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聖女の回復魔法がどう見ても俺の劣化版な件について。  作者: きなこ軍曹/半透めい
第三章 俺の回復魔法がどう見ても聖女の劣化版な件について。
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宣戦布告をして

色々な方々からメッセージなどをいただき、それぞれの国名が決まりました!

今回は一番作者が覚えやすいのを選ばせていただきました。感想などで一緒に考えてくださった皆様はありがとうございましたm(_ _)m

では、決まった国名ですが

 人間の国:ヒュメアン国

 魔族の国:ディエビル国

 獣人の国:ビエスト国

となりました。大体それぞれの英単語からとってあり、覚えやすいかなと思いました。最後にもう一度、考えてくださった皆様ありがとうございましたm(_ _)m


 「はぁーっ!やっと着いたぁー!!」


 俺は少し遠くに見える人間の国『ヒュメアン国』の都に、思わず伸びをしながら声を出した。


 「んぅーっ!」


 気がつけばとなりにはニアもやってきて、俺と同じように背中を伸ばしている。


 獣人であるニアがどうしてまたビエスト国から帰ってきているのかは、まぁ色々あったとしか言い様がない。


 もちろん俺が無理やりに連れて帰って来たということだけは無いので安心して欲しい。


 「ご主人様ぁー、やっぱり私これしてたほうがいいのー?」


 ニアは自分の頭をすっぽり覆い隠している、大きなバンダナを鬱陶しそうに言ってくる。


 「あぁ、それは念の為にしてた方がいいかな」


 どうしてニアの顔を隠すような真似をするのかというと、ニアが獣人だとバレないようにするためだ。


 奴隷競りで売られていたことや、俺が高いお金を払ってニアを競り落としたこともあり、恐らくニアの顔を覚えている人は少なくはないだろう。


 だからひとまずはこうやって顔を隠してもらっているのだ。


 「まぁ少し我慢しててくれ」


 それでもやはり頭にあるのが気になるらしいニアの頭を撫でてあげる。


「……むぅ。まぁご主人様がそう言うなら」


 するとニアはやはり怒っているのか俺から目を逸らしつつも、ちゃんと頭を隠していてくれるようだった。




 「じゃあ一回エスイックに会ってくるからここで待っててくれ」


 「? りょーかい」


 「……」


 都に着いた俺たちはまず最初にエスイックのいる城へと向かった。


 なぜかと言うと、都を出発する際に帰ってきたら一度来てくれと言われていたからである。


 門番は頭を隠すニアを訝しみながらも、俺がエスイックから渡されていた書類のようなものを見せると敬礼して道を開けてくれた。


 それから何時ものようにメイドさんから部屋に案内されて今に至る、というわけだ。


 俺は首を傾げるニアと、どうしてかあまり機嫌の宜しくないトルエを部屋に残し、エスイックの待っている部屋へと急いだのだった。





 「それで話っていうのは?」


 俺は今、目の前にいるエスイックにそう尋ねている。


 当初俺はエスイックに帰ってきたことの報告と、ニアをしばらく城に居させてもいいかという許可を貰おうと部屋にやってきたのだが、何でも少し大事な話があるらしく呼び止められたのだ。


 因みにまだニアのことは話していない。


 「……うむ、実はな……」


 国王であるエスイックはよほど何か大変なことがあったのか、気まずそうな顔を浮かべている。


 しかしついに話すことを決意したのか、下に向けていた顔をこちらに向けてきた。


 「―――ビエスト国が宣戦布告をしてきた」


 「……え?」


 俺は一瞬何を言われたのかよくわからなかった。


 エスイックの言葉を何回も自分の頭で整理してからようやくその意味を理解することができた。


 「え、ど、どうして!?」


 しかし理解はできてもどうしてそんなことになったのかまでは分からず、俺はエスイックに聞いてみる。


 「まぁ元々獣人が人間を嫌っていたということも確かにある」


 「あぁ」


 俺はエスイックの言葉に同意する。


 しかしそこでふと、その言い方は何やら別の本当の理由でもあるような、そんな言い方であることに気がついた。


 「あぁ、実はもっと別の理由があるのだ」


 俺の顔から察してくれたエスイックが直ぐに教えてくれようとする。


 その時俺はどうしてか、その理由を何やら聞いてはならないような気がした。


 しかし当然今更部屋から出たりするわけにもいかないので、俺はエスイックの言葉に身構える。


 「人間が獣人をさらったらしいのだ」


 「は?」


 エスイックから教えられた理由は特に何も俺に関係するようなことはなく、思わずその獣人をさらったという人物を殴りたくなった。


 「何でも馬車に乗った人間の男がビエスト国の近くまでやってきて、数人の獣人を馬車から下ろしたところまでは良かったらしいのだが、一人の獣人の女をそのまま連れていってしまった、ということらしい」


 「へぇ……え?」


 一体その男は何をしているのだろうと思った俺だったが、直ぐに気づいてしまった。


 ―――それって俺じゃね?と。


 ブロセルたちを国に帰してあげて、ニアを連れて帰って来た。


 ―――あ、完璧に俺だわ。


 俺は自分の頬を冷や汗のようなものが伝っていくのを感じた。


 「疑うわけではないが……お主ではないよな……?」


 エスイックは頬をひくつかせて俺にそう尋ねてくる。


 対して俺は今からどうエスイックに謝ろうか、それだけを考えていたのだった。


 


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