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リリィを辱めた

少しキリが悪いので、次回更新分と纏めて見るほうがいいかもしれません><

申し訳ないですm(_ _)m

 「それで? 何か申し開きとかあるなら聞くけど?」


 「…………」


 俺は今、アウラによって正座させられていた。


 理由は簡単。


 昨日、リリィを辱めた件についてだ。


 俺が気絶したあと、大きな音を聞きつけてアウラたちが部屋にやってきたらしい。


 部屋の中には頬を赤く染めるリリィ、そして鼻血を出しながら床に転がる俺。


 完璧に俺が何かやらかしてしまった構図がそこに完成していた。


 そして俺が目を覚ました後、こうやって正座をさせられているのだ。


 「……えっとアレは違うんだよ」


 「何が違うの?」


 俺の弁解に間髪入れずにそう返してくるアウラ。


 「そ、そのニアが気持ちよくなるらしい場所が、リリィも気持ち良くなるのかなと思って……」


 「……ニアにもそういうことしたんだ」


 「あ」


 墓穴を掘るとはこういうことを言うのだろうか。


 しかし今更そんなことはなかったと嘘をつくこともできない。


 「え、っと何か……ニアが発情期だったらしくて、夜に俺の部屋に来たんだよ」


 「へぇ、それで?」


 怖いです、アウラさんの笑顔が怖いです。


 「それでただ一緒に寝ただけ、だけど……」


 「一緒に寝たっ!?」


 「え」


 俺は恐る恐る顔をあげる。


 するとそこには物凄い怒っていますという雰囲気を醸し出しているアウラがいた。


 「ど、どうしたんだ?」


 思わず俺はアウラに声をかける。


 「…………」


 しかしアウラからの反応はない。


 俯いているために、その顔も良く見えない。


 「……アウラ?」


 俺は正座した状態のまま、アウラの顔を覗き込む。


 「ネストのバカぁぁあああああ!!」


 「えっ!?」


 その瞬間、俺はアウラの細腕によって思い切り突き飛ばされた。


 背中に軽い衝撃を受けつつ、俺は床を転がる。


 だが昨日のリリィのアレを受けている俺からしてみれば全然優しいものだ。


 俺は転がりつつも直ぐにバランスを整えてアウラの方を見る。


 しかしそこには既にアウラはおらず、ただ開けっ放しの扉だけがゆらゆらと揺れていた。






 その日、学園へと行く前、そして帰ってきたあともアウラが俺の前に姿を見せることはなかった。


 そしてとうとう寝る時間。


 俺は暗闇のなかで一人、昨日と同じように布団を被っていた。


 さすがに三日連続で夜に誰かが来ることはないだろうと思いながらも、チラりと扉の方に目を向ける。




 キィィィィイイイ…………




 「え」


 するとちょうどその時、ゆっくりと部屋の扉が音を立てながら開かれた。


 「…………」


 部屋の外からの光で逆光になっているらしく、入ってきた人の顔は良く見えない。


 けど俺にはどうしてか入ってきた人の正体が直ぐに分かった。




 ―――アウラだ。




 俺がアウラに気づいているという事は、アウラ自身分かっているはずなのだが、特に気にした様子もなく扉の前に突っ立っている。


 否、ゆっくりだがベッドに近づいてきているようだ。


 俺はアウラがどんな表情をしているのか気になりつつも、逆光で見えないもどかしさに悩まされていた。


 「…………」


 既に手を伸ばせば届いてベッドに届いてしまいそうな距離にまで、アウラは近づいてきている。


 「……っ」


 アウラはそのままゆっくりベッドに倒れこんできた。


 俺はいきなりのことに思わず身を固くする。


 「…………」


 「…………」


 これから何が起こっても不思議ではないこの状況。


 しかし、実際にはただそれだけ。


 それ以上は何もない。


 「…………」


 「…………ん」


 布団越しにアウラの僅かな温もりを感じることができる。


 お風呂に入ってきたあとなのか、いい匂いも香ってくる。


 俺はゆっくりとアウラの頭を撫でる。


 「んぅ……っ……」


 僅かにアウラの身体が震えるが、嫌そうにはしていないようなので俺は撫で続けた。


 「……んぅ……」


 そのうちアウラが、まるでリリィのように俺の身体へと頭を擦りつけてくる。


 一体アウラはどうしてしまったのだろうか、と思いつつも普段見慣れていないアウラの様子に思わず俺も緊張してしまう。




 きっとこれは夢だ。


 アウラが現実でこんなことをするはずがないし、する理由もない。


 では、いつから俺は夢を見ていたのだろうか。


 まぁそんなことはどうでもいい。


 夢なら夢らしく、アウラを思う存分可愛がってやればいいのだ。


 「……っ」


 俺はアウラを布団の中へと引き込む。


 そして布団越しではないアウラの本当の温もりを感じながら腕で包み込む。


 「……はぁ」


 アウラのいい匂いのする髪に、自分の頭を押し当てて抱きしめる腕に力を込めた。


 夢っていうのは偶にこういった素晴らしいシチュエーションのモノがあるから好きだ。


 普段は怒ったりしているアウラが俺の腕の中で大人しく抱かれている。


 現実ではまず考えられない。


 俺はすぐ近くに『アウラ』を感じながら、ゆっくりと目を閉じた。


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