくお願いします……」


 やっぱり今でも奴隷っていうのはこう、なんか来るものがある。ネストは私に奴隷としての行動とかをさせないようにしてくれているが、主人がいない奴隷というものはそれだけで蔑まれるのが一般的だ。


 この前の都での一件でそのことがよくわかった。


 「ん?……あぁ!やっぱりアウラちゃんじゃないかい!」


 「え……」


 そこにいたのはいつかの料理教室でお世話になった奥様。


 「ってあれっ!?」


 よく見ると知らない人だと思っていたのは皆街でお世話になった人たちだらけ。


 「最近見なかったから心配してたんだよ」


 「そうそう、お店にも来てくれなかったし」


 「あ、ごめんなさい。私たちちょっと都の方まで出かけてたから…………あっ」


 知っている人だったから敬語を使うのを忘れてしまった。


 「いいよいいよ。今更改まったりしなくても。そんなことさせたらネストちゃんに治療してもらえなくなるじゃない」


 「あの子の魔法はすごいものねぇー!」


 ………………やっぱり、ネストが救ったこの街は皆いい人たちばっかりだ。


 ネストが柄にもなく頑張るわけだ。


 「えっと、じゃあ皆はなんで冒険者教室に参加したの?」


 「んー、やっぱりこの前のモンスターの群れが襲ってきたとき男どもばっかりに任せててウチらはなにもできなかったからね。少しは頑張ろうと思ったのよ」


 私と一緒なんだ……。私もネストを助けられるぐらい頑張らなきゃいけない!!


 「…………あの、そろそろいいですか?」


 「「「「あっ、すみません!!」」」」


 そういえば、今その冒険者教室の真っ最中だった。ミストさんも苦笑いしながら再開する。


 ……待っててネスト、役に立てるように頑張るから。


 …………なんか遠くから雄叫びみたいなのが聞こえるけど、私頑張るからッ!!


 



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