29.第二王子と兵士
第二王子が乗馬したまま守備隊の砦に入ると門の所で見張りをしていた二人の兵士に止められた。
「おい。こんな時間に何の用だ。」
ずんぐりむっくりした砦の兵士が馬の前に立ちはだかった。
第二王子は視線を手元の剣に向けた。
おい。
中に入れなければ国境の砦を襲撃することも出来んぞ。
なんとかしろ!
禍々しい気配を纏った剣はまたもや黒い靄を出すと二人の兵士を包み込んだ。
二人の兵士は急にトロンとすると女を馬の背に乗せ絵に描かれたように怪しい第二王子を砦の中に招き入れた。
「守備隊長はどこにいる?」
枝のように細い兵士が建物の明かりが見える窓を指さした。
第二王子は乗馬したままその建物の前まで進んだ。
建物からは酒を飲んだ兵士の騒がしい音が扉の前にいる第二王子のところまで響いてきた。
第二王子は馬から降りると第一王子から奪った愛妾を肩に担ぐと建物の扉を開けた。
バッターン
かなり激しい音を立てたにもかかわらず大広間にいた大勢の兵士は誰一人第二王子の存在を気にも留めなかった。
これは魔法か?
第二王子は無意識に人間に対するように剣に話しかけていた。
まあそのようなものだ。
気にせず守備隊長がいる部屋に向かえ!
ついでにお前の周囲にいる人間にはお前の命令を聞くようにしておいた。
第二王子が周囲に目を向けると先ほどまで酒を飲んで赤ら顔で喚いていた兵たちが全員、目をうつろにして人形のような顔になっていた。
すごいな。
短時間でこんなこともできるのか?
禍々しいオーラを纏った剣はぶっきら棒な声でそれに答えた。
まあそうだ。
第二王子は剣の答えに満足すると酒臭い匂いの充満する大広間を通って階段を上がると、枝のように細い兵士に教えられた部屋に向かった。
第二王子が部屋に近づくにつれ一番奥の扉から若い男が発する喘ぎ声が聞こえて来た。
しかし第二王子は気にせず通路の奥まで行くと守備隊長がいる部屋のドアを開けた。
ああ・・・やぁ・・・。
ハッハッハッ
あーんたいちょ・・・もう・・・。
部屋の主が寝台で若い男を組み敷いた状態のままドアに目を向けた。
行為を邪魔された男はドアを開けた人物を怒鳴りつけた。
「なんで勝手にドアを開けた!」
部屋の中にいる人物はかなりの勢いで顔を真っ赤にして悪鬼のように怒っているが下半身を丸出しにしたその状態では何の迫力もなかった。
「聞いているのか。ドアを開ける前に声をかけろといつも言って・・・。」
男の言葉が途中で止まった。
なぜか第二王子の顔をまじまじと見つめた。
「あ・・・あなたは!」
第二王子はニヤリと笑うとベッドに上で固まっている下半身丸出し男に話しかけた。
「久しぶりだな。ボネヴィル。」
「なんであなたがここに?」
第二王子はボネヴィルの問いに目線だけ向けた。
ボネヴィルはハッとすると下ろしていたズボンを上げ自分が組み敷いていた真っ裸な若い男を部屋から追い出すと改めて第二王子に向き直った。
「すまんな。いいところを邪魔して。」
まったく悪いと思っていない態度で第二王子はそう言うと自分が肩に担いできた第一王子の愛妾をボネヴィルのベットに放り投げた。
きゃっ
愛妾は小さな悲鳴をあげてベッドの上に倒れた。
「お前はそこにいろ!」
第二王子の命令にビクッと肩を震わすと女は男臭いベッドの上で彫像のように固まった。
「その女は?」
ボネヴィルはつい肉感的な身体つきの女に目線が釘付けになった。
この敵国と接する国境沿いの砦に来てから生身の女なんて高級なものにはめったにお目にかかれなかった。
おもわず知らず喉がゴクリとなった。
「気になるか?」
第二王子はボネヴィルと愛妾を交互に見ながら人の悪そうな腹黒い笑みを浮かべた。
「お前の気持ちもわかるがそれは私の話を聞いてからだ。」
ボネヴィルは視線を女から離すと第二王子に顔を向けた。
第二王子は三日後に国境沿いの敵国の砦を落とすよう彼に命令した。
「それは構いませんが今まで何十回と襲撃しているのですが一度もあの砦を落とせたことがないんです。大丈夫でしょうか。」
「それは大丈夫だ。私に策がある。」
自信満々に言う第二王子の態度にボネヴィルは頷くと三日後に国境沿いにある敵国の砦を強襲することを了承した。
ボネヴィルは第二王子との話が終わると目線は自然と自分のベッドで固まっている女にいった。
第二王子はボネヴィルの目線に気がつくと彼に面白い提案をした。
「その女が抱きたいか、ボネヴィル。」
第二王子の提案にボネヴィルは目を大きく見開いて何度も首を縦に振った。
「そんなに抱きたいなら抱いてもいいぞ。ただし私と共有するならだ。」
ボネヴィルは第二王子の提案にさらに目を見開くと大きく頷いた。
「じゃ前祝だ。」
二人は頷くと好色な目で第一王子の愛妾を見た。
女はブルッと身震いするとベッドから出ようと動いた。
ボネヴィルは素早く動くと自分のベッドに横たわっていた愛妾を捕まえると裸に剥いて襲いかかった。
当然第二王子もそれに加わった。
砦の夜には女の悲鳴と喘ぎ声が朝方まで響き渡った。




