眠らせてもらえない
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「よし、じゃあ一応自己紹介をしようか」
俺は部屋の中の皆を見回しながらそう言う。
部屋の中にはアウラ、トルエ、リリィ、アスハ、ニア、そして俺がそれぞれ座っている。
リリィだけはいつものように俺の膝の上に座っているのだが……。
まず自己紹介をする理由は、アウラたちとニアはそれぞれに互いのことを知らないからというただそれだけである。
あ、因みに俺の鼻からは既に血は流れていないので安心して欲しい。
もう一つ言わせて貰えば、どうしてアウラたちは獣人であるニアに対して嫌悪感を出していないのかだが、それはアウラたち曰く『そんなこと気にしている場合ではない』とよく意味が分からない答えが返ってきた。
「私はアウラよ。ネストの最初の奴隷だからよろしく」
俺が一人、そんなことを考えているとまず初めにアウラが自己紹介を始めていた。
それを聞く限り何かを強調しているような感じがするが、どうしてか今のアウラの自己紹介を聞いてからニアが俺を睨んできている。
「私はアスハと言います。ネストさんがギルドで最初に話しかけた受付ですね。よろしくお願いします」
次にアスハさんの自己紹介。
しかし最後のは言う必要があるのだろうか、と俺は首を傾げた。
「……」
そんな俺に対し、ニア、さらにアウラまでもが俺を睨みつけてきている。
い、一体どうしたんだ……と俺は困惑するも、すぐにリリィの手が俺の視界を遮った。
「リリィはリリィだよー!ネストに最初に治療してもらったのー!」
相変わらずの元気な調子でリリィが手を上げながら自己紹介をする。
リリィの言う俺が最初に治療した、というのはここにいる皆の中でという意味なのか、それとも出会った時に最初に治療してもらった、とどちらなのか分からないが、それはまぁどうでもいいだろう。
「…………」
アウラがそんなこともあったわね、というような顔を浮かべているのに対し、ニアはどうしてかまたもや俺を睨みつけてきている。
しかしこれでアウラ、アスハさん、リリィの三人の自己紹介が終わったので、最後はニアの番になった。
俺は自己紹介をするようにと、ニアに目で教える。
「……私はニア。見ての通り獣人。ご主人様に最初に裸を見られたけどよろしく」
「ぶっ!?」
そして俺はニアの自己紹介に思わず吹き出した。
一体何をいっているんだろうか!?
しかも最初に裸を見られたってどういうことだ!?
絶対他のみんなに合わせて適当なことを言ったに違いない。
「…………」
そんな俺の内情を知ってか知らずか、アウラやアスハさんは物凄い目で俺を睨みつけてきている。
しかし実際あの夜に裸を見てしまったことに変わりはないので、全てを否定することもできない。
「……あー、うん」
結局俺はそんな変な声をあげることしかできなかった。
けれどそこで諦めてはいけない。
「あ、そ、そういえば話さないといけないことがあったんだった」
話題を変えるために、すぐに別の話題を取り上げる。
「じ、実は、獣人の国から宣戦布告されたんだ……」
話題をそらす為に話すようなことではないことは重々承知しているが、ここは仕方ない。
「え……」
案の定と言うべきか、既にこのことを知っているトルエやニア、そしてまずことの意味が分かっていないリリィ以外の二人、つまり今問題のアウラとアスハさんが見事に食いついてきてくれた。
「そ、それって本当なの……?」
俺の言葉にアウラは疑いの目で俺に聞いてくる。
「あぁ、信じられないかもしれないけど本当のことなんだ」
確かに俺もいきなりこんなことを言われたらまず信じられないだろう。
けれど直接的な原因を作ったのが俺ということもあり、信じないわけには行かなかったのだ。
「ギルドには伝えたのでしょうか?」
その時やはりギルド職員というべきか、アスハさんはそんなことを聞いてくる。
「えっと、確かエスイックがもうすぐギルドには公表する、とか言ってましたけど……」
「……国王様が……」
俺の言葉にアスハさんは小さくそう呟く。
そしてどうやらアスハさんはエスイック、国王の名前を知っているらしい。
というかもしかしたら実は案外、有名なのかもしれないが……。
「つまり戦争になる、ってことよね……?」
そしてアウラが確かめるように俺に聞いてくる。
「た、多分……」
俺もくわしいことはまだ分からないので、そういう他言い様がない。
それからもしばらく皆でこれからの話などをしている内、窓から差し込んでくる日が、傾いていることに気づいた俺たちはようやくその話を終えたのだった。
戦争、かぁ……。
俺は一人心の中でそう呟く。
今、窓からは日が射し込んでくることはなく、部屋の中は暗闇に包まれている。
因みに俺はベッドの中だ。
もちろん俺が経験したことなどないその言葉に、俺は思わず色々考えさせられる。
ブロセルから少し聞いた話によると、今でも昔の人間との戦争を経験した国の重鎮たちは人間を恨んでいるらしい。
「……」
けれど、やはり今俺が何かできるわけでもなく、俺はただ顔をベッドに押し当てた。。
「ねぇネスト」
その時ふと声をかけられ、何かと思いベッドから起き上がってみるとそこにはアウラとアスハさんが立っている。
「ん、何?」
俺はこちらを見つめてきているアウラたちにそう尋ねる。
「―――ニアって娘の裸を見たことに対して何か言い訳でもあれば聞くけど?」
………………
…………
……
どうやら俺はまだ眠らせてもらえないらしい。
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新作載せました!一読していただけたら幸いです。