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濡れ羽色に輝く片翼の戦士  作者: しゃもん
第二章 下界
34/40

34.追従

 サラに連れられ二人は馬小屋に来た。


 彼は馬屋番に全員の鞍を出すように命令すると本人は自分ですぐ傍に置いてあった鞍をつけると彼の愛馬である白馬に跨った。

 遅れて全員が馬屋番の出してくれた鞍を着け騎乗した。

 サラは騎乗した隊員に合図をすると砦から出て真っ直ぐ走り出した。


「どこに行く気だ?」

 ヒューが先を走るサラに後ろから叫んだ。


 それに対してサラはさらに速度を上げた。


 どういうつもりなんだ?

 ヒューは唸りながらも馬を飛ばす彼の後ろに続いた。

 そこに後ろから追いついたディーンがヒューに説明してくれた。

「この方向なら隊長は将軍たちが野営していた辺境の砦に向かうつもりですよ。」


「辺境の砦だと!かなりの距離だと聞いたが近いのか?それに武器も持っていないんだぞ。」

 ヒューはディーンを怒鳴りつけた。

「それなら大丈夫ですよ。もう少し走れば分かります。」

 ディーンの言葉に前を見ると遥か彼方に砦のようなものが見えてきた。

「砦?」

 二人の後ろからついてきたクリスがそう呟いた。


 サラはその砦に一直線に向かうと砦の門に駆け込んだ。

 遅れてヒューにクリス、それに他の隊員もその砦に入った。


 サラは砦の中庭で馬を降りるとそこに中肉中背の男が現れた。

「遅かったな。」


 サラはムッとして男を睨んだ。


「おいおい。そんなに睨むな。知らせを聞いてもう用意はしてある。」


「さすがね。出来る男は素敵よ。」

 サラは男に抱き付いた。


「おいばか。離しやがれ。俺は女専門だ。」

「あら残念ね。じゃお礼に今度は私の友達を紹介してあげるわ。」

「おいその友達は、お・ん・な、なんだろうな?」

 サラは男の質問に答えずに彼に背を向けると手をヒラヒラさせながら建物の壁際に置かれている荷車に向かった。

 荷車に積まれている荷物を確認すると後ろからついてきたディーンにこっちに来るように合図した。


「行きましょう。」

 ディーンの言葉に全員がその荷車に近づいた。

「武器と食料か。」

 ヒューは剣を手に取ると鞘からそれを抜いた。

 日に反射して刃がきらりと光り波紋もきれいに浮かんでいた。


「いい剣だ。」

 鞘に戻して腰にさすと食料を幾つか手に取った。


「用意が出来たらすぐに出発よ。ああトム。軍に連絡しておいてね。」

 サラは商品を用意した中肉中世の男にそう言い残すと騎乗した。

 他の隊員も次々に騎乗した。


「おいなんで俺が・・・。」

 唖然としている男を残して全員が辺境の砦に向かった。


 サラを先頭にヒュークリスディーン、その他の隊員が後に続いた。

 人数が少ないせいか道が荒れていてもそれをものともしないで、かなりの勢いで辺境の砦に向かった。

 だが荒れ地を超え峠を越えた処で、さすがに暗くなって前に進めなくなった。

 サラは馬の速度を落とすと峠の傍にあった平地で馬を降りた。

「さすがにこれ以上は進めないわね。一旦ここで野営して日が昇り始めたら出発しましょう。」

 ヒューもクリスも内心は一刻も早く二人の所に向かいたいが、これだけ暗くてはそうも行かない。

 諦めて頷くと大人しく馬をとめた。


 すぐ後ろで馬を降りたディーンは傍にあった木に手綱を繋ぐと野営の準備をする為テキパキと動き始めた。

 その後、遅れてついた隊員も彼を手伝って野営の準備をした。


 数刻後。

 食事を終え焚き木を囲みながら数人交代でそこで野宿した。


「クリス起きているか?」

 ヒューが星空を眺めながらぼんやりと声をかけた。

「ええ。さすがにジェシカが気になって眠れません。こんな時は失った翼があればとふと考えてしまいます。」

「まあそうだな。翼があれば今頃メリルの傍にいただろうしな。だがそれを考えても何にもならん。今はとにかく眠ろう。後数時間で夜が明ける。」

ヒューは毛布を肩にかけた。


「そうですね。」

 二人は互いに背を向けると地面に横になった。


 数時間後。

 空がダンダンと明るくなってきた。


 ヒューとクリスが同時に目を覚ますと二人とも髪を搔き上げながら起き上がった。

 すぐ傍でディーンも目覚めたようで隣にいたサラを足で蹴っていた。

「ちょっとなに隊長に向かって足で蹴るあんてことしてるのよ。もう少し優しく起こしなさい。」

「馬鹿なことほざいてないで出発しますよ。」

 ディーンの声に他の隊員も起き上がると荷物をまとめて騎乗した。


 昨日と同じようにサラを先頭に物凄い速さで辺境の砦に向かった。

 砂埃を巻き上げながらかなりの時間がたった頃、前方に馬が現れた。


 サラが速度を落としてその歩いている馬に近寄った。


「ワイド!」

 そこには馬の背で気を失っている血みどろの男がいた。

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