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濡れ羽色に輝く片翼の戦士  作者: しゃもん
第二章 下界
24/40

24.乗馬

 ヒューとクリスがサラについて行くと彼は二人に隊服と日用品を支給してくれた。

 二人がそれを受け取るとサラがクルッと振り向いて、さりげなく髪を掻き上げながら聞いてきた。

「後、何か足りないものはないかしら?」


「「乗馬をならいたい。」」

 二人は息ピッタリに答えた。


「イヤーン。さすがに二人を相手に乗馬したら頑丈な私でも壊れちゃう。」

 黄色を悲鳴をあげた瞬間に横合いから現れた男が隊長の頭を力いっぱい叩いた。


「ちょっと何するのよ、ディーン。」

 サラはなぐられた頭を触りながら文句を言ってきた。

「隊長が外で盛ってるんで部下である俺が止めに入ったまでです。」

「だって新人君からいきなり乗馬って要求があったのよ。」

「それは隊長が考えている乗馬じゃない乗馬ですよ。」

「どんな乗馬なのよ?」

「「馬に乗れるようになりたいだけだ。」」

 二人が横から会話に割り込んだ。


「まさか二人とも馬に乗れないの?」


「「そうだ。」」


「うそでしょ。だれかウソだと言って!!!」


 ディーンは騒ぎ始めた隊長を無視すると二人に手を差し出した。

「俺がこの隊の副隊長のディーンです。宜しく。」


「俺はヒューだ。」

「クリスです。」

 三人は握手を交わすと喚いているサラを放置してディーンは二人を厩に誘った。

「今までどこに住んでたんですか?」


「砂漠をはるかに超えた上の方だ。」

 ヒューが空を指した。


 ディーンはそれはずぅと遠い所を指しているのだと解釈して何も言わなかった。

 この隊に来る人間は訳アリが多い。

 なのであえて任務に支障が出ない限りは詳細を聞くことはNGなのだ。


 ディーンは二人を厩に案内して、二人に馬を見せながら聞いてきた。

「取り敢えず気に入った馬を見つけて下さい。」


「気に入った馬?」

 ヒューは怪訝に彼をみた。

「そうです。まっ結局、乗馬は相性ですから、まずは気に入った馬を見つけるのが肝心なんですよ。」

「なるほど。」

 ヒューは説明されて厩にいる馬を見た。

 どの馬もヒューとクリスに見られた途端、怯えたように足を蹴って落ち着きなく動く。


 どうやら怯えているようだ。


 2人は怯える馬を無視して厩を奥まで見て行った。

 そこで厩の奥で二人に怯えない馬に出くわした。

 一頭は黒い毛並みでもう一頭は赤い毛並みの馬だった。

 二人が厩の奥にいる馬に近づこうとしたのに気がついたディーンが慌てて二人を止めようとした。

 あの厩の奥にいる馬は先日届いたばかりで馬屋番すら近くに近寄れない、ひどく気性の荒い馬なのだ。

 この厩にあの馬を入れるにも大分苦労して、何人かが馬にけられて、ひどい目にあっている。


「あぶな・・・。」

 ディーンの声は途中で止まった。


 誰も近づけなかった馬に二人がそれぞれ近づいて各々の馬の首を撫でているからだ。


 うそっ。

 なんでこうなっちゃったの?

 俺、疲れて白昼夢でも見てるわけ。

 ディーンが現実逃避をしているうちにヒューに呼びかけられた。

「あとはどうすればいんだ?」


「そこに置かれている鞍を馬に着ければ・・・。」


「これか?」

 ヒューとクリスはそれぞれ傍に置かれていた鞍を離れたところにいるディーンに説明されながら、それぞれの馬の背に括り付けた。

 二匹はその作業中も暴れることなく、じっとしていた。


 ディーンが気がつくと二頭の背にはきちんと鞍が置かれていた。

 えっうそ。

 なんで大人しいの?


「鞍を置いたが後はどうするんだ?」

「えっと馬を厩の外に出して、それから馬の背に乗ってください。」

 ディーンの指示に二人は手綱を引いて馬を外に出すとその二頭の背にそれぞれ跨った。

 あれ、なんであの馬たち、おとなしくしているの?

 うそだよな。

 普通、振り落とされるだろ?


「ふむ。結構簡単だったなクリス。」

「そうですね。でも後はどうすればいいんでしょうか?」

 二人はディーンを見た。


 ディーンは慌てて自分がいつも乗っている馬に鞍を着けると、彼らの後ろから馬を厩の外に出すと彼も乗馬して馬場に出た。


「えっと・・・手綱をこうして・・・それで走り出すときは馬の横腹を軽く蹴ってですね・・・。」

 ディーンは説明しながら、それを実際にやって見せた。


 二人はディーンがやって見せたのを見様見真似で実践すると、あっという間に乗馬を習得してしまった。

 ディーンが唖然と見守る中、彼らは華麗に気性の荒い軍馬を走らせている。


「あの男たち何者かしら?」

「隊長!」

 いつのまにかディーンの傍にある柵に腰をかけたサラがぼそりと呟いた。

「なにか知ってるん・・・。」


「あのキュッっと絞まったお尻・・・最高だわ。触って見たい。」

 ディーンはシリアス顔から急に脂下がった隊長の顔を見てからもう一度、馬場に視線を戻した。

 一通り気性の荒い馬を走らせた彼らがディーンとサラがいる所に戻ってきた。


「ディーン。おかげで助かったよ。」

 ヒューがディーンに馬上からお礼を言ってきた。


「本当。君のおかげでやっと馬に乗れたよ。」

 クリスも満面笑みにしてヒューと同じようにお礼を言ってきた。


 ディーンにして見ればちょっとしかアドバイスをしていなし、乗れたのはどちらかというと馬と彼らの運動神経のお蔭のような気がしていたが、そういうのもへんだったので、そのまま苦笑いして彼らの言葉を受け取った。


「そろそろお昼ね。食べに行きましょう。」

 いいタイミングで隊長から声がかかったので、三人は厩に馬を戻すと軍の食堂に向かった。

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