表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
濡れ羽色に輝く片翼の戦士  作者: しゃもん
第一章 天上界
9/40

09.白竜現れる!

 宰相室を出ると副官のクリスが待っていた。

「いつ行きますか?」


「明日だ。待たせたな、クリス。」

ヒューは下界に降りる為の許可証を手に通路を速足で歩いて行く。


「いいですよ。たまには追いかけるんじゃなく待たせなくっちゃ。でも下界に降りたら、また追いかけることになりそうですけどね。」

「しょうがない。惚れたのは俺達だ。」

「確かに。」

 二人は王宮を後にして街の酒場に向かった。

 今晩は何も考えずに二人とも飲み明かしたい気分だった。

 ヒューはクリスと行きつけの酒場に向かい、朝方まで二人で飲み明かした。


 朝、二人はメリルとジェシカが戦った後がいまだに色濃く残る森の傍を通った。


 とたん物凄い魔力がそこで膨れ上がった。


 二人ともその魔力に金縛りにあったように、その場に釘付けになった。

 魔力の放出が凝り固まり、それは白竜となって二人の前に現れた。


「隊長、あれ何に見えます。」

「白竜だな。」


「ここ街のすぐ傍ですよね。」

「ああ、街はすぐ目の前だ。」


「くそっクリス。」

 ヒューは酔いを醒ますため頭を振って相棒に話をかけた。

「分かってます。」

 クリスは白竜の足元に水魔法を放つ。


 でも簡単に掻き消された。

 ヒューも同じように白魔法を放つが当然、これも掻き消された。

 もともと白竜の方が白魔法は御家元だ。

 全く効果はなかった。


 クリスが今度は氷魔法で白竜の足を凍らせた。

 何とか動きを止めたがそんなに持たせられない。

 ヒューは腰に指していた剣を握りしめて、白竜の目を狙う。


 なんとか片目を潰してヤツから離れたが白竜の白いブレスを翼に受けて、まともに飛べなくなった。


 翼が焼け付くようだ。


「隊長、どうします。」

 クリスが必死に対向しながらも、苦い顔付きでこちらを見た。


「メリルと同じように奴の体に剣を突き刺す。さっきと同じように氷魔法で動きを止めろ、クリス。」

「了解です。」

 クリスは再度同じように氷魔法を使って、白竜の足を凍らせた。


 白竜も二度目なので直ぐに氷を砕く。


 クリスは連続して氷魔法を放った。

 ヒューも傷ついた翼で飛びながら何とか剣で攻撃するが竜の鱗が固すぎて剣を突きさせない。


「くそっ仕方ない。」

 ヒューは等価交換の魔法を発動した。


 一点に力を絞ると剣にその力を纏わせて龍に突き刺した。

 今度は鱗を貫通して体の内側まで届いた。

 ヒューは等価交換の魔法を使いながら魔力を竜の中に放ち続けた。

 クリスも同じように等価交換の魔法で白竜が倒れるまでひたすら連続して氷魔法を出し続けた。


 二人の魔力が切れる瞬間、白竜が轟音を上げて頽れた。


 どうやら街に入る寸前で倒せたようだ。


 思わず副官のクリスを見た。

「生きているか、クリス。」


「ええ翼を半分ほど失いましたが生きています。」


「俺もだ。どうやら自分で折る手間が省けたようだぞ。」


「そのようですね。」

 二人は空笑いをしながら立っていられなくなって地面に倒れた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ