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濡れ羽色に輝く片翼の戦士  作者: しゃもん
第二章 下界
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27.異変

 ドーナンは透明な膜という結界で保護した剣を手で持つと自分の部屋に戻った。

 歩きながらふと手元の剣に目をやった。

 かなり強固な結界を張っているにも関わらず、なぜかそこから禍々しいオーラが溢れでていた。


 さてどうしたものか?

 こんな禍々しいものをどう調べたらいいものやら。

 彼はテーブルに剣を置くと考えられる限りの結界を重ね掛けすると一端隣の仮眠室に向かった。


 今日まで第一王子の第一位王位継承者としての儀式の準備でかなり忙しくほとんど眠ていなかった。

 こんな状態であんな禍々しいものに振れれば先程の愛妾のように自分も何かに乗っ取られるのは確実だ。

 ドーナンはそう思って簡易ベッドに横になるとすぐに眠りについた。

 ちょうどドーナンが眠った頃、第一王子が第一位王位継承者に指名され、それを不快に思っていた赤毛の第二王子がドカドカと足音を立てながら、ドーナンが張った結界の中に剣が置かれた部屋の前を通りがかった。


 途端、第二王子は何かに強く引かれるような感覚に襲われ思わず足が止まった。


 なんだ、なんだ、なんだ、この感覚は。

 それどころかすぐに自分に話しかける誰かの声が聞こえた。

 誰だ。

 私に話しかけるのは?

 憎いのだろう第一王子が!


 誰だ?

 なぜ私に話しかける。


 私を手に取ればすぐにお前の願いを叶えよう。

 何にを言っているんだ?


 さあ。

 目の前の扉を開けて私を手に取れ!


 第二王子は何かに突き動かされるようにその声に誘われるまま扉を開けると、部屋の最奥に置かれていた剣に近づいた。


 さあ。

 お前の願いを叶えるために剣を手に取れ!


 第二王子は言われるままドーナンによって何重にも結界が掛けられたはずの剣に手を触れた。


 バーン!


 物凄い禍々しい気配が周囲に溢れたと思ったら白い光が弾け飛んでその剣は第二王子の手に収まった。


 途端。

 剣から声が聞こえた。

 お前の願いを叶えるためには隣国の将軍を殺すしかない。

 将軍ヤツを犯して殺せ。

 それがお前の願いを叶える為には必要だ。


将軍ヤツを犯して殺せば私の願いが叶う!」

 第二王子は何度も呟くとドーナンの部屋を出て自分の部屋に向かった。


 翌朝。

 ドーナンはすっきりした顔でベッドから起き上がると仮眠室を出て件の剣が置かれた隣の部屋に行った。


 あれ?

 なんだ?

 なにがあったんだ?


 ドーナンは焦った顔で周囲を隈なく捜した。


 ないぞ。

 どうなっているんだ?

 ドーナンが昨夜かなりの魔力を使って厳重に結界を張った剣が部屋から忽然と消えていた。


 馬鹿な!

 なんでこんなことが起きるんだ?


 ドーナンは大慌てでその場で探索魔法を発動すると昨夜の禍々しい魔力を放ったものを捜して見たが結局見つからなかった。


 しかたない。

 諦めて第一王子に報告に行こう。

 シンドそうな足取りで彼は第一王子がいる寝室に向かった。


 寝室の前で城の近衛兵が見守る中彼は暗澹たる顔で遠くを見つめてから第一王子の寝室の扉を叩いた。

 何度も叩くが一向に中から返事がなかった。

 いないのか?

 そう思って扉を守っている近衛兵に目線を移すとそんなことはないと首を振る。

 ドーナンはもう一度扉を叩いてから意を決すると扉を開けた。


「王子緊急ですので入ります。」

 声をかけると共に昨日訪れた寝室に入った。


 寝台には垂れ幕がたらされ人の動く気配がなかった。

 ドーナンはイヤな予感に見舞われてそのまま垂らされていたカーテンを開けて寝室の中を覗き込んだ。

 そこには青白い顔でベッドにぐったりしている第一王子の姿があった。


「おい、医師を呼べ。」

 扉の横にいた近衛兵に怒鳴ると第一王子を揺さぶった。


「カーソン王子しっかりして下さい。」

 ドーナンの呼びかけになぜか第一王子はまったく目を覚まさなかった。

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