表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
152/181

モテ男爆発しろ

バレンタインなんて、しらないんだ。

バレンタインなんて……orz

ブクマ評価感謝です!!

 「えっと、チヨコレイトってなんだ?」


 「チヨコ、じゃなくて、チョコだよ」


 「ちょこ……?」


 俺は、皆がしゃべり合っている教室で、ダンに声をかけられていた。


 あの一件以降あまり声をかけられていなかったので少し嬉しい。


 かれこれ結構な時間、ダンから話を聞いているがイマイチ何の話をしているのかが分からない。


 何か食べるものの話をしていることは分かったが、それ以上は一体何の話をしているのだろうか、と必死にダンの言葉に耳をすませている。


 「そう! チョコレート!」


 「ちょこ、れーと……が何?」


 多分「ちょこれーと」というのが、食べ物の名前なのだろう。


 「今日は女子が仲のいい男子や意中の男子にチョコを恵んでくれる日なんだよ!」


 「……あぁ、なるほど」


 だから今日は変に教室の中が騒がしかったのか、と今更ながらに納得する。


 確かに女の子から食べ物がもらえるというのは、それだけで嬉しいのだろう。


 俺だって貰いたい。


 でも俺はもらえない可能性の方が大きいだろう。


 「……いいよなぁ」


 「ん、何が?」


 一人でしみじみと頷いていると、ダンがため息をつきながら俺の肩に手を組んでくる。


 「だってお前、チョコたくさん貰えるだろ?」


 「もらえねぇよっ!?」


 一体どういう根拠があってそんなことを言ってるんだろうか。


 「だってこの前の女の子とかさ、聖女様とかさ、色々仲がいい人とかっているだろ?」


 「む……」


 確かに、仲がいいと思ってる女の子なら、居る。


 アウラ、リリィ、トルエ、ニア、ルナ。


 でも、この面子的にきっと今日の「女の子が男の子にチョコを渡す」などということすら知らない方が多いだろう。


 「ル……聖女様とかそういうこと知らないだろ?」


 「あぁ、確かに」


 「他の知り合いの女の子もそういうこと知らないような人達だから」


 「……むぅ」


 俺の言葉に渋々といった風に肩を落とすダン。


 「あ……」


 その時俺の頭の中に、とある知り合いの顔が浮かんだ。


 「あ!? もしかして誰かいるのか!?」


 「……あー、もしかしたら?」


 それは、アスハさんだ。


 あれだけ義理堅いアスハさんであれば、もしかしたらチョコを俺にくれたりするかもしれない。


 もちろん、仲のいい友達に対して贈る、ということではあるが。


 俺はそれでも構わない。


 「その人って、美人か……?」


 「……かなり」


 それこそ美人の多いギルド受付嬢の中でも、かなり際立っているとすら思っている。


 しかもそれだけでなく、アスハさんには何というかこう……大人の魅力というか、安心感というか、そういうものもあるのだ。


 それが一層アスハさんの人気を底上げしている要因かもしれない。


 現に俺はアスハさんから貰った弁当などを食べさせて貰ったりと、色々お世話になった。


 お弁当は文句のつけようなどある訳もないくらい、レベルの高いもので、今でもまだ食べてみたいと思えるほどだ。


 「……まじかよ」


 「……あぁ」


 ダンは俺の言葉に打ちのめされたように、俺の席から離れていってしまった。


 俺が思うに、ダンは誰に対してもほとんど態度など変えないので、普通に女の子からチョコなど貰える可能性は高いと思うのだが、違うのだろうか。


 まぁそこあたりは詳しいわけではないので、知らないが……。


 「あ、あの……!」


 「ん?」


 今、俺が呼ばれたのだろうか?


 そう思い、振り返る。


 「こ、これ食べてください!」


 「……え?」


 その瞬間、恐らく同じクラスだろう女の子が、俺に何やら箱のような物を押し付けてきた。


 咄嗟にことに固まるが、何とか受け取った箱だけは何とか落とさずにすんだ。


 「じゃあ私はこれでっ!」


 「え、ちょ……」


 止めるまもなく、俺の近くから逃げ出していく女の子。


 「……これって、チョコ、だよな……?」


 きっとこれがダンの言っていたチョコで、間違いはないはずだ。


 しかし、どうして俺がもらえたのだろうか。


 何か話したりしたような記憶もないし、どこかで会ったりしていただろうか。


 うーむ、思い出せない。


 「……あの、これも!」


 「え……?」


 「あ、私も!」


 「あたしだって!」


 「……は?」


 何時の間にか、俺の机は、何やら可愛く包装された箱で一杯になっていた。


 「……なんでだ?」


 これはもしかして、誰かが仕組んだりしたことで俺の反応を後で皆で笑いものにする予定なのだろうか。


 逆にそうとしか考えられない。


 「…………」


 俺は気づかれないように辺りを見回す。


 しかしこちらを見てきているのは恨めしそうな顔を浮かべたダンただ一人。


 だからきっと誰かが仕組んだりしたとか、そういう訳ではなさそうだ。


 「……えっと」


 これは、どうしたら良いんだろうか。


 明らかに一人で食べきれる量はない。


 かと言って、捨てるわけにもいかないだろう。


 「……あ、良い事思いついた」


 俺は沢山あるうちの数箱を手に取る。


 「なぁダン、俺食べきれないから何個か要る?」


 さっきのこともあるので出来るだけ笑顔を心がけて、ダンに話しかける。


 「……も」


 「も?」


 「……もてお」


 「もて、お?」


 ダンは何やらぶつぶつと呟いている。





 「モテ男爆発しろォォォォおおおおおおおお!!!」





 その後しばらく、ダンは俺に話しかけてこなくなった。


あ、因みに次回までバレンタイン回にしようと思っているので、

苦しみたくない方は閲覧注意です……!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ